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Vol.55 僕が対戦した『海外選手のベストイレブン』。

  • 2022.07.05

    Vol.55 僕が対戦した『海外選手のベストイレブン』。

発源力

©GAMBA OSAKA

前回、『Jリーグの外国籍選手ベストイレブン』を選びましたが、たくさんの方に反響をいただいたようなので、今回は僕がこれまで所属チームで、あるいは日本代表として対戦したことのある選手の中から『海外選手のベストイレブン』を選出してみました。システムは、前回、4-3-3が自分の理想と書きましたが、頭に浮かんだ選手の中から誰を削っていくかを考えたときに、前線の選手を一人でも多く選びたいと思ったため、3-4-3にあてはめました。前回同様、所属チームは僕が対戦した時のチームを明記しています!

GKはクルトワ(ベルギー代表/レアル・マドリード)。2メートルという身長も、存在感も含めて威圧感がものすごく、点が入る気がしなかったGKです。CKの時の存在感も絶大でした。18年のクラブワールドカップと2018ワールドカップ・ロシア大会の2度対戦しましたが、特にクラブW杯での『壁』感はすごかったです。
3バックは右からセルヒオ・ラモス(レアル)。チアゴ・シウバ(パリ・サンジェルマン)、マルキーニョス(PSG)。セルヒオ・ラモスはクラブW杯で2度対戦しましたが何せ、点を獲る!コーナーキックではマークについたのですが、チームメイトに向かってずっと声を張り上げて、ボールを呼んでいるし、100%に近い確率で彼にボールが集まります。その入ってくるボールの精度もさることながら、セルヒオ・ラモスの強さは異常やったし、おかげで僕は何度も死にかけました(笑)。
チアゴ・シウバは一際、ピッチでの落ち着きが目立つ選手でした。いい意味でスローな感じというか…のらりくらりやっているように見えるのに実はめちゃめちゃ先まで読んで考えているんやな、というプレーが多く、ピッチの上で何度も「すげぇ」とつぶやきました。そして、マルキーニョス。彼とはリーグ・アンで対戦しましたが、その時はセンターバックではなくアンカーで出場していて。うちのチームは、試合展開の中で困ったらヤヤ・サノゴという190センチ越えの大型FWに向かって蹴ることが多かったのですが、マルキーニョスは全部、競りに行って、全部、競り勝っていました。代表ではセンターバックをすることが多いですけど、僕の中では未だに「こんな1ボランチがいたらめちゃめちゃ楽やろうな」というインパクトが残っています。

ダブルボランチはモドリッチ(レアル)とカゼミロ(レアル)。モドリッチはめちゃめちゃ重心が低くてとにかくボールが取れなかった印象があります。レアルの中でも彼とトニ・クロースだけはパスやトラップ、『止めて、蹴る』などの技術が全てにおいてハイレベルでしたが、モドリッチの方がインパクトが強かったのでトニはベンチに回しました(笑)。カゼミロは、先ほどのマルキーニョスと同じ理由で「こんな1ボランチがいたらセンターバックは仕事をしなくていいやん」と思う選手でした。ファイターで潰す能力はピカイチやし、奪った後のパスもハイクオリティ。話が逸れますが、先日のUEFAチャンピオンズリーグ決勝でも間違いなくレアルを優勝に導いたキーマンでした!
右ウイングはデ・ブライネ(ベルギー代表)を選出。18年のW杯で対戦した際、日本がカウンターから失点したシーンでも、ドリブルしながら脅威のスピードで駆け上がったデ・ブライネに右足のアウトサイドでパスを出されましたが、一ミリもスピードを落とさずにあの質のボールを出せること驚いたし、試合を通じてミスが一番少なかったのも彼でした。それに対して、左ウイングのエデン・アザール(ベルギー代表)は、めちゃめちゃ重心が低くて、スピードとテクニックのある余裕たっぷりのドリブルを仕掛けてくる選手でした。同じ重心が低くても、ボランチに選んだモドリッチとは一味違うというか…。モドリッチはどちらかというと対峙する相手を抜く、というより重心を少しずらさせて、いなすみたいなプレーが多かったですが、アザールはボールを奪いにきた相手と真っ向から勝負し、抜き切ることができる、怖い選手でした。結果的に得点こそ決められなかったけど、いつでも決められそうな空気を漂わせていたのも『怖さ』を感じた理由でした。

3トップはカリム・ベンゼマ(レアル)を真ん中、右にクリスティアーノ・ロナウド(レアル)、左にエムバペ(PSG)にします。特に僕が説明しなくても…という3人ですが、一応説明します(笑)。
クリスティアーノはクラブW杯でハットトリックを決められましたが、とにかく点を決める、なんやかんや言って決める、のほほんとしている時間帯もあるけど結果的に決める、選手でした。90分を通して点を取るイメージをずっと備えていて「こういう展開になったら俺はここにいたら点を取れるな」「モドリッチがあの体勢でボールを持ったらここに入っていけばいいな」とか全て計算し尽くしていて、点を取るためだけに生まれてきた、点を取ることしか考えていないのがめちゃめちゃ伝わってきました。
ベンゼマは、ヘディングが強いし、ポストプレーがうまいし、ゴール前の動き出しと駆け引きがずば抜けている、なんでもできるFWでした。彼については書きたい話がたくさんありますが…ありすぎるので今回はこのくらいに留め、また何かの機会に書こうと思います(笑)。そして最後にエムバペ。PSGとの対戦で彼に決勝ゴールも許しましたが、速い、巧い、強い、の三拍子が揃った選手で今現在、世界のトップ3に入るFWだと思っています。19年の対戦でも異次元な選手だと感じましたが、その時のインパクトを上回って、近年はますます末恐ろしい選手になっている気がします!

ちなみに、あまりにすごい選手が多く、ベスト11では収まりきらなかったため、今回は控えメンバーも選びました(笑)!
GKケイラー・ナバス(PSG)、ラファエル・ヴァラン(レアル)、マルセロ(レアル)、トニ・クロース(レアル)、ガレス・ベイル(レアル)、ロメロ・ルカク(ベルギー代表)、セスク・ファブレガス(モナコ)です!本当は、ヴェラッティ(PSG)やアンヘル・ディマリア(レアル・マドリード)も選びたかったけど、僕の中では惜しくも落選しました(笑)!
こうして名前を並べてみると、本当にすごい選手と対戦させてもらってきたなと思いますが、残念ながら、彼らと対戦したから自分のレベルが上がったとは一ミリも思っていません。その時々は、自分がゾーンに入ったような、名だたる選手との対戦に見えない力が体の中から湧いてくる感じがしたし、アドリナリンも出て『俺なら絶対に止められる』みたいな感覚にもなり、突発的に自分がグンと成長したような気になりますが、試合が終わればまた元の自分のレベルに戻るみたいな感覚でした。実際、いつも試合が終わった時には「ほんまに対戦した?」くらいの感じになっていて、動画や写真を見て「ああ、現実やったんや」と思うことも何回もありました(笑)。
世界の名だたるチーム、選手はそういう戦いを何年も、何百試合も続けているんだなと思うと…いや、あまり考えない方がいいか(笑)。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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