COLUMN

REIBOLA TOP > コラム > Vol87「レンジが支えた3連勝」

Vol87「レンジが支えた3連勝」

  • 2026.09.11

    Vol87「レンジが支えた3連勝」

絶康調

photo by ©たけ

ベガルタ仙台がテゲバジャーロ宮崎、湘南ベルマーレを下して3連勝と乗ってきた。2試合ともモト(FW中島元彦)が得点に絡んで勝利に導いたね。宮崎戦はクロスがそのまま入っちゃった。でも、ああいうところで得点が入ってしまうのも、モトって持っていると思わざるを得ない。2点目のミドルは文句なし。慌ててふかすことなく枠内のいいコースに打てるのもモトらしくてさすがだった。

宮崎戦のちょっと前に、モトと食事しながらサッカーのことをいろいろ話した。「見ていてどうすか?」と聞かれた。モトがいろいろな思いを持って仙台に来ているのは知っている。チームのためにと頑張っているのも知っている。けど、オレは普通の活躍をモトには求めていない。「もっと自由にやったほうがいいんじゃない? チームの戦術は大切だけど型にはまらない方がいいし、目に見えて得点とかアシストとか、分かりきった数字を出して『やっぱモトだね』って思わせるプレーをしたほうがいい」と正直に話した。モトにしかできないことをやってほしいんだよ。数字も強気に煽るようアドバイスしたんだけど「数字で煽ると駄目になるシーズンばっかりだった」って言う。そういうジンクスがあるのもだけど、モトがそういうことを気にすることの方がびっくりだよ。湘南戦のFKはモトがいくと思った。モトならではの得点だよね。モトは得点に絡んでなんぼだよ。

モトの活躍もさることながら、3連勝の一番の要因はレンジ(MF松井蓮之)の使い方だと思う。モトの得点はモトの能力が大きい。それを引き出したのはレンジの存在だ。攻撃的な選手たちは、レンジが後ろにいるから守備のことを気にし過ぎなくていい。後ろを気にしていると攻撃に向かうパワーが減ったり、どこかで集中力が切れたりしちゃう。レンジがいるから「任せた」ってなるし、攻撃にも躍動感が出てくる。キャンプ中の鹿島アントラーズとの練習試合の時も、レンジの守備能力は際立っていた。開幕でスタメン外れたから何かあったのかなと心配したし、コンディションを落としたんだろうと思っていた。現役時代のオレが前にいたら「レンジいたら助かる」って間違いなく思う。攻撃に意識を持っていける。レンジならフォローしてくれるだろうと、連動のことを気にせずここだと思った時に前からプレスにいけるだろう。守備のワンテンポ、コンマ何秒の差のちょっとした気遣いが減るだけで前の選手は助かる。しかもレンジは奪い切ってくれる。攻撃を遅らせるとかじゃない。普通だったら取れない前提で戻らなきゃいけなくて、アンカーで刈り取れなかった場合のカバーも考えないといけない。後ろを任せられるということが、全体的な攻撃のスムーズさにもつながる。

ベガルタはポゼッションを強化してボールを握っていても、なかなか点を取れていなかった。経験則的に言って、一番点を取れるのはショートカウンターだったりするもの。鹿島がそういうチームだったからというのもあるだろうけれど、きれいに崩しての得点って案外少なくて、カウンターやセットプレーで試合が動く。そのためにはアンカーやボランチのところでガツンといける選手が1人は必要だ。全員メッシだったらきついっしょ。ガットゥーゾ3人とメッシ7人のほうが恐ろしい。サッカーはうまいやつ11人で勝てるものでもないところが面白い。組み合わせの妙というか、そこは難しいところで、大夢(MF鎌田大夢)のパフォーマンスが悪いわけじゃない。3年目で選手もあまり替わっていないとなると、あとは組み合わせ。ヒデ(MF武田英寿)とレンジとモトのバランスがいいとか、そういう段階に入っている。目に見えたパフォーマンスはもちろん、なんかレンジが出ていると勝つなとか安心感があるとかね。効率もよくなる。大夢は湘南戦の終盤にいいパフォーマンスを見せていた。それでもまだ大夢は褒めない。勝っていてスペースができている時だから、できて当たり前のこと。先日会ったときに「大夢くん、パスミス多いね~」って煽ってみたら、「うるさい!分かってる」って怒られた。そう、大夢は分かっている。レンジが出て勝ち始めたから特に意識しているだろう。9日のルヴァンカップ福島FC戦で2得点して意地は見せたと思う。まだまだこれからといった感じだ。

セットプレーで得点できているのも大きい。細かい試合内容はちょっと置いといて、勝負強さというか、セットプレーをチームの武器にするというのは強いチームには絶対に必要。今も得点できているけどもっと上げていかないといけない。デザインプレーとは違う。キッカーとのあうんの呼吸をもっともっと密にしてほしい。ヒデが蹴るとマテや井上が必ずボールを触るとかの感覚。鹿島だったら野沢拓也さんと岩政大樹さんのコンビは、あの2人で何点取ったんだろうってくらいすごかった。ベガルタならマルコスと岩本輝雄さんが象徴的。デザインとも違う、「この辺に上げれば触ってくれる」「きっとこの辺にくる」っていう感覚が見ている人にも伝わるくらいになると鬼に金棒だよね。

ゴリさん(森山佳郎監督)体制になっていまだカップ戦を勝てていないことには苦言を呈したい。今年の天皇杯もいいところなく負けたし、ルヴァンは福島に逃げ切られた。リーグ戦以外で選手を変え過ぎてすぐ負けるところがゴリさんの悪いところ。サブ組にチャンスもいいけれど、疲れていてもいいから全部勝ちにいく方がチームは強くなると思う。リーグ戦にしか興味ないように受け止められてしまう采配はもったいないと常々思っていた。本当に勝ちにいくんだったら軸となる部分は残して戦ってほしかったな。レンジのところが一番分かりやすくて、レンジがいるときといないとでパフォーマンスががらりと変わっている選手もいる。とはいえ、もう終わってしまったこと。リーグ戦を全力で応援するしかないね。

◾️ 遠藤康の写真募集中!

実は、自分が写った写真をあまり持っていないこともあって、毎回のように写真探しに悩んでいます。
そのため、みなさんが撮った写真を募集して、使わせていただきたいと考えています。
撮影者を入れてほしい方は、その旨を明記してください。
このコラムをともに作っていってもらえるとうれしいです。ご協力よろしくお願いいたします。

写真のご応募はこちらのメールアドレスへお送りください。

zekkouchou2026@reibola.com

  • 遠藤 康Yasushi Endo
  • Yasushi Endo

    1988年4月7日生まれ。
    仙台市出身。
    なかのFC(仙台市)から塩釜FC(宮城県塩釜市)を経て2007年鹿島アントラーズに加入。左足のキック精度が高く、卓越したボールキープ力も光る攻撃的MFで、10年以降は主力として3度のJリーグカップ制覇や、16年のJ1リーグと天皇杯優勝などに貢献した。J1通算304試合出場46得点。
    2022年、15年プレーした鹿島を離れ、生まれ故郷のベガルタ仙台へ完全移籍した。
    U-15、U-16、U-18の各年代で代表経験があり、15〜17年は日本代表候補に選出された。

  • アカウント登録

  • 新規会員登録の際は「プライバシーポリシー」を必ずお読みいただき、ご同意の上本登録へお進みください。

FCティアモ枚方×大阪信愛学院大学
「サッカーを通した人間教育」への挑戦