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サンフレッチェ広島との2025J1リーグの開幕戦は1-2で敗れました。たくさんの方に心待ちにしていただいていた開幕戦で、ホームゲームだったことからも勝利を届けたい一心でしたが、相馬(勇紀)の素晴らしいゴールが決まって先制点を奪いながら、後半に2点を失い、黒星スタートになってしまいました。
僕なりに試合を振り返ると、前半はある程度、理想通りに進められたと思っています。新加入選手が4人、先発メンバーに入りましたが、キャンプも含めてプレシーズンで積み上げてきたものを個人としても、チームとしても発揮できるシーンが多く、まして先制点を奪えたことでよりチームのギアが上がるところもありました。ハチ(岡村大八)の負傷交代というアクシデントがありながら、準備が難しい時間帯での出場になったイボ(ドレシェヴィッチ)がすんなり試合に入ってくれたことで、チームが大きく崩れることもなかったと思います。広島はAFCチャンピオンズリーグ2の試合から中3日、しかもタイからの移動もある中での開幕戦で疲れもあったかもしれませんが、前半は相手のやりたいことをやらせずに自分たちがやりたいことを表現できた、という手応えもありました。
一方、後半は、流帆(菊池)が負傷交代になってしまって以降は特に相手の攻撃を受けに回ってしまったというか。攻撃にかかる回数や時間が減ってしまった分、後ろに重くなってしまって広島に同点ゴールを許し、その流れを変えられないまま77分に追加点を奪われてしまいました。もっとボールをつなげるところや、それぞれの立ち位置によって相手を上回れたはずだし、僕自身もそのあたりのコントロールというか、後ろからオーガナイズを促すコーチングができたら良かったなという反省も残りました。ハチ、流帆のケガは残念でしたが、昨年から一緒に戦ってきたメンバーに戻っただけで急造DFラインでは決してなかったと考えても、2失点ともチームとして防ぐべきでした。また後半はほとんどチームとして決定機を見出せなかったのも課題として残りました。クロスボールもほとんどニアサイドで引っかかっていたし、背後のスペースを突く回数が減ったのも気になりました。その辺りは僕らのこれからの『伸び代』だと受け止めています。
というように、たくさんの課題が出たことも、何より負けた事実も真摯に受け止めていますが、チームの雰囲気としては全然悪くないというか…。変な言い方ですけど、すごくいいです。試合が終わった直後のロッカールームや、クラブハウスに戻ってからのロッカールームでも、みんなが口を開き「ああすれば良かった」「こうできたよね」といろんな意見が出てきたのもすごくポジティブだと受け止めています。何よりみんなが同じように「前半のような戦いをできればこの先の試合でも負けることはないんじゃないか」という手応えを掴んでいたのも収穫の1つです。
もちろん、それを90分を通して、ケガや交代などでメンバーが入れ替わった中でも表現するのが難しいというのがサッカーだとは思います。ただ、それを踏まえた上でも、各ポジション毎に、チームとして成長していける材料が多いと選手自身が感じられているのはすごくポジティブです。表現が難しいですが『開幕戦』を白星発進したいのはどのチームも同じだという中で、結果は出なかったとはいえ「このまま僕らはうまくいくんかな…」という不安ではなく、「このあたりが変化できれば、絶対に強くなれる」という言葉がたくさん出てきたのも、黒田(剛)監督のもとでチームが描いている『ベース』への自信があるからだと思います。それを今後の戦いでしっかり積み上げていければ、必ず勝ち点も増えていくと思っています。
また、チームが成長していく過程では勝って勢いに乗るだけではなく、負けて気づくことも必ずあります。そしてその負けは、開幕戦で負けても、中盤戦の試合で負けたとしても同じ『負け』です。だからこそ、のちのち「1節目の敗戦のおかげで、いろんなことに気づけて良かったよな」と言えるように、この負けをチームにとって意味のあるものにしていきたいとも思います。繰り返しますが、僕たちが目指しているものの一番上には常に『勝利』があって、仮にどんな内容でも開幕戦で勝てればよかった、という見方もあるとは思います。勝ったチームに勝ち点3が入って、僕らは0に終わったのも事実です。でも、負けてしまった以上、それを悔やむのではなく、この敗戦を「38分の1試合が終わっただけ」だと割り切って受け止めるべきだし、この悔しさを、次の試合の勝利で塗り替えていく作業をみんなでポジティブに続けていこうと思います。
そんなふうに僕たち選手が「ここからもっと良くなっていく」と信じているように、ファン・サポーターの皆さんにも一緒になってそれを信じて進んでもらえたら嬉しいです。開幕戦も12,000人を超える皆さんが天空の城 野津田(町田GIONスタジアム)に集まってくれて、心強い後押しをしてくださいました。皆さん自身にも「声援をもっと大きく、強くしていける」と信じてもらって、一緒に進んでもらいたいです。僕たちは、それに応える勝利を全力で目指します。
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昌子 源Gen Shoji
1992年12月11日生まれ。
兵庫県出身。
11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。