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Vol.12 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースゼネラルマネージャー/三上尚子

  • 2021.04.21

    Vol.12 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースゼネラルマネージャー/三上尚子

PASSION 彼女たちのフィールド

2021年秋に開幕を予定している日本初の女子プロサッカーリーグとなるWE LEAG UE(以下WEリーグ)。日本女子サッカーの新たな歴史の幕開けとなるリーグに初年度から参入するジェフユナイテッド市原・千葉レディースのゼネラルマネージャー(以下GM)を務める三上尚子氏に現在の活動やクラブ、WEリーグの展望についてお話を伺った。

ー三上さんのこれまでのサッカーについての経歴を教えてください。

三上 サッカーを始めたのは5歳からで、幼稚園の頃からボールを蹴っていました。小中と地元のチームでプレーした後、高校生の時に当時の日本女子サッカーリーグに加入していた日興證券女子サッカー部ドリームレディースに入れていただき、社会人選手に混ざってプレーしていました。高校を卒業するタイミングでチームが休部になったことがきっかけで田崎ペルーレFCに移籍し3年ほどプレーしました。その後に現在のジェフユナイテッド市原・千葉レディースに移籍をしてプレーをしたのですが、一度退団してアメリカの大学に留学して現地の大学女子サッカー部でプレーをして、卒業して帰国後にジェフに戻って再びプレーさせていただき、2009年に引退してからはジェフで指導者として携わってきました。初めはU―18のコーチとして中高生を指導していて、その後レディースの監督として4年間させていただきました。その後またU-18の指導に戻り、2021年2月からGMを務めています。GMに就任したのもこれまでコーチングの現場でずっとやらせてもらっていてクラブに対する思いもありましたし誰にでもあるチャンスではないので、いろいろなことを勉強したりクラブのために働くということも自分の良い経験になると考え、責任の重さを感じながらも覚悟を決めてオファーを受けさせていただきました。

ーGMになられて、仕事の内容も変わったと思うのですがいかがですか?

三上 1月から引き継ぎを受けながら仕事をしてきましたが、去年までとは仕事も環境もガラリと変わりました。今まで現場スタッフとしてクラブやサッカーに関わってきましたが、現在はいろいろな会議に参加してクラブの運営についてなど話し合っています。これまで選手や指導者としてクラブに10年以上在籍していたのに、GMになるまで知らなかったことや見えていなかったことがたくさんあったんだなと発見することが多いですし、これまでコーチングスタッフが安心して業務に専念できる環境を作ってもらっていたんだなと感じています。
仕事の内容としては、例えば選手との交渉をおこなっています。現在クラブにはプロ契約の選手とアマチュア契約の選手がいるので、そうした選手のコーディネーションをするために外部の方と話すことも増えました。また強化面も担当しているので、外国籍の選手調査もしています。ただ今は新型コロナウイルス感染症の影響もあり選手を直接観に行けないので、映像で選手を見たりオンラインで面談をしないといけないという難しさはあります。やはり実際に会うのとオンラインでコミュニケーションをとるのでは勝手が違ったり伝わりづらい部分もあるので、そういった部分も難しさは感じますね。他にもクラブの様子を見るために練習にも足を運んでいます。今年はコロナ禍ということを考慮してキャンプをせず、クラブの施設でトレーニングをおこなっています。2月に入ってからチームも始動していて、徐々にコンディションを上げていっているところです。
また今年はWEリーグの初年度ということもありリーグとしても決めていかないといけないことがたくさんあるので、多くの方々と業務を分担しながら話し合うことが多いですね。チーム内での会議とリーグでの会議のどちらもあるので忙しくしています。

ーGMの1日のスケジュールを教えてください。

三上 日によって変わるのですが、例えば今日であれば午前中にサッカースクールなどの普及活動を企画しているのでそのための場所を探したり内容を調整したりしていました。あとは遠征のコーディネートをされている旅行代理店の方とミーティングを行ないました。午後はずっと会議をしていて、18時からはチームがトレーニングをしているので練習場へ観に行きます。その他空いている時間でスカウティングのビデオを見たりお金の管理業務をしたりというのが大まかな1日のスケジュールです。
 トレーニングはトップチームだけでなくアカデミーも観に行きます。アカデミーの練習場所はトップチームとは別なのですが、車で5分ほどの場所なので移動してすぐ観に行くことができるのでどちらの様子も足を運んで直接観るようにしています。

ープロサッカーリーグになることによる変化として感じられる部分はありますか?

三上 WEリーグになることで大きな違いというのは、選手が報酬を得ながらプレーすることができる環境になるというのが1つあって、それに対して選手の意識も変化する部分はあるかなと思います。それに伴い競技力の向上に更に力を注がないといけません。もちろん今までもそういう努力をしてきましたが、これまで以上の努力が求められますし、実際に選手の変化も見てとれるところがあるのでそこも大きな変化かなと思います。
またプロスポーツになることでより注目される部分は出てくると思うので、この機会を大きな変化にしていかなければいけないと思います。女子サッカーのプロスポーツ化をきっかけにWEリーガーになることが将来の夢という少女が増えたり、憧れの職業は女子サッカー選手という存在になればいいなと思いますし、今はまだ女性がサッカー現場で働くことは少ないと思うのでWEリーグになって女性の指導者や女性のフロントスタッフも増えて職業としても女性が活躍する場が増えればいいなと思います。もちろん選手としての活躍の場が増えることもありますが、選手引退後のセカンドキャリアとしても世の中に認知される機会として自分たちがそういう存在になれたらいいなと思っています。今の仕事をしていても周りに女性が少ないと感じているので、クラブやリーグの運営などに携わるGMやフロントのポジションにも女性が就けるんだというロールモデルと言いますか、女性の道を開拓できる人になりたいという思いもあって、それもGMになることを引き受けた理由の1つです。ジェフレディースはスタッフの男女比が50対50か女性が多いというチームになっていて、すごくこだわりを持って活動しているのでそこは意志を引き継いでやっていきたい。やはりそういうポジションがあってこそ女性の活躍やWEリーグの思いが実現できると思います。

ーご自身の現役時代と比べて、今の選手が羨ましいと思うことはありますか?

三上 私は選手の時にユニフォームや遠征費も自費で、クラブには月謝を払ってサッカーをしていた時代も経験していて今の選手とは環境が違いますが、それはそれで楽しかったと思います。厳しい環境でしたがその中で一生懸命にサッカーに取り組み、女子サッカー界を繋いできたのでそれに対しての誇りもあります。その当時は女子サッカーのプロリーグができるなんて夢にも思っていなくて月謝も自費も当たり前という感覚でしたが、自分の現役時代と比較して今の選手たちが羨ましいなと思ったりはしないですね。もちろん今の選手やこれからの選手がプレーしやすい環境を作っていきたいと思っています。

ーチームのプロ契約の選手は日中どのようなことをされているのですか?

三上 プロ契約している選手はWEリーグが開催する研修やクラブでおこなう活動に参加しています。選手のセカンドキャリアも考えた教育プログラムなどもありますし4月からは2部練習も予定しているので、アマチュア選手が仕事をしている間にプロ選手は完全フリーというわけではありません。

ー三上さんがアメリカの大学へ留学してプレーされた経験が今のお仕事に活きる部分はありますか?

三上 留学した経験が今に役立っているという明確なものはありませんが、アメリカの大学でプレーしていた時にサッカーやスポーツが文化になって人々の生活に根付いているというのを目で見て肌で感じているので、どうすれば日本でもそういう風になるかなと考えたり、そういう風にしていきたいという思いはベースに持ちながら今の仕事をできていると思います。実現するには様々な環境や文化の違いもあるので難しさも感じますが、アメリカでは大学スポーツがビジネスにもなりながら地域に根ざしてやっているということを感じたのは自分にとって大きな経験だったと思います。

ーGMの仕事で大変だなと思うことはありますか?

三上 今は就任して間もなく初めてのことばかりなので全てが大変ですが、実際に業務をしていく中で新しいものを作っていく大変さを感じています。0から1を作り出すには大きなエネルギーが必要ですが、前任の方がそういうエネルギーをたくさん持った方だったので私も見習わないといけないと思っています。やはりWEリーグ初年度ということもあり新しいことがたくさん出てくるので、話し合うことや決定しなければいけないことがたくさんあるのですが、いつかそれを楽しいと思える日が来ればいいなと思いながらやっています。

ー理想のGM像はありますか?

三上 今はまだGM像というのが明確に描けていないというのが正直なところです。GMになるまでGMがどういう仕事をしているのか知らなかったというのもあり、理想像というのは特にはなくて今は少しずつできることをやっているというところです。もちろんクラブについて選手やスタッフのことを常に気にかけながらより良いチーム作りをしていきたいので、1つずつできることを実行しているところです。

ー将来の展望はありますか?

三上 選手やOGがクラブのイメージや象徴になるような存在になってくれていて、そういった仲間を増やしてクラブをさらに良くしていくというのが当面の目標です。そういう仲間を増やしていくことがジェフだけでなく女子サッカー界にとっても良いことだと思っていますし、私自身もそうした仲間を増やしながらサッカーについていろいろな立場から関わってサッカーを学び、その経験を活かして選手に教えていけたらなと思っています。

ーありがとうございました。

<プロフィール>
三上 尚子(みかみ・しょうこ)
1981年千葉県出身。
5歳でサッカーと出会い高校生の時に日興證券女子サッカー部ドリームレディースに加入。在籍時にチームが廃部となったことをきっかけに田崎ペルーレに移籍し、ジェフユナイテッド市原レディースを経てアメリカへ留学。アメリカのカレッジスポーツとスポーツ文化に触れ、大学卒業後に帰国しジェフユナイテッド市原・千葉レディースに復帰し、フォワードやボランチとしてチームを牽引。引退後2010年より指導者としてジェフユナイテッド市原・千葉レディースのU-18やトップチームのコーチや監督を務め、2021年2月よりクラブのGMに就任。WEリーグ初年度に加入するクラブ運営を先頭に立って指揮する。

text by Satoshi Yamamura

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Vol.32 『チーム』で戦うということ。