COLUMN

REIBOLA TOP > コラム > Vol61「局面の判断」

Vol61「局面の判断」

  • 2025.09.04

    Vol61「局面の判断」

絶康調

先日、オレが関わっているアイリスFCがベガルタ仙台と練習試合をした。こちらは県1部リーグ。しかもお盆休み明けだったので、けがさせたりしたら大変だと心配した。ベガルタ側のメリットはさておき、アイリスFCからすればとてもありがたい経験になった。この子たちでもプロのベガルタ相手に通用する場面や、こんなことができるという発見があった。結果は35分を2本で0-9の大敗だったけれど、得点のチャンスもあったし、みんな手応えを感じる試合だったと思う。「またやろうよ」って言ってもらえたのがうれしかった。そのためにも定期的にやれるレベルに達しないといけないね。

ゴリさん(ベガルタ仙台森山佳郎監督)とかフチさん(ベガルタ仙台片渕浩一郎ヘッドコーチ)とも話した。ベガルタが白星から遠ざかっていたタイミングだったので「やばいんだよ」と言っていた。勝てなくて苦しい空気感があって、現役時代を思い出した。この感じを懐かしいと思うとともに、引退して苦しい空気感を共有できない立場となったことにさみしさも覚えたな。うまくいかないなりに、みんなで頑張ってほしいという気にもなった。ジョグしているレノファ山口戦の出場メンバーとも話したけれど、みんな暗い。仕方のないこととはいえ、暗かった。アイリスFCと戦ったメンバーも覇気が感じられなくて、最初の20分ぐらいは勝てるんじゃないかと勘違いしたほど。さすがに時間の経過とともに圧倒されてしまったけどね。

その立ち上がりの悪さが、愛媛FC戦で出てしまった。前半は修正もできなくてひどい内容だった。攻撃が終わって相手ゴールキックになるときも、何となくつながせて、なんとなく引いて守ってという感じで、点を取りにいきたくないのかなと思ったほどだ。ただ、その中でも竜(ベガルタ仙台MF相良竜之介)はボールを受けて前に進めていたし、アバウトなボールも収めてシュートまでいっていた。竜は泥くさくやっていて相手にとって怖い存在だったんじゃないかな。きれいじゃなくてもいい。しっかりキープして攻撃につなげられる選手が少ないかなと思う。後半はベガルタが押していて、最後は山内(ベガルタ仙台MF山内日向汰)がPKを取って決めて、なんとか追い付いた。引いてくれてたからね。あまりベガルタからアクションを起こしているようには見えなかった割に、チャンスはつくれていた。山内は1年目フロンターレ時代の試合を見たことがある。すごく楽しみな子だったので期待している。逆をとるのが好きな選手だから、頑張ってほしい。サッカーはエンタメ、遊び心を持ってやるほうがうまくいくときもある。負けているとそういうのが許されない雰囲気になってくるから、チームの結果もリンクしているといいな。

愛媛戦を見ていてとても気になったことがある。みんな後ろをちらっと見てからプレスにいっていた。試合中ずっとだ。確認してから寄せている。本気でボールを奪いにいくなら前しか見ない。共通認識ができていればなおさらだ。そんな圧力のかけ方では簡単にはがされてしまう。事実、間をばんばん通されていた。出しどころを制限できていない。相手のパスコースのいずれかを切るというやり方もあるけれど、きちんとプレスにいけば自然と相手のパスコースは消えていく。夏場で常にプレスという訳にはいかない。暑くて本当にしんどいからね。だけど、いくときに後ろを見ているのは駄目だ。仕掛けどころが整理されていないよね。それは、「今どうする?」という局面を判断して実行させられるリーダー的な存在がいないからではないか。そういう仕事を友太(ベガルタ仙台MF郷家友太)には期待したいところだ。

前節久々に勝利をつかんだジェフ千葉戦は内容も良かっただけになおさら残念だよね。千葉に勝ってみんなで苦しい時期を乗り越えた、こういう経験は終盤に効いてくるし強い。一致団結してやっていけば昇格が見えてくると思ったら、すぐにまた壁にぶち当たってしまった。

千葉戦は観戦に行った周囲の人たちも大喜びで、その熱狂はベガルタならではだと思う。また応援したくなるような試合だった。プレーオフ争いから脱落しかねない一戦だった。負けたらやばいというところで勝てるということは、力があるということ。そういう試合で勝てないと目標は絶対達成できない。ゴリさんになってから大一番、ダービーとか上位との崖っぷち対決は勝てている。ヒデ(ベガルタ仙台MF武田英寿)がヘディングで決めたというのも衝撃だった。ヒデに会うたびに「あの(第19節モンテディオ山形戦)フリーキック1回だけ?」って笑いながら話していた。そのヒデが決めた。しかも頭。ボランチからそこまで走り込んで決めている。あれは戦術じゃない。ショートカウンターから荒木(ベガルタ仙台FW荒木駿太)がいい右クロスを上げた。そして、ヒデがFWのところまで走っていた。新しいヒデの可能性を感じた。チームもうまくいっていなくて、その中でヒデ自身も出番が少なくなった中で、あそこで自分のエリアをぽっかり空けてしまうリスクを冒して走った。どこかで大きな判断をしないといい結果にはつながらない。そして、今の時代ボランチで5~6点取ればスーパーだと思うし、ヒデはそのポテンシャルがある。もっと高い目標があれば変わる。ヒデにもチームを動かせるようになって、愛媛戦のような状況を打開できるようになってほしい。

ベガルタに対しての期待が大きい分、課題が目に付けば厳しい言葉が多くなってしまう。自分で読み返してもそう感じるときがある。そこについては自分なりのスタンスも含め、いずれ理由を話しておきたいね。

  • 遠藤 康Yasushi Endo
  • Yasushi Endo

    1988年4月7日生まれ。
    仙台市出身。
    なかのFC(仙台市)から塩釜FC(宮城県塩釜市)を経て2007年鹿島アントラーズに加入。左足のキック精度が高く、卓越したボールキープ力も光る攻撃的MFで、10年以降は主力として3度のJリーグカップ制覇や、16年のJ1リーグと天皇杯優勝などに貢献した。J1通算304試合出場46得点。
    2022年、15年プレーした鹿島を離れ、生まれ故郷のベガルタ仙台へ完全移籍した。
    U-15、U-16、U-18の各年代で代表経験があり、15〜17年は日本代表候補に選出された。

  • アカウント登録

  • 新規会員登録の際は「プライバシーポリシー」を必ずお読みいただき、ご同意の上本登録へお進みください。

FCティアモ枚方×大阪信愛学院大学
「サッカーを通した人間教育」への挑戦