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Vol.16 『ケガを知って強くなる!②』

  • 2020.01.22

    Vol.16 『ケガを知って強くなる!②』

連載コラム(コンディショニング) カラダを知って、強くなる!

  • サッカー専門トレーナーX
  • J1チーム専属トレーナーを経て独立し、現在Jリーガー・欧州プロサッカー選手たちを中心に様々な種目のトップアスリートのパーソナルサポートを展開。これまで国内外のプロサッカー選手、約200名のコンディショニングに関わってきた経験をもとに、コンディショニングを多元的に追求し続けています。

前回に続きテーマは『ケガ』。今回は「損傷や痛みの基礎知識」についてお話ししていきます。サッカーをやってきて、一番痛みが強かった時や長引いた時がいつ、どんな痛みだったのかを思い出しながら読んでください。

痛みというのは、4つに区別されています。
① 『侵害受容性疼痛』
相手選手に脚を削られた時、その部位にある痛みのセンサー(侵害受容器)が痛みを感受し、背骨の中にある脊髄から脳へ、痛みの信号を送ります。
*削られて「痛っ!」となった瞬間の痛み。

② 『炎症性疼痛』
その後、削られた場所に炎症物質(セロトニン、ブラディキニン、プロスタグランディンE2など)が放出され、痛みを増強します。腫れなどは、これらの物質の反応なのです。
*削られたところがズキズキする痛み。

組織の修復過程においてこの2つの反応は必要なため、基本的に3〜4日で落ち着くのが一般的です。ケガをしたらアイシングや圧迫するといいのは、これらの物質が必要以上に放出するのを抑えることを目的としています。

余談ですが、本来、痛みとは体の内(内臓器など)と外(皮膚や筋肉など)の異常を伝える警告信号の役割のために存在します。
世の中には無痛無汗症という生まれつき痛みを感じることができないという難病があります。舌を噛んでも、火傷や骨折などをしても痛みを一切感じることがないため、身体の警告信号が発せられません。受傷していることにも気づきにくく、知らぬ間に感染症などにかかってしまい、生命の危機に陥ることも度々起きてしまいます。
また、人は痛みを経験して学習し自分の行動を制御していくため、痛みを感じることができなければ、その学習も難しくなってしまいます。防御反応も欠如しているため、骨折や裂傷などを繰り返したり、その状態のまま動いてしまって症状が更に悪化し、治りにくくもなるのです。

③ 『神経障害性疼痛』
削られた場所のケガ自体はMRIやレントゲンなどで問題ないのに、組織の修復過程で筋肉内の神経繊維を巻き込んだ状態で圧迫してしまい、損傷部位やその付近がチリチリしたり、何気ない動きでチクッと痛むなど、感覚神経の障害によって起こる痛みです。
*削られたところの神経が正常ではない時の痛み。

④ 『心因性疼痛』
最後に、心理的な状態によって影響を受け、神経やカラダそのものは傷害がないのに痛みを感じることがあります。代表的なのが幻肢痛と言って、事故や病気などで手足を切断したあと、なくなってしまった箇所に痛みを感じたりする症状です。これは脳が事故や病気の時の手足の痛みを覚えていて、脳から痛みの感覚を呼び起こしています。

原因別に分類すると、痛みは上記のように区別できます。時に単独の痛みとして存在する場合もありますが、ほとんどの場合はこれらが重なり合って生じています。次回はこの基礎知識をもとに、応用編を話ししていきますが、まずは痛みの種類を正しく知ることから始めましょう!

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