柴田 麗Urara Shibata
管理栄養士/公認スポーツ栄養士
大学にて体育の教員免許を取得後、カラダを動かすことから食べることの世界に興味を持ち、栄養学を学んで管理栄養士を取得する。筑波大学修士過程を修了した後、05年に明治製菓株式会社(現・株式会社明治)に入社。
様々な競技のトップアスリートの栄養サポートに携わり、19年3月に退社。現在はフリーで活動している。好きなスポーツに出会うことは人生を豊かにすると信じてやまない。
私が栄養サポートの現場で目にした数多くのプロサッカー選手の食事は、実はいたってシンプルです。減量や体重維持、試合対策などといった目的の違いから、選手によって必要な栄養バランスは変わってきますが、基本的には、読者のみなさんが普段食べているような、身近な食品が食卓に並んでいます。ただし、そこには必ず、共通する基本的な食事のそろえ方があります。
その方法は名付けて「栄養フルコース型」の食事。サッカーや成長に必要な栄養素がフル(全部)で摂れる食事の型を意味しています。つまり、①主食(ごはん、パン、パスタ、うどん、そば、シリアル、もち等)、②おかず(肉、魚、卵、大豆製品)、③野菜(優先的に色の濃い野菜。トマト、ブロッコリー、ホウレン草等)、④果物(柑橘類、キウイ、イチゴなど食べると甘酸っぱいと感じるものを主に)、⑤乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)。この5つに分類される食べ物を揃えます(*表1参照)。
この「栄養フルコース型」の食事を毎食そろえれば、小難しい栄養素について考えなくても、5大栄養素をまんべんなく全部、摂れるのです。
カラダに必要な栄養素が含まれていれば、どんな食事を食べていても大丈夫とはいえ、毎食、「炭水化物が…」とか、「ビタミンが足りない…」などと栄養素の過不足を気にして食事をそろえるのは難しいし、味気ないものです。なので私は、ジュニア選手にもトップ選手にも、このフルコース型を提案しています。
最初は、自分のカラダを作る食事がどんな栄養素でできているのかを知るために「いただきます」の前に1つひとつの料理を指差し確認してみましょう。もし、「これは何番だろう…」という食べ物があれば、保護者、コーチなど周りの大人に聞いてみることを薦めます。きっと答えてくれるはず。もしそこで不足している番号が見つかった時には、リクエストするか、自分で準備してみましょう。足りない栄養素さえ分かれば、自分で補うことだってできるようになるはずです。最初は手間かもしれませんが、指さし確認が習慣になると、自然と栄養満点の食事が摂れるようになります。
サッカーの技術は、「ボールを止めて、蹴る」などの基礎がとても大事で、それを習得するためには、基本的な練習を繰り返し続けることが大切だと言われています。それと同様に食事もまた、誰にでも共通する基本的な食事=「栄養フルコース型」の食事を継続することが一番大切なのです。
<*表1>