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Vol.18 残りの試合も、自信とプライドを持って挑む。

  • 2020.12.15

    Vol.18 残りの試合も、自信とプライドを持って挑む。

発源力

©GAMBA OSAKA

12月も半ばに差し掛かりました。このチームで戦うのもあと僅か。激動の1年を一緒に戦ってきたチームメイト、スタッフとできるだけ長くサッカーするためにもJ1リーグでしっかりと結果を残し、天皇杯につなげたいと思っています。前節の湘南ベルマーレ戦に勝利し、僕たちは変わらず2位につけています。現時点で、この順位を自力でものにできるのは自分たちだけだということに自信とプライドを持ち、残り2試合を『ガンバが強くなるための試練』と受け止めて、アウェイでの横浜FC戦と、ホームでのラストゲーム、清水エスパルス戦に臨みたいと思います。

今回は、その湘南戦を少し振り返りながら『ファウル』について話したいと思います。6分に湧矢(福田)の今シーズン初ゴールで先制し、35分に僕が自陣ペナルティエリア内でハンドをとられてPKで追いつかれ、66分にパトリックのゴールで逆転して勝利した試合です。

まずハンドをとられてイエローカードを出されたシーンは、見ての通り、ハンドだったと思います。うちの右サイドを突破され、きれいに崩されたシーンで、あの瞬間に自分にできたことは、シュートブロックに入ることだけでした。故意に手を出したわけではないとはいえ当たったのは事実で、だから潔く引き下がりました。念のため、試合後に審判とコミュニケーションをとり「あの状況で瞬間的に手を後ろに組んでプレーできるんでしょうか?」と尋ねてみましたが、レフェリーの「それにしても、手の位置が高かった」と言う返答もしっかり受け入れました。

それは前提として、今回はそのあとの心理状態について話してみようと思います。イエローが出された事実を受けて、残りの時間帯をどういうメンタルでプレーしたか、です。といっても、プロサッカー人生でエリア内でのハンドをとられたのは2回目だし、そもそも僕はイエロー累積で出場停止になったシーズンが一度もないくらいカードをもらうことが少ないのですが、あの時、プレーが再開するまでの間に脳裏に浮かんだことは2つありました。
「1枚もらったことで僕のプレーが縮こまると、それがチームに伝染して全体がバランスを崩す」
「相手も俺のところを狙って攻めてくるようになる」
これはどの選手にも言えることだと思いますが、イエローが出されるとチームには「1枚もらっているから気を付けろ」的な空気が流れるし、相手はそれを逆手にとってプレッシャーをかけてきます。そこで仮にもし、左センターバックを預かっていた僕が消極的になったらどういうことが起きるか。左サイドバックのハルくん(藤春廣輝)や、一緒にセンターバックを組んでいた弦太(三浦)が僕のカバーを気にするようになり「源くんは1枚カードをもらっていて、ここはプレッシャーにいかないだろうから、自分がいかないと」というような意識が生まれることで全体のマークがずれていきます。相手がそれを察したら、僕を集中的に攻めることはもちろん、それを利用してスペースを作り出そうとします。そうなったら、まさに相手の思う壺です。

だからこそ、失点のあとも変わらず激しく、厳しく体を張ることを意識しました。そのプレーが結果的に2度のファウルになってしまったのは反省だし、チームメイトからは「1枚もらっているから、落ち着け!」と声もかけてもらいましたが、意外と自分は冷静でした。むしろ「イエローを1枚もらっても、俺はこのくらいハードにいく」とプレーを通して湘南の選手に示そうと思っていたので、自分としては狙い通りのプレーでした。
それは、僕に出されたイエローが、例えば、連続してファウルをした先に出されたカードではなく、ハンドで出されたから、というのもあります。前者なら、レフェリーへの心象を考えてもそれ以降のプレーは少し気をつけるべきですが、あの時は違いました。また、これまで心がけてきた通りに正当にボールに対してプレッシャーをかければファウルは取られないという自信もありました。そして何より『サッカーはメンタルスポーツ』だからこそ、メンタルで怯まないことがチームの力になり、相手の脅威になるとも思っていました。

もっとも『カードが少ない=セーフティーにプレーしてチャレンジしない』ということではないし、僕の中にもそういう考えはありません。そういえば、今年の最初にサッカー雑誌で見たJリーグの19年までの『タックル率ランキング』と『インターセプト率ランキング』で上位に選んでもらっていましたが、フランスで1年間プレーしていたにもかかわらず、未だに5位以内に自分の名前があったのは、嬉しく受け止めました。タックル数が多いのは相手に激しくいけている証明だし、インターセプト数が多いのは、読みが当たっていることを示しているからです。しかも、その上でイエローカードが少ないのは、センターバックとして胸を張っていいことだと思います。…って言うと「自慢か!」とツッコまれそうですが、これもメンタルの駆け引きだと受け止めてもらえたら(笑)! 
というわけで、ハンドは取られましたが、何よりチームが勝ったことを勢いにして、残りの試合に挑みたいと思います!

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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