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Vol.18 『ケガを知って強くなる!④ 〜腰痛について考えてみよう』

  • 2020.02.19

    Vol.18 『ケガを知って強くなる!④ 〜腰痛について考えてみよう』

連載コラム(コンディショニング) カラダを知って、強くなる!

  • サッカー専門トレーナーX
  • J1チーム専属トレーナーを経て独立し、現在Jリーガー・欧州プロサッカー選手たちを中心に様々な種目のトップアスリートのパーソナルサポートを展開。これまで国内外のプロサッカー選手、約200名のコンディショニングに関わってきた経験をもとに、コンディショニングを多元的に追求し続けています。

前回、ケガの初期ではないときの酸素欠乏による痛みについてお話しすると約束しましたが、今回はその序章になります。

よくある痛みに、腰の痛み(腰痛)があります。
ある朝起きたら腰が痛くなっていたり、練習後に腰に痛みを感じたことがある人も多いことでしょう。そんな風に腰の痛みを感じ、整形外科でレントゲンやMRIなどの画像検査をしたら、ヘルニアや脊椎分離症、すべり症と診断されたとします。
この場合、画像上に写っている異常とされたものを戻す方法は2つ。

① 外科的にヘルニアと診断されたのなら、手術をして除去。分離症やすべり症なら手術をしてワイヤー固定などをする。
② 手術をせずに、コルセットで固定しつつ安静に過ごし、いずれヘルニアがカラダに吸収されるのを待つ。分離・すべり症ならコルセットで固定して安静にしながら骨がくっつく、位置が戻るのを待つ。

おそらく、多くの選手が「手術まではしたくない」と考え、先ずは②を選択すると思います。その上で、仮に2〜3ヶ月間コルセットを装着して安静に過ごしていても、画像検査で変化が見られなかったら、
A) さらに固定安静の期間を伸ばす。
B) 痛みが出ない範囲でサッカーをやってもいい。

の選択になるでしょう。
でもって、そのうちに「たまに痛みは出るけど、それ以外の時は普通にやれています」となって、一旦はサッカーができるようになりますが「腰に爆弾を抱えているから、この先も一生、上手に付き合っていかなければいけないな」と思いながら過ごす人が殆どのはずです。

こういった腰痛の場合、筋肉のことは無視されたり、重要視されないことがほとんどですが、Xは腰の痛みの原因の90%が筋肉だと考えています。ヘルニアや分離・すべり症が痛みの原因ではなく、筋肉が痛みの原因だと考えた方が、理屈が通るからです。じゃあ、残りの10%の原因は? といえば、落下や転倒、ぶつかるなどによって腰を激しく強打したことによる明らかな外傷から生じた打撲や骨折、悪性腫瘍、感染症、内科的疾患の関連痛だと思います。

事実、多くの人は特に外的な力が加わったからではなく、いつも通りの練習や生活をしている中で急に、あるいは、徐々に腰痛を発症していませんか? でも、腰痛が起きた瞬間に、ヘルニアがいきなり飛び出てきたり、分離や腰椎のすべりが起こることはありません。腰痛になる何年、いや、何十年も前に、ヘルニアも、分離も、すべりもすでに出現しているのです。
考えてみてください。仮に「そういえば何年か前にも痛くなったかも?!」と思ったとしても、その後、痛みのない生活を送っていた期間はどう説明がつきますか? ヘルニアや分離・すべり症が原因なら、痛みをまったく感じなくなったり、痛みがある日とない日がある理由をどう説明するのでしょうか?
ヘルニア出たまま、分離したまま、すべったまま、にも関わらず、痛くない日、痛くない時間があるのはなぜでしょう??

つまり、骨や関節などの構造的な異常に痛みを結びつけてしまうと、実はつじつまが合わないことが多々出てきてしまいます。というわけで、次回に腰痛と筋肉の酸素欠乏の関連性について詳しく解説します。

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