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Vol.29 今シーズン初の『連勝』。

  • 2021.06.01

    Vol.29 今シーズン初の『連勝』。

発源力

©GAMBA OSAKA

ホームでのJ1リーグ16節・徳島ヴォルティス戦、17節・横浜FC戦で今シーズン初の連勝を飾ることができました。今のチーム状況を考えてもとにかく勝つことが一番の良薬だと思っていた中で、システムを3バックに変更しながらも全員がしっかりと共通理解を持って試合を進め、互いの存在を活かし合うことができたからこその結果だったと思っています。

中でも徳島戦は、チームの空気を一変させてくれた勝利になりました。4月のサガン鳥栖戦で今シーズンの初勝利を挙げた際はまだ、活動休止から再開して間もなく、そこまでチームに逼迫した空気が漂っている感じでもなかったけど、監督交代の事実も含め、7戦勝ちなしという最近の状況は間違いなくチームに大きな危機感と、張り詰めた空気を生んでいました。それがプラスの方向に転がるか、マイナスの方向に転がるかは、正直、紙一重の状況にあったと思います。でも、徳島戦で勝利できたことで、間違いなくプラスの方向に傾かせることができたし、練習の雰囲気、みんなの表情、声のトーン、話す言葉も一気に変わり、鳥栖戦の勝利では生まれていなかった空気が漂っているのを感じました。それは、試合に出ていたメンバーだけではなく、チーム全体に、です。

それがあったからこそ、先発を6人変更した横浜FC戦も、苦しい時間帯をしっかりと耐え、かつレアンドロ(ペレイラ)のPKを大きなきっかけとしてチームが落ち着いて試合を運べたように思います。
この2試合について、僕が預かる守備を中心に話をすると、3バックに変更したことによってビルドアップがスムーズになったのは手応えとして感じられることの1つです。4バックの時と違い、3バックの一人がボールを持ち上がっても後ろに2枚残っている分、真ん中を預かる僕の両脇の選手は臆することなくビルドアップに参加できるようになったし、実際にそれが起点になるシーンも多く見られたと思います。特にこの2試合は、相手が1トップを据えてきたこともあり、僕が相手の1トップを気にしながら、両脇のセンターバックがビルドアップに加わるという形を作り出せたことで攻守、両面にスムーズさを生んだようにも感じました。そしてヨングォン(キム)! 横にいても、彼の存在は本当に心強かった! 実際、ヨングォンのボールを持ち上がる力、個人の打開力が攻撃の起点になることも多く、横浜FC戦に関して言えばセジョン(チュ)も先発していた中で、セジョンへの言葉、プレーでのサポートもチームの助けになりました。セジョンは今、僕も驚くくらいのスピードで日本語が上達しているので、日本人選手とも十分コミュニケーションをとれていますが、それでもやはり彼にとって同じ母国語を話すヨングォンの存在は心強かったはずだし、戦術理解を深める上でも役立ったはずです。そう言った細かな部分でチームのあちこちにプラスに捉えられる要素が生まれつつあることや、なかなか得点が取れずに苦しんでいたレアンドロに初ゴールが生まれるなど、個人が自信を取り戻し、本来のプレーを取り戻しつつあることも、この先、チームを加速していくんじゃないかと感じています。

ただ、僕たちの立ち位置は何も変わっていません。今はとにかく1つ1つ、目の前の試合で勝ち点を積み上げていくしか現状から抜け出す方法はないし、6月2日の19節・湘南ベルマーレ戦を終えれば、AFCチャンピオンズリーグなどの兼ね合いで1ヶ月強、Jリーグの試合から遠ざかると考えても、3連戦最後の湘南戦で今、取り戻しつつある自信を勝ち点3につなげて『3連勝』で締めくくることが不可欠だと思っています。僕とヨングォンは代表戦のためにチームを離れることになりますが、仲間のことを信じているし、松波(正信)監督のもと、チームとして苦しみながらも蓄えてきた力が、湘南戦でもしっかりプレーで、結果で表現できると信じています。

そして、僕自身は、そんなチームメイトに負けないように、19年以来となる日本代表戦をしっかり戦ってきます。思えば、日本代表選出の発表は14節・浦和レッズ戦の直後で…あの試合では僕自身にも大きなミスが出てしまっただけに、選出を100%で喜べたわけではありませんでした。そういう意味では「ミスを教訓にして、チームでも代表でも波なくいいパフォーマンスを続けていくしかない」と改めて胸に誓った選出になったように思います。そして、そのことが以降のJ1リーグを戦う上での刺激になり、責任に変わっていました。であればこそ、その思いを今一度僕に思い出させてくれたガンバ、チームメイトに感謝すると同時に、今度は僕自身が日本代表で新たな力をしっかりと蓄え、それをチームに戻った時に還元できるようにしたいと思っています。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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