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Vol81「優勝がもたらすもの」

  • 2026.06.18

    Vol81「優勝がもたらすもの」

絶康調

photo by ©たけ

ベガルタ仙台がJ2・J3百年構想リーグで優勝した。おめでとう。これで2009年のJ2優勝に続いて二つ目のタイトルを手にした。カターレ富山との決勝は後半終了直前に追い付かれててバタバタしちゃったけど、勝った。以前から言い続けているように、勝ち癖をつけることはどんな戦術よりも力になるから、すごく自信を持っていい。優勝して大きな成功体験を得ると、シーズンのどこかで勝てなかったりする時期があったときに、立ち返る場所ができる。「こういうサッカーをしていれば勝てたよな。優勝できたよな」という気持ちになれる。選手目線で一番いい道しるべとなる。例えば守備。なんかうまくはまらない時間帯というのは試合のどこかに必ず出てくる。当たり前のことだ。でも、「優勝した時もこういうことあったよね」という気持ちがあれば、ネガティブになり過ぎずに一つ我慢することができる。監督の戦術も含めて疑心暗鬼にならずに済む。もちろん進化を求めてクオリティーを上げていく、向上心を持つというのが大前提にはなる。そこに「これで勝ってたじゃん」っていうのがあれば、苦しい時の支えになる。選手、スタッフ、クラブ、全体が同じ矢印を持って戦うことができる。どんな大会であっても、みんな優勝を目指している。そして、ベガルタだけが優勝した。そこに自信持って取り組んでいってもらいたいなと思う。お互いの長所短所を理解していて、相手が分かっていても止められないのが一番の武器になる。このリーグ戦ではヒデ(MF武田英寿)が良かった。モンテディオ山形戦やヴァンフォーレ甲府との準決勝。簡単にはたくプレーをする局面でも前に運ぶようにしていたり、フリーキックでチームを救ったりと、うまさが際立っていた。もともと高い正確性を誇っていた左足のパンチに磨きがかかった。甲府戦のあの得点がベストプレーだと思う。

そして、優勝したにも関わらずなぜか不安がる人がちらほらいるのが、不思議でならない。優勝したんだから素直に喜ぼうよ。ベガルタが強くなってほしくて、勝ってほしくて応援してる。必ず優勝する保証なんてない。なかなかできることじゃないんだから、喜ぼう。優勝って簡単にできることじゃないんだから、周りは素直に喜んでおかないと。みんなのあの喜びようを見たでしょ。優勝できるのは1チームしかない訳で、アスリートというものは、そのほとんどが悔しい思いをしている。そして、優勝という経験を経てその喜びを知り、また優勝してみんなで喜び合いたいなと思う。人間は欲のかたまり。オレそうだったけど、次の日にはまた勝ちたくなる。だからまた頑張ろう、試合に出られるよう頑張ろうと思う。自然と向上心が生まれる。優勝チームとして見られるプレッシャーはあるだろう。それをはねのけて自分たちのサッカーに集中し、いろいろなことにチャレンジしてほしい。

秋春制への移行によって、選手はこの時期がオフになった。うらやましい。春秋制の時は冬がオフだった。正月もあるからあけましておめでとう行事から逃れられなかった。正月ぐらいゆっくりしようかという風潮もあって、それはそれでいいことかもしれないんだけど、本当に遊べる時間は1週間ぐらいしかなかったんだよね。そして、暖かいのもでかい。フットワークが軽くなって簡単にお出かけできちゃう。自主トレするにも動きやすいしね。オレは現役時代、毎年沖縄に行ってい自主トレしていた。沖縄でも寒かったしね。大夢(MF鎌田大夢)はオールスターを出場辞退してワールドカップを観にいくと思っていた。

そのワールドカップの初戦で、日本はオランダと2-2で引き分けた。ハラハラドキドキしながら観ていて、とても面白かった。まず、最初の10分ぐらいで、オランダがめちゃくちゃ強いと思った。大丈夫かなって。日本は先制されて追い付いて、勝ち越し許してもまた振り出しに戻した。すごく我慢しながら詰めていったよね。守備の時間も長かったけどしっかり耐えて反撃して、セットプレーでも得点できた。久保くん(日本代表MF久保建英)のけがは心配だ。1点取られてから彼がボールさわり始めて、そこからチャンスができていただけに離脱となれば相当痛い。最近の日本代表は強いね。昔の日本代表はもちろんうまい選手だらけだし強かった。それでも強豪国には圧倒的な力の差を見せつけられていた。今回はオランダ戦で2失点したとはいえ、完全に個の力で何度もぶち抜かれることもほぼなく、いつやられてもおかしくないと思わせる時間も案外なかった。相手の左ウイングのハクポに対応していた堂安くん(日本代表MF堂安律)がすごかったね。本来もっと前で戦う選手なのに、ウイングバックみたいな場所でもしっかりやれていた。世界ランク1桁が相手でも90分のどこかでチャンスが来るだろうという期待を持たせてくれるのはすごいことだ。次戦のチュニジア戦はぜひとも勝ってほしい。チュニジアは第1戦を終えて監督が変わった。これは大きい。いわゆる監督解任ブーストってやつだ。焦りがあってみんなで頑張ろうという一体感が生まれる。最高の舞台で国のために戦う選手にブーストがかかると怖い。全然違うサッカーで戦ってくる。選手起用とかセットプレーとか、これまでの準備が役に立たない可能性がぐっと上がる。映像とか分析している人たちが一番困っているだろうな。まあ一番改善してほしいのはDAZNの中継だけどね。音声のずれが致命的でハーフタイムは無言。あれはひどい。せっかくうっちー(元日本代表DF内田篤人)の解説を聞けると楽しみにしていたのに声聞こえないし、困ったもんだ。

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  • 遠藤 康Yasushi Endo
  • Yasushi Endo

    1988年4月7日生まれ。
    仙台市出身。
    なかのFC(仙台市)から塩釜FC(宮城県塩釜市)を経て2007年鹿島アントラーズに加入。左足のキック精度が高く、卓越したボールキープ力も光る攻撃的MFで、10年以降は主力として3度のJリーグカップ制覇や、16年のJ1リーグと天皇杯優勝などに貢献した。J1通算304試合出場46得点。
    2022年、15年プレーした鹿島を離れ、生まれ故郷のベガルタ仙台へ完全移籍した。
    U-15、U-16、U-18の各年代で代表経験があり、15〜17年は日本代表候補に選出された。

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