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Vol.102 J1リーグ前半戦総括。

  • 2024.06.18

    Vol.102 J1リーグ前半戦総括。

発源力

©FCMZ

J1リーグ第18節・横浜F・マリノス戦は、今シーズン初めて逆転勝ちをすることができました。天皇杯2回戦で敗戦後の最初の試合ということもあり、また拓也(安井)、ミンギュ(チャン)、デューク(ミッチェル)、サンホ(ナ)の4選手が悔しい長期離脱になってしまった中で、彼らのためにも是が非でも勝とうと気持ちを揃えて臨んだ試合で、クラブ、チームにとって意味深い、大きな勝利になったと思っています。5月頭に設定した『前半戦を首位で折り返す』という直近の目標にも、また一歩近づくことができました。まだ第19節・アビスパ福岡戦を残している状況ですが、今回の発源力は、その前半戦の戦いを僕なりに振り返ってみようと思います。
 
シーズンの始動にあたり、黒田剛監督は最初のミーティングで「残留争いをする気はさらさらない」という話をされました。FC町田ゼルビアにとっては初めてのJ1リーグで、厳しい戦いになることは承知の上で、です。
「せっかくクラブ史上初のJ1リーグにチャレンジするシーズンなのだから、目標は高く持とう」
具体的な目標は、J1リーグで5位以内、AFCチャンピオンズリーグへの出場権獲得を掲げました。僕自身、チーム内ではJ1リーグでの経験値がある方ですが、いうまでもなくこの数字は昇格したばかりのチームにとっては、高すぎると見られてもおかしくない目標です。実際、僕自身も簡単に実現できるとは思っていなかったし、ましてやJ1リーグを戦うのが初めての選手が多いゼルビアが、その目標に辿り着くには相当の努力と積み上げがいると考えていました。

それに対し、現時点でのゼルビアの成績は、18試合を終えて12勝2分4敗。首位につけています。まだ約半分の日程しか終えていない中で、優勝争いを語るつもりはないですが、少なからず描いていた目標に向かって着実に進んでいると言える結果は残せていると思っています。その証拠に、チームには試合を戦うごとに偶然だった勝ちが必然だと受け止められるような手応えもあって、それに伴いチームに自信も積み上がっているのも感じます。

その自信を備えられるようになった理由は僕なりに、いくつかあると思っています。1つは、当たり前のことですが、みんなが勝つことに対して真っ直ぐに向き合っていること。以前にもゼルビアには『超』がつくほど純粋な選手が多いという話をしましたが、シーズンが始まってもそれは変わらず、それぞれが『チームが勝つこと』から逆算して日々、真摯にサッカーと向き合っています。もちろん試合に出ている選手、出ていない選手もいてそれぞれ思っていることはあると思います。でも、それを押し殺してもチームのために戦える集団であることは、今のゼルビアの強さに変わっています。

その中では、監督が掲げるコンセプト、戦い方が明確にあり、試合を重ねるごとに、それがうまく表現できた試合は勝てる、コンセプトを遂行しきれなかった時は負ける、という基準も備わってきました。戦術については多くは語れませんが、ゼルビアのサッカーを継続的に見られている方であれば、僕たちのストロングを言葉に変えるのは難しいことではないかも知れません。そして、そんなふうに言葉にできる明確なスタイルがあり、それを徹底できていることが今の結果につながっているんだと思います。

また、前半戦でいえば、翔太(藤尾)や悠(平河)がU-23日本代表でチームを離れた中でも、そこまで大きくチーム力を落とすことなく戦えたのも収穫の1つでした。いつの時代も、日本代表選手=チームの中心選手もしくは、チームで結果を残している選手だと考えれば、正直、最初から彼らがいないことに不安がなかったわけではないです。ですが一方で、そういう状況でラッキーボーイ的な選手が台頭してくるチームや、その中で結果を残せるチームは、長いシーズンを戦う上でも間違いなく上位に生き残っていけるとも考えていました。
そういう意味では、彼らが不在のリーグ戦でも大きくチーム力を落とさずに戦えたことは、この前半戦の財産になりました。と同時に、そうした好材料をリーグ戦で見出せていたことが「仮に彼らがいなくてもしっかり戦える」という自信に変わり、彼らが不在の中で戦うことの多かったルヴァンカップでもベスト8進出を決められたんだと思います。

もっとも、これらはあくまで前半戦で感じたことに過ぎません。二巡目の戦いに入る後半戦は前半戦とは全く違う難しさに直面するはずで、思うように結果を重ねられないこともあると思います。夏の厳しい暑さとの戦いも出てきますし、前半戦以上に、選手個々の修正力、徹底力を問われることも増えます。特に、現在上位を走る経験値の高いチーム、優勝争いの経験があるチームは、二周目に入ると間違いなく、より相手の戦術への対応も極めてきます。チームとしての戦いが仮にうまくいかなかったとしても、個人戦術で修正し、結果につなげてくるチームも増えるでしょう。それによって、前半戦なら通用していた僕たちの戦いが通用しなくなることも十分に考えられます。

そういった状況とどのように向き合って、後半戦を戦うのか。この先は、ゼルビアにとってこれまでともまた違う、未知の戦いが始まると思っています。きっと、試合を重ねるごとに上位争いの構図が変わり、少しずつ上位争いから脱落していくチームも出てきて、最後は一騎打ち、もしくは三つ巴くらいの優勝争いになるということも想像しています。30年というJリーグの歴史において、ぶっちぎりで優勝したチームは数えるほどしかいないという事実も、優勝争いの難しさ、プレッシャーを示していると思います。

ただ、それを覚悟しながらもやっぱり僕は、後半戦も上位争いを続け、優勝を狙える位置で戦い続けたいと思っています。
そういえば、シーズンのワーストゲームにも挙げられる第13節・湘南ベルマーレ戦の直後、僕たちは選手だけのミーティングを行いました。その際には、少し前に、黒田監督から「当初定めた5位以内、ACL圏内という目標を、優勝に引き上げよう」と投げ掛けられていたことを受けて、キャプテンとして、改めてみんなに「優勝を狙えるチームになりたい」という思いを伝えました。と同時に、その言葉を実現に向かわせるためには「直近の目標として掲げている『前半戦での首位フィニッシュ』を何が何でも実現しよう」ということ。「今のチームとしての結束力は継続しながらも、誰かに助けられ、引き上げられるのを待つばかりではなく、選手個々が、自分から現状を打ち破り、這い上がっていくことも必要だ」という話もしました。先に書いた通り、後半戦はより個人の修正力も問われる戦いが増えるからこそ、そうした個人の台頭が不可欠だと思うからです。と同時に、その個人の成長は間違いなくチームの成長につながります。疲労感が色濃くなっていく後半戦は間違いなく総力戦になり、今は出番の少ない選手もきっと、戦力としてピッチに立つチャンスが来るはずです。そのことを僕自身も含め、各々がしっかり自分に問いかけながら、前半戦の残り1試合、福岡戦を必ず勝利し、『首位』で後半戦に向かいたいと思います。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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