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Vol.155 出会いと別れの1週間。

  • 2026.09.01

    Vol.155 出会いと別れの1週間。

発源力

©FCMZ

今週はFC町田ゼルビアにとって出会いと別れの1週間でした。
まず、別れの部分では翔太(藤尾)の移籍に始まって、雄太(中山)のチーム離脱が相次いで伝えられ、出会いということでは航基(小川)の加入が決まりました。雄太については、その後セルビア1部リーグのレッドスター・ベオグラードへの完全移籍が発表されたのは周知の通りだと思います。

最初に『別れ』について話をすると雄太の移籍は、ある意味、これまでのJリーグではあまり例を見ない移籍だったんじゃないかと思います。もちろん、25年までは欧州シーズンとのズレがあったため、夏場に主軸選手が海外に移籍することはありましたが、今回のようなシーズン序盤に、スタメンで試合に出ていたゴリゴリの主力選手が海外移籍をするのは珍しいパターンだったのかな、と。とはいえ、海外ではこうした例はよくあることです。チームと共にスタートを切っても移籍が確実だからと、試合には出ず、シーズンが始まってから移籍をしたという選手もたくさんいます。そう考えると、今回の雄太のような移籍は、Jリーグが秋春制になった中では今後も起きうる事象だといえるのかもしれません。

にしても、雄太の移籍には驚きました。
実は僕が初めてその報告を受けたのは、J1リーグ第3節・浦和レッズ戦後のロッカールームでした。チームのみんなで勝利を喜んでいる最中、隣のロッカーに座っていた雄太にポンポンと膝を叩かれて「どうした?」と返したら「源くん、俺、移籍します」と伝えられました。なんでも、他のチームメイトはSNS等で噂になっていたのもあってうっすらと知っていたようですが、僕はSNSを滅多に見ないためそれを知らず…。普段から冗談好きの雄太のいうことなので、最初はいつもの冗談だと思い込み「もうええって」と返したくらいでした。
そしたら「いや、源くん、ガチです」と言われ、え? ガチ? みたいな。雄太にしてみれば、噂レベルでも僕が知っているだろうという前提での最終報告だったらしく、逆に僕の反応を見て「え? 逆にそこから知らん?」と驚いていました(笑)。ということもあって、それがマジの報告だと知った時は、え? ホンマに? ホンマに言ってる? ホンマー?? 的に「ホンマ」の変化系を10回は繰り返したというのが、雄太に報告を受けた際の率直な反応でした。

ただ少し時間が経ち、冷静になった今は「もう一回、ヨーロッパに行く」という欲を燃やし続けて、それを実現する雄太のことをマジですごいなと思っています。海外に比べて日本のサッカーをする環境や、生活、暮らしはとても快適です。海外移籍を経験した選手のほとんどが、改めて日本の美味しい食事や治安の良さ、暮らしやすさに触れて「やっぱ日本ってすごいな」って口にするのもそれが理由だと思います。サッカー選手じゃなくとも、日本を離れて海外に暮らす経験をした人は同じように感じているかも知れません。
僕もそれを経験した一人ですが、だからこそ、自分に置き換えて考えても1度、Jリーグに復帰したあと再び海外に飛び出すのは、最初の海外移籍より相当パワーが必要な気もします。その意味からも、今回の雄太の移籍は、ものすごく大きな覚悟を秘めた決断だったんじゃないかと想像しています。しかも、30歳を目前にして再び海外への挑戦を追い求め、実現するなんて、マジでリスペクトしかないです。もちろん、雄太ほど攻守に存在感を発揮できる選手は日本を見渡してもそうそういないことからも、ゼルビアにとっては大きな痛手であるのは間違いないですが、彼が決めた以上、また彼の決意に触れて、今はとにかく応援しているし、近い将来、日本代表で輝く雄太の姿をぜひ見たいと思っています。
 
今後の活躍を願ってやまないのは翔太も同じです。改めていうまでもなく翔太は23年に育成型期限付き移籍で加入してJ2優勝、J1昇格に貢献したのみならず、25年の天皇杯優勝の際にはMVPにも輝くなど、このクラブに数々の爪痕を残してきた選手です。若いが故に荒削りでヤンチャな面もあって、彼にはピッチの内外で何度も叱咤した記憶もありますが、トータル的にはとても可愛い後輩だったし、ゼルビアのファン・サポーターの皆さんにもすごく愛された選手だったと思います。また、敵として対峙するのは嫌なタイプだと考えても、彼の移籍はチームにとっても痛手です。
ただ、雄太と同様、決まった以上は根っからの負けず嫌いの翔太らしく、新天地でも暴れて欲しいというのが僕の正直な気持ちです。もちろんゼルビアとの対戦時には僕とハチ(岡村大八)でキッチリ、止めるつもりですが!

一方『出会い』については、すでに第4節・水戸ホーリーホック戦にもメンバー入りして、82分からゼルビアデビューを飾った航基の加入はすごく心強いです! 僕自身は今回が初対面ですが、相馬(勇紀)も「アイツはマジで点を取ります!」と言っていたし、ゴール前に泥臭くヘディングで飛び込んでいける選手だと聞いているので、今のゼルビアの攻撃にどんな変化を与えてくれるのか楽しみしかないです。
その航基には初合流の日に挨拶に来てくれた際、よろしくね、という言葉と共に「ネットニュースによるとすごい額の年俸だって話だから、それがホンマなら20得点、MVPはマストだからな」と伝えました。本人は「すっげぇ、プレッシャー!」と言っていましたが、彼が加入会見で話していた「僕が輝いて点が取れる、W杯にいちばん近いチームだから町田を選んだ」のであれば、そのくらいの活躍はマストだし、チームが首位を争うこともマストだと思っています。
森保一日本代表監督は「海外でプレーしているから」というだけで選手を選ぶ方ではないと信じていますが、だからと言って正直、J1リーグで下位に低迷しているチームから選ばれることがないのも現状です。そこは他ならぬ彼自身も覚悟して日本への復帰を決めているはずなので、ぜひそれを数字で示してもらいたいし、海外からJリーグに戻ってもW杯に出場できるという前例を作って欲しいと思っています。

最後にチームとして、仕切り直しとなるこの先の戦いでは、今の4戦負けなしの勢いをしっかり継続していかなければいけないと思っています。『移籍あるある』で、チームの結果が振るわなかった時には「中山がいたら」「藤尾がいたら」という議論が巻き起こるはずですが、僕たち選手の胸の内には「たら、れば」は一切ありません。今いる選手でタイトルを目指すことに気持ちを揃えています。それをシーズンを通して貫きながら進んでいこうと思います。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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