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約2週間の中断期間を経て、6月14日の第20節・湘南ベルマーレ戦からJ1リーグの後半戦が始まりました。
FC町田ゼルビアの前半戦の結果は、7勝4分8敗、勝点25で10位に終わりましたが、僕自身は後半戦の結果次第で、まだまだ上位に食らいついていけると思っています。特に1年を通して結果が求められる『リーグ戦』では…これはJリーグに限らずですが、チームの『地力』が問われる後半戦の結果が、優勝争いを左右します。であればこそ、この後半戦の入りでどんな結果が必要かは、言わずもがなだっただけに、その最初の試合となった湘南戦で勝利を掴めたのはすごく大きかったと思っています。
特に、ゼルビアは過去、湘南に一度も勝てていないという嫌な流れもあったし、前半戦の対戦では最後の最後に失点して敗れていたことを思い返しても、今節、追いつかれた後も粘り強く戦って逆転に持ち込めたのは収穫でした。また、後半戦はFWがいかに得点を重ねられるかがカギになると思っていたからこそ、翔太(藤尾)にゴールが生まれたのも嬉しかったです。これについてはこの後、前半戦の振り返りをしようと思うので、そこで触れようと思います。
ゼルビアにとってのJ1リーグ2シーズン目となる今シーズンは、黒星スタートになりました。シーズンの序盤は勝つことで勢いに乗っていけるところもあるだけに、『5戦負けなし』で始まった昨年に比べて、少し不安定な入りになったのは否めなかったと受け止めています。
中でも、前半戦におけるチームとしての一番の課題は、失点数の多さでした。特に4月に喫した3連敗もそうでしたが、勝ちパターンの試合でイージーな失点をしてしまったり、いい流れの時間に得点ができずに逆に相手に1チャンスを仕留められてしまった試合も多かったように思います。中でも、昨年はほとんど許さなかった『クロスボールからの失点』が増えたのも反省です。特にハイボールというよりは、足元で繋がれて崩される展開が多かったように感じました。
また、個人的なミスが目立ったのも見直すべき点だと思っています。パッと思い浮かぶだけでも、第18節・ファジアーノ岡山戦で喫した1失点目は、僕が一度はボールを奪ったにもかかわらず、そこでバランスを崩して失いましたし、第12節・湘南ベルマーレ戦のイヴォ(ドレシェヴィッチ)や、第15節・京都サンガF.C.戦でのハチ(岡村大八)というように、DFラインの明らかなミスが散見しました。
よく「サッカーにはミスがつきもの」という言い方をしますが、サッカーではそのミスが失点につながらなければ、ミスにはなりません。実際、ピッチ上で誰かがミスをしたとしても、それを仲間同士でカバーし合ったり、それこそ最終ラインにいる僕たち守備陣がしっかり刈り取ってゴールを許さなければ、失点につながることも、ミスとして記憶されることもほぼないはずです。でも、前半戦はそうしたミスがミスのままで終わってしまう試合が多かったというか。つまり、ピッチ上でしっかりとお互いを助け合えていなかったことが失点数に繋がったという見方もできるだけに、そこは今一度、チームとして見直さなければいけないと思っています。
一方、得点の物足りなさも課題として残りました。特に、僕たちの強みの1つであったはずの『クロスボールからの得点』が、相手にとって脅威にならなかったのは、その数の少なさからも明らかだと思います。もちろん『得点』も誰か一人で取れるものではないので、ここもチームとしての改善を求めるべきですが、敢えて厳しいことを言うなら、FWを預かる選手のうちシャドーでプレーすることの多い相馬(勇紀)は3得点、拓真(西村)は5得点を挙げた一方で、翔太(藤尾)が0得点、セフン(オ)、デューク(ミッチェル)、侃士(桑山)が1得点にとどまった現実もしっかり受け止めるべきだと思います。もちろん、以前の発源力にも書いた通り、セフンやデュークは、得点以外のところでも常に、チームのために献身的なプレーで貢献してくれています。ただ、後半戦で上位争いに食い込んでいくためには間違いなく、彼らの『数字』も不可欠です。だからこそ、チームとしてもクロスボールの質や、相手陣地で奪ったボールをいかに早くシュートまで持ち込めるかみたいな細部にもまだまだこだわっていかなくちゃいけないと思っています。
…ということをみんなでリマインドして中断期間を過ごし、冒頭に書いた湘南戦を迎えていただけに、サンホ(ナ)の決勝点(しかも昨シーズンのゴール数を上回る4得点目!)もさることながら翔太にゴールが生まれたのは、すごく嬉しかったです! 翔太は点を取れない時間が続いていた中でも、愚直にゴールを追求する姿を見ていたからこそ、このゴールが今後の彼自身を勢いづけるものになったらいいなとも思っています。
また、ここから夏場の戦いに入っていくことを考えると、前半戦で少しずつ積み上げてきた新たな戦い方をより確固たるものにしていけるかも大事になってきます。以前の発源力(VOL.120)でも書いた通り、今シーズン、スタートから新しい戦い方にチャレンジしてきた理由の1つは、暑い夏場もチーム力を落とさずに戦い抜くためでした。ただ、その新たな戦い方が、前半戦を通して「自分たちのものになった」と言い切れるほど確立されたのかといえば、そうではありません。であればこそ、そこは後半戦もみんなで追い求めていきたいし、そのチャレンジをしっかり結果に結実させられるようにしていきたいです。
そして、そのチャレンジを続けるためにもゼルビアサポーターの皆さんに今一度お願いがあります。それは町田GIONスタジアムにより『ホーム感』を漂わせるためのチャレンジに、これまで以上に本気で、一緒に取り組んで欲しいということことです。もちろん、前半戦のGスタでのホームゲームで2勝しかできなかった事実は僕たち選手も真摯に受け止めています。それでも前半戦、アウェイゲームに臨むたびに、相手チームのスタジアムに威圧感や、やりにくさを感じたことを思い返しても、Gスタをもっともっと『圧倒的なホーム感』が漂うスタジアムに成長させていきたい。そのためには僕たちの結果が、みなさんの声援が不可欠だからこそ、後半戦も一緒になってそのチャレンジに取り組んでもらいたいと思っています。
次節の首位・鹿島アントラーズ戦は、そのGスタでのホームゲームです。ゼルビアが上位争いに食らいついていくための、大事な『6ポイントゲーム』での熱い『共闘』を、満員の圧を、よろしくお願いします。
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昌子 源Gen Shoji
1992年12月11日生まれ。
兵庫県出身。
11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。