12月9日のAFCチャンピオンズリーグ・エリート第6節・蔚山HD戦をもって、2025シーズンの全日程が終了しました。J1リーグ戦の最終節・柏レイソル戦は悔しい結果に終わっただけに、蔚山戦はしっかり勝って、シーズンを締めくくることができてよかったです。今シーズン最初の公式戦、J1リーグ開幕戦は黒星スタートになったからこそ『勝って終わろう!』を合言葉にこの試合迎えていましたが、サポーターの皆さんを笑顔で町田GIONスタジアムから送り出すことができて、ホッとしています。
今回は、今シーズン最後の発源力なので、僕なりにこの1年を振り返ってみようと思います。
今シーズンは、全52試合の公式戦を戦いました。ACLEへの参戦や天皇杯を決勝まで戦えたことで、昨年の試合数を6つ、上回りました。これは僕たち選手にとって、とても幸せなことだと思っています。理由は単純にトーナメント戦をしっかり勝ち抜けたからこその数字であること。まして、『試合数=経験値』だと考えれば、J1リーグに昇格して2年目でより多くの厳しい戦いに挑めたのは間違いなくクラブの財産になったからです。特にACLE参戦によって国内戦とは違ったさまざまなアクシデント、イレギュラーに遭遇したことも、チームが逞しくなる上でとても貴重な経験でした。
一方、シーズン当初に掲げた『リーグ戦で5位以上、何か1つでも必ずタイトルを獲得しよう』という目標と照らし合わせるなら、リーグ戦では6位と、わずかに目標に届かなかったですが、『タイトル』についてはクラブにとって大事な一つ目となる、天皇杯タイトルを手にすることができました。これについては前回の発源力でもお話しした通りで、タイトルを手にする最高の喜びを味わったことで、クラブ全体に「もう1つ獲りたい」という欲が確実に芽生えたことが何よりの収穫だったと思っています。
そのリーグ戦においては、前半戦は特に苦しい戦いを強いられました。昨年のように、1-0で勝っている試合をそのまましっかり勝ち切るというよりは、最後の最後で追いつかれてしまうとか、逆転されて終わる試合も多く、『際』の部分での粘りとか、勝ちへの執着という点でも物足りなかったと言わざるを得ません。実際、こうしてシーズンを終えてみて、リーグ覇者の鹿島アントラーズ、2位の柏レイソルと比べてもそこの差が、順位にも表れたように感じています。
優勝した鹿島は、シーズン終盤は特に、理想通りに進められた試合ばかりではなかったのではないかと思いますが、その中でも守護神・早川(友基)が安定感抜群のセービングで堅守を支えたり、優磨(鈴木)が足を攣りながらでもゴールをこじ開けたり、ここぞという場面での勝負強さはJ1クラブでも別格でした。最終節で対戦した柏もそれは同じで、特に最終節は「勝てば逆転優勝もありうる」という状況だったのもあって、対峙していてもチーム全体から「何がなんでも絶対に勝ちを掴み取ってやる」という執念が伝わってきました。それがさまざまな『際』のシーンでも表現されていて、しぶとさ、強さも感じました。思えば、柏は今シーズン、リカルド・ロドリゲス監督が就任されてサッカーがガラッと変わった印象もありましたが、新たなチャレンジに臨んだ1年目のシーズンに、どんな相手でも、どんなサッカーに対しても、ポゼッションサッカーにこだわって戦い抜き、それを結果に繋げていたのも、敵ながら天晴れでした。
もっとも、見方を変えれば、たくさんのチャレンジをしたからこそたくさんのエラーが出たシーズンだったとも言えます。今年の公式戦の多くでトライした3バックも、昨年以上にボールを繋ぐことにこだわったのも、今シーズンのチャレンジの1つでしたが、そこに取り組んだから経験できたエラーもたくさんあって、大事なのはそれをチームの経験値として積み上げていくことだとも思います。実際、来シーズン、仮に、1-0でリードしている展開の中で終盤押し込まれた時や、準備してきたことがうまくいかず劣勢に立たされた時に、今シーズンの戦いで培った「去年のあの試合では、自分たちの弱さがこういうことを招いたよな」「1-0の状況で守りに入り過ぎたからやられたよな」とチームとして思い返せる経験値があることは間違いなく、チームの力に変わります。というより、それを力にしていける先に『常勝チーム』としての姿があると思っています。
一方、僕自身の今シーズンを振り返ると、16年以来、1年を通してフル稼働できました。これもとても幸せなことだと思っています。どんな時も信用して起用してくれた監督以下、コーチングスタッフをはじめ、日々、僕の体を気にかけてくれたメディカルスタッフ、食事を含めてパーソナルな部分を支えてくれた妻、家族に感謝しています。
今年で33歳になりますが、実はこれまで僕は、パーソナルトレーナーをつけてプラスアルファのトレーニングをするといった取り組みをしたことがありません。昨今のアスリート界はそれが主流になっているので周りからもよく驚かれますが、これまでずっとクラブハウスで過ごす時間が自分のすべてだという意識で過ごしてきました。
これは日本代表や海外を経験したことも影響しているように思います。というのも、パーソナルトレーナーをつけたとしても、遠征する先々に一緒に帯同してもらえるわけではないし、メニューをいただいたとしても、場所によってはそのトレーニング器具がないとか、環境が整っていないこともあるからです。実際、11月末の江原FC戦ではスタジアムに室内練習場がなく、真冬の寒さのもと外で準備をしなければいけない状況に置かれました。そんなふうに特にアウェイ戦では、場所によって様々な違いやイレギュラーにも遭遇する中で、パーソナルトレーナーを雇って自分に『これをしなきゃいけない』というようなルーティーンを作ってしまうと、環境的にできない状況に陥った時に、自分のペースが乱されてしまったり、何か気持ち的なバランスが崩れてしまいそうな気もしています。
ですが、所属チームのメディカルスタッフなら、どんな時も一緒に行動してくれて、その時々の環境に応じたアドバイスをいただけますし、何より、毎日のように僕のトレーニングも見てくれています。近年は、自分自身でも、またクラブハウスでもマッサージ等のケアは念入りに行うようにもなっていますが、それらを通して、つぶさに自分の体の状態をチェックしてもらっているのも僕にとっては大きな安心材料です。と同時に、それが1年を通して戦える体を維持できた理由にもなりました。ありがとうございます。
一方、プレーにおいては、1つ1つの試合を振り返ると、僕のミスで負けたとか、失点に絡んでしまった試合もいくつかあって、それはいいプレーができた試合以上に印象に残っています。それはその都度、反省もしたし、改善も心掛けてきました。とはいえ、そうした個人のエラーも自分を成長させる一助になったのも事実です。だからこそ、ミスも含めて、今年1年、フル稼働できたことに自信を持って、また来シーズンに向かおうと思っています。
最後にゼルビアサポーターの皆さん。今シーズンも共に戦ってくれてありがとうございました。チームがうまくいかない時もいつも変わらず、ゼルビアサポーターらしい前向きな姿勢で僕たちを支えてくださって感謝しています。自分たちが下を向きそうになってしまった時に決まって「俺たちがついている。大丈夫だ!」と背中を押してくれる心強さが今シーズンも大きな支えになりました。皆さんと一緒に天皇杯というタイトルを獲得できたことも、クラブとしての大きな財産の1つになりました。来シーズンもぜひ一緒に、2つ目、3つ目のタイトルを獲れるように、また一緒に進んで行ってもらいたいと思っています。今シーズンも応援ありがとうございました!
*2026年の最初の発源力は、1月9日(金)に掲載します。それ以降は通常通り、第1・第3火曜日に掲載いたします。
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昌子 源Gen Shoji
1992年12月11日生まれ。
兵庫県出身。
11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。






