COLUMN

REIBOLA TOP > コラム > Vol.113 自分たちを信じて、最終節へ!

Vol.113 自分たちを信じて、最終節へ!

  • 2024.12.03

    Vol.113 自分たちを信じて、最終節へ!

発源力

©FCMZ

ホーム最終戦となった11月30日のJ1リーグ第37節・京都サンガF.C.戦は、1-0で勝利することができました。試合内容としては前半から決して悪い内容だったとは思わないですが、一方で京都のラファエル・エリアス選手に決定機を作られた場面もあって、それを決められていたら、という展開ではあったと思います。0-0で折り返すことになった中で、その「悪くはないけど」という内容を自分たちに引き寄せるには、先制点が大事になるということをハーフタイムにリマインドしていました。似たような展開になった第26節・湘南ベルマーレ戦では、後半開始早々の3分に失点を喫して敗れた経験からも、みんなから「湘南戦を思い出そう。同じ展開にはしないぞ」という声が上がっていたし、しっかりギアを入れ直して後半に向かおうと気持ちを揃えていました。その中で、67分に左サイドからの相馬(勇紀)のドリブルでの仕掛けが相手のオウンゴールを誘って先制点が生まれました。

正直、この日の相馬は前半から決定機で枠をとらえられない場面が続いていたこともあり「相馬の日ではないかもな」という思いはありました。珍しくキックの精度も悪く、本人にも途中で「お前、今日はキックどうした? 頼むぞ。セットプレーはうちの生命線の1つだぞ」と伝えていたほどです。

ただ一方で、北斗くん(下田)や幸多郎(林)たちとは「今日は相馬の日じゃないからこそ、あいつを気持ちよくプレーさせるために、相馬にボールを集めよう」と言う話もしていました。「相馬の日じゃない」からと言って彼を避けるのではなく、敢えて集めることで数多くシュートを打たせ、確率を上げればいいと思っていたからです。

長いシーズンでは、相馬に限らず「打てども打てども入らない」みたいな試合があるのは珍しいことではありません。でも、僕たち仲間は毎日、彼のプレーを見ているし、チームを代表して彼が先発を任されていることへの信頼もあります。この日もそれを最後まで信じていたし、だからこそ、相馬のプレーからゴールが生まれたのはすごく嬉しかったです。

また第36節・FC東京戦から敷いている3バックにも手応えを感じています。今シーズン、3バックで戦った第6節・サンフレッチェ広島戦や第28節・アルビレックス新潟戦はいずれも相手に上回られ、勝つことができなかったため、正直、いいイメージはありませんでした。ただ、この2試合での3バックは、右ウイングバックのヘンリー(望月ヘンリー海輝)やインサイドハーフの相馬のように、個々の特性が各ポジションで存分に発揮されていることもあって、みんなが自信を持ってプレーしていました。そう考えても、結果だけではなく試合内容に自信を持って最終節に向かえるのも、すごくポジティブな要素だと考えています。何より、この2連勝によってアウェイでの最終節・鹿島アントラーズ戦に『優勝』の可能性を残してカシマスタジアムに乗り込めることも、です。

正直、個人的には優勝を懸けて戦う相手が鹿島になるのは、不思議な巡り合わせを感じますし、はっきり言って、嫌な相手だなと思います。それは古巣だから、という以上に、鹿島が日本で一番タイトルを獲ってきた、Jリーグの歴史においても圧倒的地位とブランド力を備えたチームだからです。

それに対して町田は、Jリーグでの歴史は浅く何も築けていません。その僕らが日本で一番タイトルを獲ってきた常勝軍団の鹿島に優勝が懸かる大一番でどんな戦いができるのか。この最終節は、百戦錬磨の鹿島に、新参者の僕たちがどんな戦い方、アプローチをして結果を持ち帰ることができるのか、の勝負でもあると思っています。

想像するに、おそらく当日は、チームの誰もが必要以上に固くなるんじゃないかと思います。鹿島時代の2017年に、僕は「あと1つ勝てば優勝」という状況で残り2試合を戦い、最終節に優勝を逃してしまった経験をしました。終盤の、ましてや『ラスト1』にかかるプレッシャーは、他の試合とは似て異なります。5戦負けなしの後に迎えたFC東京戦、京都戦の2試合は「AFCチャンピオンズリーグ出場とか、優勝とかは頭から外して、目の前の試合に臨もう。結果は後からついてくる。勝ったらみんなで喜んで、負けたら切り替えてまた次に向かうだけだ」と戦って、うまくプレッシャーから気持ちを解放できましたが、最終節はきっとそう思って臨んでも、ピッチで固くなっている自分を感じる選手が多いはずです。

でも、僕はそれを受け入れて戦えばいいと考えています。ただでさえ経験のない町田が、大一番で固くなるのも、いつも通りのプレーができなくなるのも当たり前。その事実に動揺する必要はありません。ただ、大事なのはその中でも最後まで、自分たちが過ごしてきたこのシーズンの戦いを信じて、90分を戦い切れるか。そこが鹿島戦の大きなポイントだと思っています。

FC東京戦で円陣を組んだときもチームメイトに伝えましたが、僕は常々頑張っていない人間に結果はついて来ないし、奇跡を信じていない奴に奇跡は起きないと思っています。だからこそ、最終節も最高の準備をして、奇跡は起きると信じて、最後まで戦い抜きたいと思います。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

  • アカウント登録

  • 新規会員登録の際は「プライバシーポリシー」を必ずお読みいただき、ご同意の上本登録へお進みください。

REIBOLA RADIO 配信中!