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Vol86「Jリーグ開幕」

  • 2026.08.27

    Vol86「Jリーグ開幕」

絶康調

Jリーグが開幕した。鹿島アントラーズは3連勝と上々の滑りだし。開幕戦はちょっと鹿島っぽくない失点をしながらも、劇的な逆転勝ちで4-3と横浜Fマリノスを退けた。面白い試合だったし、やっぱり地上派で中継を見られるのはいいね。チームは失点が多かったし大変だったろうけど、見ている人たちは楽しかったと思う。吉田くん(鹿島FW吉田湊海)と、三井寺くん(マリノスMF三井寺眞)が注目選手として取り上げられているのもよかったね。

マリノスは百年構想リーグで苦しんでいたし、監督も変わって大変だと思っていた。ところが試合が始まると前からのプレッシングもはまっていて「これはマリノスのペース」だなと感じさせられた。鹿島はビルドアップに苦しんでいた。ところが、ハイラインがたたったのか、足をつるマリノスの選手が続出していた。結果的には走らせていたようなサッカーにはなったけれど、やっている選手は納得いく試合ではなかったと思う。鹿島は途中から入ってくる選手が強烈だった。FWのチャヴリッチとか、ガク(MF柴崎岳)とか、松村(MF松村優太)とか。鬼木さん(鬼木達監督)は勝てる選手を送り込むだけでなく、その松村を右サイドバックに置いた。攻撃的な布陣で勝ちにいってるなというのがすごく伝わってくる。点を取りに行く姿勢を明確にしていた。結果としてそこが起点となって2点ぐらい入っていた。

そして三井寺くんだ。彼の中学時代からフォーリクラッセFCの試合を見ていたから親近感がある。カメイカップだったかな、その頃から抜きんでていて、プロになってどうなるのか楽しみだった。開幕戦を見た感じ、攻撃はもちろんだけど、守備を賢くやっている。元々持っているポテンシャルは高く、その中でも順応する力がずば抜けているんだろうな。ステージが変わった時に、上のレベルに合わせてプレーできるのも大きな才能の一つだ。そもそも先制点を奪ったし、マリノスの3点目の起点となったプレーにはスケールの大きさを感じさせられた。後ろから飛んでくるロングボールを収めるだけでもすごいことなのに、アウトサイドのワンタッチで浮かせてナオ(DF植田直通)をかわしていた。とんでもない子だったな。ああいうスケールの選手はJクラブの育成ではなかなか出てこないと思う。ゴールもアシストも展開も自分でしないといけなくて、させてくれる環境というものが飛び抜けたタレントを生みだすことだってある。フォーリクラッセだから育てられたということもあるよね。

J2のベガルタ仙台は苦しんでいて、開幕3戦目にしてようやく勝ち点3を手にした。うまくいかない時っていうのはある。それが開幕だったのは痛いけど、ここで一つ勝ったことで、勝ってこその反省を大切にしてほしい。ゴールネットは揺らせた。あとはそれ以外のプレーの質を省みて分析するべきだと思う。
ベガルタは割とボールを握っているんだけど、崩しきらないうちに突っ込んでいるようで、あれだと相手はあまり疲れないんじゃないかと思う。以前から常に言い続けているように、もっとダイナミックにボールを動かして攻撃に変化を加えてほしいね。サイドチェンジやボランチから前線の裏抜けを狙うパスを増やすべきだと思う。どこから決定的なパスが飛んでくるか分からない怖さを植え付けたいね。そのためには常に裏抜けの駆け引きをし続ける選手が必要だ。対策はされてくる。百年構想リーグで優勝しているんだからそんなことは当たり前だ。その対策されてなお上回っていかないと、J1に上がることはできてもJ1で戦う集団にはなれない。最終的には個を上げていかないと。それをできないと言ってしまったら成長が止まる。「J1行ったら駄目でした」では意味がない。杉山くん(MF杉山耀建)は頑張っていたな。仕掛けていくしね。見ていて「何をするんだろう」って思わせてくれる。

守備は見ていてやられる気がしない。切り替えが速いし相手陣地でボールを回収できている。どこかでぽんとやられるとしても、それはシステム上仕方ない部分はある。その中でもマテ(DFマテウスモラエス)の安定感は抜群だ。攻めのパスも出せている。センターバックの枚数が多くてパスコースも多い3バックで出しているパスを4バックでもできるようになるとさらに輝く。積極的に採用するかどうかは別として、4バックの感覚はみんな持っておいたほうがいい。今の3-1-4-2は特殊。そこに特化し過ぎるとそこでしか生きられない選手になってしまう。4-4-2とか4-2-3-1にも慣れておいてほしいな。ここまでベガルタは4バックのオプションを試していない。今のJリーグは上位に3バックが多いけど、なんだかんだまた4バックの時代が来るような気がするけどね。

ヴァンラーレ八戸戦の終盤にヒデ(MF武田英寿)がサイドネットに突き刺してリードを広げた。スカっとするようなシュートだったね。百年構想リーグではチームの中心としてやっていていたのに、スタメンから外れていた。いろいろあっただろうけど、ああいうプレーをどんどん出してほしい。飛び抜けた個人技はチーム戦術より武器になる。ああいうタイミングでどんどん左脚をふってほしいね。モト(FW中島元彦)の使い方もまだ固まっていないようだ。俺だったらシャドーというかトップ下はモト1人にして1人をボランチに回し、モトが自由に動き回るところを見てみたいかな。とはいえ、ゴリさん(森山佳郎監督)になってもう3年目で、戦い方を大きく変えるフェーズでもない。あれこれ言わずに信じ抜いて戦うこと、支えることが大切だ。ちょっと結果が出ていないだけで監督の采配や選手起用に批判の声が上がるのは残念だ。現状モトがはまっていないと批判するのは簡単だけど、今のベガルタを信じて前を向くことが仙台のためになると思う。お盆明けにACLのドローしにマレーシアのクアラルンプールへと行ってきた。東アジアの代表として東アジア16チーム分のくじを引かせてもらいながら、ここにベガルタの名前があったら楽しいだろうなと思った。

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  • 遠藤 康Yasushi Endo
  • Yasushi Endo

    1988年4月7日生まれ。
    仙台市出身。
    なかのFC(仙台市)から塩釜FC(宮城県塩釜市)を経て2007年鹿島アントラーズに加入。左足のキック精度が高く、卓越したボールキープ力も光る攻撃的MFで、10年以降は主力として3度のJリーグカップ制覇や、16年のJ1リーグと天皇杯優勝などに貢献した。J1通算304試合出場46得点。
    2022年、15年プレーした鹿島を離れ、生まれ故郷のベガルタ仙台へ完全移籍した。
    U-15、U-16、U-18の各年代で代表経験があり、15〜17年は日本代表候補に選出された。

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