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Vol.13 この2ヶ月で生まれた変化。『自分に矢印を向ける』。

  • 2020.10.06

    Vol.13 この2ヶ月で生まれた変化。『自分に矢印を向ける』。

発源力

©GAMBA OSAKA

恐ろしい早さで9月が終わり、10月に突入しました。チームは直近の鹿島アントラーズ戦を含めて4連勝。17節のコンサドーレ札幌戦以降は4バックで臨んでいる中でチームとしては手応えを感じられることが増えてきました。もっとも現時点では「増えてきた」に過ぎず、まだまだ改善すべきことはあると思っています。気候も涼しくなり、夏場に比べてフィジカル的に動きやすくなってきたことも追い風に、より守備の徹底をしながら自分たちらしい攻撃のリズムを作っていきたいです。

一方、個人的なところに目を向けると、9節の横浜FC戦でJ1リーグ戦に初先発してから、全試合に絡んできましたが、正直、8月から9月にかけては自分自身のパフォーマンスに苦しんだところもありました。復帰したばかりの頃は、約11ヶ月ぶりの公式戦とはいえ、これだけの連戦だからこそ「試合勘を含めた自分らしさを取り戻すのに時間はかからんかもな」と思っていたけどそうはいかず…。そのことに他ならぬ自分自身がストレスを感じていたし、自分で言うのもなんですが、鹿島時代に示せていたような『ラスボス感』というか、絶対的な安心感をチームに対して与えられていないことも自覚していました。実際、良くも悪くもプレーに余裕がなかったというのも正直なところです。
そんな状況を自分なりに受け入れて、少し考え方を変えてみようと思うきっかけになったのが、17節のコンサドーレ札幌戦です。戦列に復帰後、初めて先発メンバーから外れたことで、自分の中でいい割り切りが持てました。正直、ツネさんからは具体的に控えに回った理由を伝えられたわけではなかったですが、いずれにしても「源を外しても大丈夫」と思われている状況が、自分の現在地だと受け止めました。結果的にその試合で弦太(三浦)がケガをしてしまい、思いがけず74分からピッチに立ちましたが…それこそ、プロ1〜2年目以来の途中出場でしたからね。ある意味、『途中出場』に関してはルーキーということもあって試合後は乳酸地獄に陥りましたが(笑)、久しぶりに途中出場で試合に入っていく難しさを再認識できたのはよかったと思っています。

さて、その『考え方を変える』という部分ですが、簡単に言うと、『自分にしっかり矢印を向けてプレーする』ということです。正直、札幌戦までの僕は、移籍初年度ということもあり、また試合に出始めて間もないことから、ガンバのサッカーとか、ツネさん(宮本恒靖監督)の戦術、周りの選手の特徴に自分を合わそうと思い過ぎていたというか。本来、自分のプレーさえ安定していたら、自然とチームも安定するはずなのに、肝心の『自分』のこと以上に、まずは周りにどう合わせていくかばかりに矢印が向かってしまっていた気がします。正直、トゥールーズに移籍した時は、言葉が全くわからなかったからこそ最初からプレーで「僕はこういう選手です」と示すことに集中できていましたが、Jリーグとなれば当然、周りの選手も僕のことを知っているし、言葉も通じるからこその気負いもあり…。コンディション的にもまだまだベストな状態ではないと自覚していただけに尚更、変な焦りもあったのかも知れません。

というようなことが、札幌戦で明確になったことから、以降は練習でも、試合でも、チームスタイルや一緒に組むセンターバックのタイプに関係なく、まずは『自分のプレースタイルはこれや!』というものを出すことに集中しています。もちろん、自分に矢印を向けることと、我がままにプレーすることは違いますが、そのくらい極端に振り切らないと、頭の中を切り替えられないと思っています。
もっとも、それができるのも、周りの選手のレベルの高さがあってこそで…。僕が少々、わがままに、自己中にプレーをしても、周りにはそれに合わせて対応してくれるヨングォン(キム)や、後ろで常に絶対的な安心感を漂わせているヒガシくん(東口順昭)をはじめ、心強いチームメイトがたくさんいます。そんな彼らに助けてもらうことで、少しずつ自分のやるべきプレーが整理され、頭で考えていることをスムーズに体現できるようになり、自分のプレーにイラつくことも減ってきました(苦笑)。と言っても鹿島戦も然り、まだまだミスはあります。それは反省して次に繋げなければいけないと思っていますが、ただ、ミスに萎縮することはありません。なぜなら、サッカーはミスが起きるスポーツで、ミスを救いあってプレーするのがチームプレーだし、それが出来て初めて『無失点』が実現すると思うからです。実際、ここ最近、ガンバの失点が減りつつあるのも、以前のように誰かのミスを、周りが救いきれずにさらにミスを重ねるというような『ミスの連鎖』がなくなって、誰かのミスを、誰かがきっちり救うことができているからだと思っています。そう思えばこそ、今後もミスを恐れずに、まずは『自分のプレー』に集中しながら、僕自身もチームメイトを助けていける存在になっていきたいと思っています。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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