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Vol.116 新チーム、始動。

  • 2025.01.21

    Vol.116 新チーム、始動。

発源力

©FCMZ

1月8日に2025シーズンが始動しました。昨シーズンとはコーチングスタッフやチームメイトの入れ替わりもあった中で、フレッシュな気持ちでスタートを切れています。12日からは早くも沖縄キャンプに突入していますが、約2週間、寝食を共にする時間を通して、仲間との理解を深め、チームとしての結束をより強めていきたいと考えています。

始動にあたって黒田剛監督から伝えられた目標は、J1リーグで5位以内、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権獲得と、カップ戦を含めた4大会のうち「何か一つでも、エンブレムに星をつけられるようにしよう」ということでした。

まず、この目標について僕自身は、J1リーグでの2シーズン目を迎えるFC町田ゼルビアにとっては、すごくしっくりくる、このチームに相応しい目標を設定してもらったと思っています。
もちろん、勝負の世界に生きる僕たちは常に目の前の試合での勝利を目指していますし、1つでも多くの勝ち星を、タイトルを、と思って戦っています。ただ、昨年初めてのJ1リーグ戦で3位という結果を得られたからといって「じゃあ、今年は優勝だ!」と言えるほど、この世界は甘くありません。3位になったからこそ、より他のチームから警戒されると想像しても、もう一度『5位以内』に入るのはかなり難しいチャレンジだと思います。実際、近年は拮抗した戦いが続いているJ1リーグでは、前年度まで上位争いをしていたクラブが一気に順位を落とすことは珍しくありません。だからこそ、僕たちはその拮抗したリーグ戦に慢心なく、隙を見せずに向き合っていかなければと思っています。監督が設定された目標も、おそらくはそこを想像しての数字だと受け止めていますし、あくまで自分たちはチャレンジャーという立場でこのリーグを戦っていかなければいけないという思いが込められているようにも感じます。

また、ゼルビアの将来に繋げるためにも、毎年のように上位争いを続けられるチームに成長することで、クラブとしての基盤をより強くしていくことも不可欠です。昨シーズンはヴィッセル神戸が頂点に立ち、連覇を実現しましたが、彼らがタイトルを獲得するまでには20年以上もの時間を要してきたことも、自分たちにしっかりと置き換えて考えていくべきだと思います。
ただし、そうした基盤を作る上で『タイトル』がもたらす効果が絶大なのは言うまでもありません。だからこそ、その成長スピードをできるだけ早めるためにも、リーグ戦よりは試合数が少なく、毎年いろんなサプライズが起きているカップ戦で『タイトル』を獲得し、自信を得ていくことも大事になってきます。そのことをしっかり頭に置きながら、監督が掲げてくださった目標を実現できるように、チーム全員で戦っていきたいと思います。

特に今シーズンは、国内戦と並行して、ゼルビアにとって未知の戦いであるACLを戦います。当然ながらかなりのハードスケジュールを強いられることになり、中2日の試合も増えますし、アウェイ戦への中距離移動、長距離移動もあります。沖縄キャンプに突入してから、チームコンセプトを浸透させていくことの必要性とともに、監督やスタッフ陣から繰り返し「選手の誰と誰が組んだとしても、どのポジションで出ようとも、チームとしてやろうとしていることを実現できるようにしたい」と伝えられているのも、そのハードスケジュールを見越してのことだと思っています。実際、僕自身も過去に経験したACLの戦いを通して、総力戦で臨まなければ結果を得られないということは痛感しています。だからこそ、シーズンを通して全員でチームを作り上げていく、というチャレンジに真摯に向き合っていこうと思います。

また守備を預かる一人としては、昨年のリーグ戦ではリーグ最少失点という堅守を示せたとはいえ、まだまだこの数字を小さくできたという反省からも、不用意な、しょうもない失点を確実に減らすことは意識したいことの1つです。クリーンシートの数も、昨年は18試合でしたが、19、20試合と半分以上の試合で求められるようになれば、よりチームを楽にさせられるんじゃないかとも思います。

もちろん、攻撃と守備は表裏一体なので、守備陣だけで求められるものではないし、勝つためには、その堅守に加えていかに得点を重ねていけるかも大事になってきます。また、昨年は先制を許した試合ではなかなか勝ち点を積み上げられなかった反省からも、勝ち点に対する執着とか勝負強さはチームとしてより大きくしたいし、そもそもその展開に持ち込まないことも徹底すべきだと思います。そのあたりは、ここから開幕までの時間を通して監督から落とし込まれていくと思いますが、そのすべての準備期間を『勝つために』ということから逆算して過ごしたいし、それが当たり前になるチームになっていきたいと思っています。

少し沖縄キャンプの話をすると、あっという間に1週間が過ぎましたが、いい雰囲気でハードなトレーニングに向き合えています。ここまでの期間は乳酸が溜まって、息が上がるような強度の高いメニューも多かったですが、新しいフィジカルコーチである大塚(俊介)さんのもと、全員でポジティブに取り組んできました。当然、フィジカルコーチが変わればウォーミングアップの長さやメニュー、バリエーションも含めて、いろんなものがガラリと変わりましたが、それもまたチームに新しい風を吹き込んでくれています。

そうした時間を経て、この先はより戦術に重きを置いたトレーニングや練習試合が増えていくフェーズに入っていきます。すでに、17日には今年最初の練習試合を戦いましたが、そうした時間を通して、よりチーム、組織としての力を膨らませていきたいし、選手個々の特長や持ち味への理解を深める時間にもしていきたいと思います。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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Vol.92 2024シーズン、始動。