沖縄キャンプを終え、三輪緑山ベースに戻ってきました。僕がFC町田ゼルビアに加入してからの過去2シーズン、この時期のキャンプは監督が求める球際や強度といったチームとしての『ベース』をみんなで共有することが殆どでしたが、今シーズンは大きくメンバーが変わっていないこともあり、どちらかというと新しいことにトライする時間の方が長かったように思います。特に、沖縄キャンプの時点では最近加入したテテ(テテイェンギ)がまだ合流していなかったこともあり、昨年の前線のような『ハイタワー』がいなかったため、「上ばかりに頼らず下でしっかりつながって持ち運んでいく」というトライも多かったです。そういう意味では、これまで以上に、上積みの時間を長く過ごした感覚もあります。それを今後は、J1百年構想リーグの開幕に向けてよりチームとしてブラッシュアップしながら戦術を詰めていくことになるんじゃないかと思っています。
その沖縄キャンプ後にはゼルビア恒例のキャプテン総選挙が行われ、今シーズンもキャプテンを預かることになりました。
正直、前年までキャプテン、副キャプテンをしている選手にとって、この総選挙はどことなく昨シーズンの答え合わせをされているような感覚になるイベントです。もちろん、僕自身、キャプテンであろうとなかろうと、自分の立ち居振る舞いを変えるつもりはないし、そんな特別な重責はない方がありがたいので「キャプテンにならなかったらどうしよう」的に思うことはなかったです。ただ、自分に票が入らない=昨年の自分の振る舞いに不正解を突きつけられた感覚になるんじゃないか、というような複雑な感情はありました。
ということもあって、本音としては好んではやりたくないイベントになりつつありますが(笑)、ありがたいことに今年も半数以上の票をいただいて、任命していただきました。副キャプテンに選ばれた雄太(中山)、北斗くん(下田)と共にしっかりチームの屋台骨になっていきたいと思っています。ただし、一方で僕自身は肩書きに関係なくチームメイト全員に「自分がリーダーだ」という思いでいてほしいと考えています。実際、近年のゼルビアにはキャプテンとしてチームを引っ張っていく資質のある選手が増えたし、過去2年に比べて、総選挙でより多くの選手に票が入ったこともそれを示しています。僕にとってその事実は自分の仕事が減るという意味でもとてもウェルカムだし(笑)、長いシーズンを戦っていく上でそういう意識を持った選手が多い方がチームの安定にも繋がるはずです。だからこそ、今年も周りの頼もしいチームメイトにしっかり頼ることもしながら、だけど大事な時には自分が矢面に立てるようにしていきたいと思っています。
思えば、昨シーズンは「本当に自分がキャプテンで大丈夫か?」って思った局面が何度もありました。思い悩むほどではなかったとはいえ「こんなんでいいのか?」「本当にチームをまとめられているのか?」「勝たせられないキャプテンは必要か?」という言葉を何度も自分に突きつけたのを覚えています。川崎フロンターレ戦(J1リーグ第28節)もその1つでしたし、監督がことあるごとにチームに対して問い掛けていた「リーダーは誰がやるの?」「リーダーになろうよ」という言葉が自分に向けられているような気がして、その度に自問自答を繰り返しました。
当然、そうなればチームメイトにしっかり言葉を発していかなきゃいけないと思う自分と、「今の自分が言って届くのか?」という自分が心の中でせめぎ合うことも増え、みんなの前に立って発言するたびに自分に向けられる『目』からいろんな想いを感じ取っていたのも正直なところです。先ほど、「重責はない方がありがたい」と書いたのも本心で、キャプテンという肩書きをなくしてほしいと思ったこともありました。
そんな時にいつも心の拠り所になったのは、尊敬してやまない鹿島アントラーズ時代の偉大なキャプテン、ミツさん(小笠原満男)の姿でした。チームが苦しい状況に陥った時、決勝という大一番を前にした時に「あの苦しかった時、いつも自分はキャプテンのミツさんがどんな振る舞いをするのか見ていたよな」とか「決勝戦を前にしたトレーニングは、いつもミツさんの姿を目で追って、力をもらっていたよな」ってことを思い出し、だから、自分もみんなの勇気に変わるような姿を見せ続けようと気持ちを奮い立たせていました。それがチームメイトのみんなに届いたのかはわかりませんが、総選挙での選出理由に「この人しか考えられない」とか「今年もプレーと言葉で引っ張ってほしい」と書いてくれた選手がいたのは自信になります。だからこそ、今シーズンもキャプテンに選んでもらった=チームメイトが信用してくれたという事実を自分の責任に変えて、大事な時に頼ってもらえるキャプテンでありたいと思っています。
とはいえ、この世界におけるその説得力は紛れもなく、肩書きやキャリア、年齢ではなくピッチでの姿です。これもミツさんをはじめ鹿島の先輩方から学んだことですが、普段のトレーニングからどんな姿勢でサッカーと向き合い、戦っているのかが全てだとも思います。だからこそ、今シーズンもそこは自分にしっかり突きつけてやっていこうと思っています。
そういえば、前回の発源力でお話ししたユニフォームの売上げランキングですが、残念ながら相馬(勇紀)に抜かれ、2位になりました。僕はやはり1位にはなれない男でした(笑)。ゼルビアはJクラブの中でも珍しく、サッカーでは花形とされる前線の選手ではなく、大八(岡村)、雄太やヘンリー(望月)といった守備陣の人気も高いチームだと聞いていたので、密かに期待していましたが、やはりゼルビアも例に漏れず、点を取る選手が人気だと明らかになりました! とはいえ、一瞬でもそんな気分を味わわせてもらったこと。何より今シーズンも僕の背番号のついたユニフォームつけて一緒に戦ってくれる仲間がたくさんいるのは心強さしかないです。ありがとうございます。
にしても、わかりやすい、ぬか喜びでした (笑)!
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昌子 源Gen Shoji
1992年12月11日生まれ。
兵庫県出身。
11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。






