新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
始動日を目前に控え、オフもあと僅かとなりました。今はすでに家に戻って始動に備えていますが、12月は実家に帰ったり、友達に会ったり、家族でヨーロッパ旅行に出掛けたり、有意義な時間を過ごしました。
特に久しぶりの…というか純粋な「旅行」として訪れた初のヨーロッパでの時間もすごく楽しかったです。僕自身はトゥールーズFC(フランス)に所属していた時以来でしたが、住んでいた時には気づけなかった、旅ならではの面白さ、楽しさもたくさん見つけられました。実はこう見えて、芸術鑑賞も好きなのでパリでは王道ながらルーブル美術館に行ったり、凱旋門やエッフェル塔にも足を運びました。ルーブルはあまり時間がなかったので全館を回りきることはできませんでしたが、レオナルド・ダ・ヴィンチ作の『モナリザ』はしっかり見れたので大満足でした!
プレミアリーグの『トッテナム・ホットスパーVSリヴァプール戦』をスタジアム観戦できたのもいい思い出になりました。というか、そもそものヨーロッパ旅行の目的は、8歳になる息子に、サッカーの本場の試合を見せるためでした。今夏からはJリーグがシーズン移行になるため、これまでのようにJリーグのオフシーズンにヨーロッパの試合を観戦に行くことは難しくなります。僕自身は普段から、自分が出場している以外のサッカーの試合を1試合を通して映像で観ることはほぼなく、まして、海外を含めて現地に観戦に行きたい! と思うタイプでもないですが、サッカーをしている小学生の息子には一度、ヨーロッパのスタジアムの雰囲気、サポーターの熱を含めて『本物』を体感させてあげたいと思っていました。
それもあって自分たちが渡欧するタイミングで行われる試合の中からできるだけビッグマッチを選んだ結果、今回のカードになりました。僕自身も海外でまともにサッカー観戦をしたのは初めてでしたが、日本とは違う盛り上がり方、サポーターの熱の高さは想像通りで、スタンドから飛ぶヤジもえげつなかったです(笑)。その中に身を置いて息子がどんなことを感じたのかはわかりませんが、子どもらしくリヴァプールのファン・ダイクのプレーに「めっちゃ強いー!」と驚いたり、コナテのプレーに「あの人、めちゃめちゃ巧い!」と興奮したり。隣に座りながら「子供でもいいプレー、悪いプレーは見極められるんだな」と、その様子を微笑ましく見ていました。
ちなみに、試合は前半のうちにトッテナムが退場者を出してしまった中で、後半、リヴァプールが2点を奪って0-2で進みましたが、点を奪われてからのトッテナムの反撃が凄まじく…。その勢いのままに83分にはリシャルリソンが1点を返したものの、最終的には後半アディショナルタイムにクリスティアン・ロメロが2枚目のイエローカードで退場してトッテナムが更なる数的不利を強いられた中で、1-2でリヴァプールが勝利しました。トッテナムにとってはホームゲームでの敗戦だったにも関わらず、ロメロがピッチを後にするときはスタンディングオベーションで送り出され、試合が終わった時も拍手が贈られるという珍しい光景も観れてよかったです。なんならロメロは2失点に絡んでいたのに、です(笑)。それ以上に彼の熱さ剥き出しのプレーがファン・サポーターの胸を打ったんだと思います。一緒に観戦した大八(岡村)やバイロン(バスケス)には「ジャパニーズ・ロメロは源くんですね!」と褒められているのか、イジられてるのかわからないことを言われましたが(笑)、チームメイトとサッカー観戦をしたのも初めてだったので、それもいい思い出になりました。
そんなオフシーズンを過ごし、いよいよ明後日にはチームが始動します。毎年、サッカー界のシーズンオフはいろんな別れ、出会いがありますが、「別れ」でいうとFC町田ゼルビアの偉大なレジェンド、中島裕希くん(カターレ富山)がチームを去りました。どんな時も変わらず全力でトレーニングに向き合い、チーム練習が終われば必ずシュート練習にも参加してめちゃめちゃエグいシュートを決める裕希くんの姿は、僕たちゼルビアにとって、いつも大きな勇気になっていました。キャプテンなどの肩書きがなくとも常にチームのことを考えてくれていたし、僕もことあるごとに相談もしたし、その存在自体で助けてもらっていました。移籍に際しては裕希くんから「源がしっかりキャプテンとして引っ張ってくれているから俺がいなくなっても問題ないでしょ!」と言ってもらいましたが、正直、裕希くんの存在感はゼルビアにとって唯一無二だっただけに不安はあります。
今オフには裕希くんに限らずJFLの時代からゼルビアを知っている選手が複数名、チームを離れたことでいちばんの古株は今年で在籍4シーズン目の北斗くん(下田)になりましたが、そのことからも今シーズンはゼルビアが本当の意味で新たなステージに踏み出す1年になるという見方もできます。つまり、改めて真価を問われるシーズンになるだけに、僕自身も裕希くんの言葉通り、しっかりチームを引っ張れるよう精進したいと思います。
2026年はJリーグとしても百年構想リーグを経て2026-27シーズンに向かうシーズンで、いろんな面で未知の戦いが待ち受けます。昇降格がないことで新しいことにトライしようというチーム、ガチでタイトルを狙いに行くチーム、2026-27シーズンの助走と捉えるチームなど、チーム毎に百年構想リーグに描く目標も違ってくるんじゃないかと想像しています。クラブとしてどこにモチベーションを求めるかで、戦い方も大きく変わってくるかもしれません。
一方、今年はワールドカップイヤーでもある中で、選手によってはすごく難しいシーズンになる気もしています。先に書いた通り、クラブごとにモチベーションが変わることも予想される中で、ともすれば、本気でW杯出場を目指そうとしている選手とチームとの間にギャップが生まれることもあるかも知れません。本来、『代表選手』というのは、それぞれの国の所属チームで昇降格やタイトルを意識した痺れる戦いをしながら、ライバルと鎬を削り、その中でハイパフォーマンスを続けることでその座を射止め、それをワールドカップに繋げるのが当たり前の構図だと考えれば、百年構想リーグを戦う選手は世界でいちばん難しい状況でW杯出場を目指すことになる気もします。そう考えても、各々の選手がどういう目標、目的でこの半年を過ごすのかを問われるシーズンになるんじゃないかと思っています。
そうしたシーズンに、僕自身が目標に描くのは昨年同様「全試合フル出場」です。昨年もそこを目指した中で大きなケガもなくシーズンを通して戦い抜けたからこそ、同じ目標を意識しながら、サッカーを楽しめるシーズンにしたいと思っています。もちろん勝負の世界に生きている限りは勝ちを目指すことに変わりはないし、昨年もそうであったようにサッカーはいい時ばかりではありません。でも、今になって振り返ると、それを含めて楽しめた1年だったと考えても、『楽しむ』という感情が個人のパフォーマンスに最も影響するんじゃないかとも思います。
だからこそ、33歳、3番の3並びで始まる新たなシーズンをしっかり楽しみながら戦っていこうと思います。
-

昌子 源Gen Shoji
1992年12月11日生まれ。
兵庫県出身。
11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。






