サッカー専門トレーナーX
J1チーム専属トレーナーを経て独立し、現在Jリーガー・欧州プロサッカー選手たちを中心に様々な種目のトップアスリートのパーソナルサポートを展開。これまで国内外のプロサッカー選手、約200名のコンディショニングに関わってきた経験をもとに、コンディショニングを多元的に追求し続けています。
今回は痛みが巻き起こす「認知−感情−行動」の悪循環サイクルからどうやって抜け出すかについてです。
ネガティブサイクルになってしまうことで、ストレスは増幅し、自律神経系の交感神経が優位な状態となって血管が細くなり、酸素の供給が減ってしまいます。結果、痛みは物理的にも軽減しにくくなってしまいます。
このネガティブサイクルから抜け出すには、認知・感情・行動のどれか一つを変えるか、1つずつのネガティブ度合いを減らしていくようにしましょう。それを繰り返すことで、痛みに対する認知が変わり、感情が変化し、行動が変わるようになってきます。また、何より、些細なことでもいいから自分が良い方向に変化していっていることを自分自身が認めて褒めてあげることもとても大切なことです。
はじめにストレス思考を改善する一般的な「認知行動ワーク」からお伝えします。
これは、自分自身の認知や感情を定量化し、“今”を客観的に整理する方法です。
①思考を書き出す
今のケガや痛みについて、心に浮かんだ心の声や考えをノートに書き出します。浮かんだままの表現をそのままを書き出してください。
②感情とその度合い(%)を書き出す
ケガや痛みに対してどのような感情か、下記の感情リストから該当するものを選び(複数可)、それぞれの感情が何パーセントくらいかを書いて定量化します。
【感情リスト】 | ||
・怒り ・悔しさ ・希望のなさ ・閉塞感 ・自信喪失 ・劣等感 ・うしろめたさ ・後悔 ・自己嫌悪 ・無力感 | ・絶望感 ・嫉妬 ・焦り ・恥ずかしさ ・悲しみ ・不安 ・恐怖 ・驚き ・怨み ・苦しみ | ・無念 ・空虚 ・軽蔑 ・緊張 ・困惑 ・罪悪感 ・諦め ・切なさ ・嫌悪 |
③客観視して反論する
いったん気持ちを切り替え、①で書き出した心の声を客観視して、別の見方をしたらどう見えるかを考えてみます。尊敬する人ならどんなアドバイスをするか、未来の自分が今の自分を振り返るとどう思うか、などを考えてみます。
④目を閉じて1分間、深呼吸をする
⑤今後の行動と新しい考え・感情の変化を書く
③で考えた内容を踏まえ、少しでもポジティブな捉え方や新たな行動を書いてみます。感情の変化も上記の感情リストから該当するものを選び、パーセントにしてみます。ただし、ここで変化がなくても大丈夫です。③の発想には少々訓練が必要かもしれません。
以上、①〜⑤のプロセスを毎日とはいかなくても定期的に行って冷静な思考の時間を作り出し、自分の現状を俯瞰して見ることから始めましょう。最初はなかなか上手く整理できないかもしれませんが、できるところまで、少しずつで大丈夫です。深呼吸を交えながら取り組んでみてください。
次回はもう少し気軽に始められるワークをお伝えしますので、お楽しみに!