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Vol88「ACLE開幕」

  • 2026.09.24

    Vol88「ACLE開幕」

絶康調

AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)が15日に開幕した。鹿島アントラーズがニューカッスル・ジェッツ(豪)に7-1で快勝した。圧勝だった。FWのチャヴリッチがハットトリックしちゃって前半だけで5-0。力の差があったのか、連敗していたから気持ちが入っていたからなのか。とにかく立て直しのきっかけになればいいね。

FWに徳田誉くんという19歳の若手がいる。高校生のうちにプロ契約したものの、トップではなかなか活躍できなくて、キャンプのときも苦しんでいる様子だった。鬼木さんの要求に応えられずにいた。スケールの大きさに反してもどかしい時間を過ごしていた。その徳田くんがアシストも含めて3点に絡んだ。新しい若手が出てきて喜び、改めて若手の成長を見るのが好きなんだと思った。大量リードの中の4点目だった。緊迫する感じは既になく流しているような展開の中で、本人はめちゃくちゃ喜んでいた。きっともやもやしていたものがこのゴールに詰まっていたんだろう。これを一つの通過点にして、トップの救世主になってほしいな。

ACL、どうしてもEを付けずにACLと言ってしまうな。Jリーグなら相手の特徴とか、事前情報があるし対戦経験もある。それが海外のクラブだと未知数なのよ。試合が始まってから「意外とうまい」とか、「でかいだけかと思ったら足も速い」というイレギュラーがあって、探り探りの試合になる。それがACLの醍醐味でもある。スカウティングはしていても、実際対峙した時はまた違う。オーストラリアリーグのクラブは、前に強い選手がいて縦に速かった。それが今はポジショナルプレーが増えている。代表の影響もあるんだろうけど、ボールを握るサッカーに変わってきている。映像で見ていた最初のスカウティングとのギャップがあって、それを試合中に埋める作業が面白い。今回は探る前にぽんぽん点が入ったけど、終盤はボールを握ってチャンスをつくられた。国の色のサッカーがしっかり出ているなと思った。

そして、海外のクラブは笑えるくらいホームで強くてアウェーに弱い。東南アジアでその傾向が顕著だ。経験的にはタイのクラブ。中盤のどこかで股抜きするだけですごく盛り上がる。アクロバティックにクリアするだけでバーっと盛り上がって士気がぐっと上がって立ち向かってくる。それが随所に感じられるから東南アジアのアウェー戦は難しい。あのスタジアムの雰囲気はアウェーを感じられる。蒸し暑いし、芝生も雑草ですぐめくれちゃったり、走っていて虫が口の中に入ってきたり。ホテルの過ごし方も、水に気を付けないといけないし。そういう状況も楽しめるチームが勝つ。オレはめっちゃ楽しんでいた。チームはだいたい2~3日前に現地入りする。移動後少し練習だけ練習すると、あとは海外の街並みにふれたくて散歩してた。それが楽しかった。食事はチームに合わせないといけないけど、2~3時間のフリー時間に水だけを持って、雰囲気を楽しんだ。満男さん(元鹿島MF小笠原満男)と大伍くん(元鹿島DF西大伍)も散歩派で、満男さんは率先して「ヤス行こうよ」って誘ってくれていたな。3人で常にふらふらしていて、サッカーの話は全くしない。変なもの探しとか、観光客全開だった。

さて15日の開幕戦、観客は5000人ぐらいしか入っていなかった。リーグ戦だったら30000人入るメルカリスタジアムなのに。知らない人は知らなくて、ホームなのに序盤は観客が少ない。とても大事な試合なことを案外知られていないんだなって思う。オレもACLに出ていた。長丁場のJリーグとは違って挽回は難しく、1回でも負けると決勝にいないこともある。クラブワールドカップにもつながるし、世界からの見え方が変わってくるから必死だったな。

鹿島はリーグ戦で苦労している。ハヤ(GK早川友基)とテテ(DFキム・テヒョン)がキャンプにいなかったのは相当痛いと思う。キャンプできっちり上げていかないとシーズンうまくいかないことが多かった。体の仕上がりもそうだし、メンタルのスイッチが入らない。テテは韓国代表でW杯に行っている間にイクマ(DF関川郁万)が上がってきていたからすぐにスイッチが入ったと思う。ハヤはまだパフォーマンスが上がってきていない。何よりもハヤらしくほえる場面が少ない。W杯に出るというモチベーションから、もちろんチームの勝利があるんだろうけど、次の大きな目標が定まらずスイッチが切り替わってないんじゃないかと思う。けが人が多くてもキャンプで練習試合を多数こなし、うまくいっている仲間とのずれを修正し切れていない。前に出た結果中途半端に守備範囲がかぶってやられた水戸ホーリーホック戦の失点とかね。不安要素があっても、ここからの競争で勝ち残れた選手が結果を出せば優勝は争えるから、まだまだこれからだ。過密スケジュールと言われても、選手からすれば練習が減ってずっと試合があるんだから最高だよ。ACLを経験している人たちは「やっとこういう日程になったか」と歓迎しているだろう。コンディションは勝手に整うもの。世界の強豪クラブはずっと戦い続けているんだから、試合数を理由にしてはいけない。

21日に予定していた祭りが延期になった。台風が直撃する予報だった。祭りは安心安全で、来た人が楽しいと思って帰ることが一番。延期にして一からつくりなおそうという苦渋の決断だった。ウインターブレークで試合がない1月17日に決めた。時間ができたから、どういう形にするか練り直す。冬に花火もいいもんだよね。

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  • 遠藤 康Yasushi Endo
  • Yasushi Endo

    1988年4月7日生まれ。
    仙台市出身。
    なかのFC(仙台市)から塩釜FC(宮城県塩釜市)を経て2007年鹿島アントラーズに加入。左足のキック精度が高く、卓越したボールキープ力も光る攻撃的MFで、10年以降は主力として3度のJリーグカップ制覇や、16年のJ1リーグと天皇杯優勝などに貢献した。J1通算304試合出場46得点。
    2022年、15年プレーした鹿島を離れ、生まれ故郷のベガルタ仙台へ完全移籍した。
    U-15、U-16、U-18の各年代で代表経験があり、15〜17年は日本代表候補に選出された。

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