柴田 麗Urara Shibata
管理栄養士/公認スポーツ栄養士
大学にて体育の教員免許を取得後、カラダを動かすことから食べることの世界に興味を持ち、栄養学を学んで管理栄養士を取得する。筑波大学修士過程を修了した後、05年に明治製菓株式会社(現・株式会社明治)に入社。
様々な競技のトップアスリートの栄養サポートに携わり、19年3月に退社。現在はフリーで活動している。好きなスポーツに出会うことは人生を豊かにすると信じてやまない。
合宿や遠征の試合などで「食事の時間が憂鬱です…」というジュニア選手の声をチラホラ聞きます。
その理由は食事の時のルールです。合宿や遠征では「食事の時間は30分」「後片付けはきれいに」「出されたものは全部食べる」「ごはんは必ずおかわりする」などのルールを決めているチームが多くあります。それぞれに指導者の方が意図を持って決められているのだと思います。
その中の一つ、「食べる量」が憂鬱になる要因の大半を占めているようです。小中学生はカラダも胃腸も成長段階にあります。それに伴い、個々に食べられる量に差があり、1食で決められた量を食べられない選手もいるからです。
食べられないからといって、憂鬱になる必要はありません。ただ、せっかくの合宿や遠征を有意義な時間にできるように、憂鬱を取り払うための工夫を日頃から実践してみましょう。
① 1食の量を増やす
サッカーをしている自分は、なぜ食べる量を増やすのが大切なのかを十分に理解しましょう。その上で「やってみよう!」と思えたのなら、いつもより大きめのお茶碗に変えます。そして、お茶碗によそう量を一口分ずつ増やすように心がけます。ここでのポイントは一口分ずつです。いきなり量を増やすとお腹がいっぱいになってしまい、食べるのが嫌になってしまう確率が高くなります。遠征が決まったら、それに向けて少しずつごはんの量を増やしていくことで、気がつかないうちに食べられる量も増えていることが多いです。
② 1日の食事量を増やす
補食を食べるようにしましょう。Vol.3でも書きましたが、まず3食で補えなかった、エネルギーや栄養素を補食で摂れるように考えます。平日は学校があるので、朝ごはんと昼ごはんの間はなかなか難しいと思います。チャンスは昼ごはんと練習が始まるまでの間、夕方の時間です。ここでは、練習のエネルギー源となる炭水化物(糖質)の割合が多い物を選びます。例えば、シンプルなおにぎりやパン、果物、100%果汁ジュース、エネルギーゼリーなどです。そして、練習後にはたんぱく質も含まれた物を選びます。具が充実したおにぎりやサンドイッチ、飲むヨーグルトなどの乳製品です。これを練習終了後30分以内に食べる習慣をつけます。また、休日で練習がない場合は、朝ごはんと昼ごはんの間にも補食を摂ることで、1日の食事量が増えていきます。
プロサッカー選手にも、ジュニア時代にたくさんの量を食べられなかった選手もいました。ですが、カラダの成長と少しずつ食べる量を増やす意識を持つことで、高校生になる頃には十分に食べられるようになった選手がほとんどでした。長い道のりに感じますが、焦らず、地道に実践していくことが大切です。