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Vol.14 <番外編>『トレーナーXのひとり言』

  • 2019.12.25

    Vol.14 <番外編>『トレーナーXのひとり言』

連載コラム(コンディショニング) カラダを知って、強くなる!

  • サッカー専門トレーナーX
  • J1チーム専属トレーナーを経て独立し、現在Jリーガー・欧州プロサッカー選手たちを中心に様々な種目のトップアスリートのパーソナルサポートを展開。これまで国内外のプロサッカー選手、約200名のコンディショニングに関わってきた経験をもとに、コンディショニングを多元的に追求し続けています。

今回は番外編として、いつもとは違う切り口でトレーナーXのひとり言を聞いてください。

12月も残すところあとわずか。J1リーグは横浜Fマリノスの優勝で終え、国内戦は天皇杯を残すのみとなりました。
天皇杯の決勝戦は、鹿島アントラーズ対ヴィッセル神戸。会場となる新国立競技場のこけら落としというダブルの楽しみが待ち受けます。
そんな風に、国内サッカーがそろそろ終わりを迎えようとしている昨今。Xはもちろん、日本サッカー界に関わる人たちが沸いた、今年一番のビッグニュースといえば、何と言っても南野拓実選手の、プレミアリーグのリヴァプールFCへの完全移籍ではないでしょうか。

19歳でセレッソ大阪からFCレッドブル・ザルツブルグ(オーストリア・ブンデスリーガ)、さらに24歳でリバプールに移籍となれば、一見、スターダムな人生を過ごしてきたように見える南野選手ですが、以前から仕事を通して彼の戦いを見てきたXとしては、決してトントン拍子に登りつめたとは感じていません。

昨シーズンまでのザルツブルクには、世界中から集めた20歳以下の優秀な選手が2〜3年で世界5大リーグに移籍するという暗黙のスターダムセオリーがありました。
現在、リバプールに所属するFWサディオ・マネ選手もザルツブルクで2シーズンプレーした後、南野選手と入れ替わる形でプレミアリーグのサウサンプトンFCに移籍。さらに2シーズン後にはリバプールに移籍するなど、スターダムセオリーの代表的な例だと言えるでしょう。
今シーズンのザルツブルクはチャンピオンズリーグの本戦出場権を獲得し、少しチームの方針も変更しているように感じますが、依然、若い選手を中心に編成するスタンスは大きくは変わっていません。そう考えれば南野選手が19歳でザルツブルクに移籍した時もおそらく、2〜3年で移籍することをイメージしていたんじゃないかな〜?!

ですが、彼は結果的に丸5年、ザルツブルクでプレーしました。5人の監督のもとでは、中心選手として戦ったシーズンもあれば、途中出場が多かったシーズンもあるなど、決して簡単な毎日ではなかったと思います。ましてや、オーストリア人、ドイツ人、スペイン人、アメリカ人と国籍の違う5人の監督のもとで、それぞれの信頼を勝ち取るのはなかなか大変なことだったのではないでしょうか。18年のワールドカップ・ロシア大会に選出されなかった彼が日本代表に定着したのも、意外にも1年ちょっと前からです。そんな彼の現状を踏まえて、サッカー関係者の中には彼の大きなステップアップはもうないと考えていた人も多かったように思います。

ですが、南野選手は最高のステップアップを実現しました。これは南野選手が自分を見失うことなく戦い、自分を信じて、目標に向けた準備を怠らなかったから掴み取ることができた新たなスタートラインだったのだとXは思います。
と同時に、夢を描くサッカー少年には、南野選手のプレーだけでなく、その過程にもしっかり目を向けてもらいたいと思っています。一見、天才に見える選手でも思い通りにいかない時もあれば、悔しい思いを味わうこともたくさんあります。でも、いかなる時も、先を見る眼差しは失って欲しくないし、すべては自分に必要な経験だと自身に矢印を向けることがトレーニングにおいてもリハビリにおいても一番重要なのです。そんなことを南野選手の移籍に思った今日この頃でした〜!

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