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Vol.26 活動再開から5試合。『守備』に感じていること。

  • 2021.04.20

    Vol.26 活動再開から5試合。『守備』に感じていること。

発源力

©GAMBA OSAKA

4月14日のサガン鳥栖戦で今シーズンの初勝利を挙げることができました。コンビネーションも、チーム、個人としてのコンディションもまだまだ高めていかないといけないとはいえ、ガンバサポーターの皆さんも我慢強く一緒に戦ってくれているのを感じていただけに1つ、白星を掴めてホッとしています。これを本当の勢いにしていくには『連勝』が必要だと思っていたからこそ、続く清水エスパルス戦を引き分けで終えたこと、何よりホームでの初白星をまたしても奪えなかったことには悔しさしかないですが、試合を重ねるごとにポジティブに捉えられる部分も増えています。個々のコンディション、試合勘が戻りつつあることもそうだし、長いシーズンを考えれば、苦しい状況で試合が進んでいる中でも勝ち点を積み上げられていることは、今後の戦いに意味を持つと思っています。

また、守備を預かる一人としては、活動再開後のJ1リーグ5試合で、無失点の試合が4つあったことも自信を大きくしてくれています。もちろんこれはチーム全体の守備意識があってこそですが、センターバックでコンビを組んでいる弦太(三浦)ともお互いのプレーを刺激にしながら、ゴール前で粘れるようになってきたという手応えもあります。「ここで抜かれたら危ないぞ」というシーンで弦太が触ってくれたり、ヘディングで競り勝ってくれたり。僕もうまくスライディングでボールを狩ることができたり。サッカーはチームで戦うスポーツだけに仲間のプレーに勇気づけられて自分に拍車がかかっているなとも感じます。

僕自身のことを話すと前回も少し触れたように、個人的な感覚もすごくいいです。そのバロメーターのひとつに鳥栖戦での後半立ち上がり、54分のシーンが挙げられます。鳥栖の林選手のシュートチャンスを防いだシーンです。
少し解説すると、鳥栖の本田風智選手からDFラインの背後を狙ったスルーパスが出された瞬間、僕の頭には3つのことが浮かびました。1つは、本田選手は右利きなのでスルーパスが右に巻いて自分に近づいてくるような形になる分、水を含んだスリッピーなピッチコンディションでは早めにインターセプトを狙いに行っても足が届かない可能性があること。体勢的にスルーパスにあわせて抜け出した林大地選手の方がスピードに乗っていたため、並列で走ると振り切られる可能性があること。そして、3つ目がそれらを踏まえて最終的に選択したプレーですが、林選手に敢えて体を寄せながら走り、軽く体をぶつけることでスピードを減速させ、自分の前でボールを捉えた時にスライディングでボールを奪う方がより確実にシュートを防げるということです。
そんな風に数秒間に頭の中で最善の選択が何かを見極められること、つまりどんな状況にも『頭が冷静か』は自分の状態を図るバロメーターだと考えても、試合を重ねるごとにセンターバックとしての感覚は研ぎ澄まされてきているのを感じます。きっとそれは隣にいる弦太も同じで、だからこそお互いに安心して相手に任せるプレーが増えているんだと思います。

ただ、最初に書いた通り個人としても、チームとしても良くできるところはたくさんあります。特に今後も続く『連戦』を想定して必要だと感じているのは、いい意味でお互いが『省エネ』でプレーができるようになることです。これは、感覚的な話なので伝わりづらいかもしれないですが、お互いのプレーへの理解、信頼が増してコンビネーションが充実していけば、先に僕と弦太との関係性のところで触れたような、他の仲間に『任せる』プレーが増えていきます。センターバックで言えば、チャレンジ&カバーはセオリーですが、例えば状況によっては『弦太のところで1対1になったら、確実に競り勝ってくれるから、カバーに行く労力を割かずに次のプレーに備えよう』と思えたら、僕はカバーにいくための1〜2歩のパワーを、他のプレーに使える、というように。前線も然りで、前からの守備はチームとしての約束事の1つですが、例えば貴史(宇佐美)が状況によって「今なら後ろに陽介(井手口)もいるし、最悪センターバックがどうにかしてくれる」と周りを信頼できれば、前から追い回す力をやや減らして得点を奪うことに力を割けるはずです。

ある意味、それは試合勘やコンディション、仲間への理解や信頼が生む究極の『コンビネーション』とも言えますが、そうやって、みんなが少しずつ『省エネ』しながら自分のプレーに力を割くシーンがピッチ上のあちこちで見られるようになれば、連戦でも『ゴール』のために走りきる、戦い切れることが可能になるんじゃないかと思います。
もっともこれは、『サボる』ということとは全く別物の話。監督から求められる仕事、ポジションに与えられた役割は全うした上で、でも、内心ではそのくらいの心持ちで、それぞれが自分のプレーにより多くの力を割けるようになっていければ…必然的に狙いとするサッカーを『結果』につなげられる試合も増えていくんじゃないかと思っています。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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