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ホームでの大分トリニータ戦、アウェイでの北海道コンサドーレ札幌戦と連勝し、勝ち点6を積み上げることができました。
大分戦は、ホームでの有観客の試合では今シーズン、初めての白星だったし、サポーターの皆さんとパナソニックスタジアム吹田で久しぶりに一緒に喜びを分かち合えて良かったです。この試合はキャプテンマークを巻いていたことから試合後には初めて、チームの先頭に立って『ガンバクラップ』の音頭をとりました。逆転勝利の余韻を味わいながら、皆さんが喜んでくださっている表情を近くで見れたのは嬉しかったし、何度も言っていますが、早く満員のスタジアムでこの瞬間を味わいたいと思いました!
もっとも、まだまだ連戦は続きます。大事なのは結果に一喜一憂することなく目の前の1試合に集中し、勝利を目指すこと。前の試合の課題は修正し、次の試合では良かった部分を回数多く、より長い時間、発揮することを愚直に求めて、引き続き、総力戦で相手に立ち向かいたいと思っています。
余談ですが、その大分戦後には、約2ヶ月ぶり家に帰ることができました。ナイトゲームだったので帰宅はやや遅くなりましたが、息子も眠い目をこすりながら待ってくれていて…帰った途端「パパ、一緒に寝よう!」と誘われ「よっしゃ、寝よう」とベッドに連れていったら、30秒で寝落ちしてました(笑)。翌朝も、僕が先に起きたので添い寝しながら寝顔を見ていたら、息子がパッと目を開けて…僕の顔を見るなり「パパぁ〜!」とにっこり。その日は1日「パパ、パパ」攻撃で幸せだったし、改めて家族との時間が自分にとってすごく大きなエネルギーになると実感しました。最近は息子も『ビデオ通話=パパが帰って来ない』と理解しているらしく、その翌日に遠征先のホテルから連絡した時は「また違うところにいるの?! 早く帰ってきて」と言われて切ない気分にもなりましたが、そんな家族の想いもしっかり受け止めてこの先も戦っていきたいと思っています。
さて今回は、現在開催中の『東京オリンピック2020』について少し触れたいと思います。
大分戦まではホテル生活が続いていたこともあり、最近は空いた時間を使って五輪をテレビ観戦しています。思えば、過去の五輪は時差もあったため、結果を知る程度でゆっくりテレビ観戦することもなかったのですが、今回は自国開催ということもあり、ここまでサッカーを始め、柔道、バトミントン、水泳などを観戦しました。
中でも、よく観ているのが柔道! 基本的に僕自身もハードスケジュールの最中にあるため、意図的に「この競技をみよう!」と思って観ているわけではないのですが、テレビをつけると、決まって柔道にあたるというくらい、たくさんの試合を観戦しました。オリンピック2連覇を実現した大野将平さんの決勝も凄く感動したし、その大野選手を始めとする柔道選手の皆さんの振る舞いというか…勝利が決まっても相手選手へのリスペクトから畳の上では決して喜ぶことなく深々と礼をして畳を降りていく姿や、畳を離れた瞬間に一気に表情を崩して喜ぶ姿に改めて、柔道という競技の奥深さや、『武道』としての魅力を知ることができました。また純粋に、サッカーとは異なる『個人競技』に向き合う選手の凄さに心が震えたというか。サッカーのような団体競技は、例えば調子が悪い選手がいたとしても他の選手でカバーしあえるし、交代もできますが、柔道のような個人競技はそうはいきません。良くも悪くも試合における責任は全て、一人で担わなければいけないし、周りの期待も勝敗の結果も全て、自分だけで受け止めなければいけない。そのメンタリティの強さは、きっと僕たち団体競技の選手とは全く異なるものなんじゃないか、と感じました。
また、これは柔道選手に限らずですが、予選であれ、決勝の舞台であれ、1つ1つの試合からは4年に一度の大会に臨むアスリートの皆さんの『覚悟』みたいなものが伝わってきて、そこにたどり着くまでの戦いを想像しながらいろんなことを考えさせられました。もちろん、僕たちもそうであるように、勝負の世界ではどれだけ努力をし、どれだけのものを賭けて臨んだとしても、全てが想い通りの結果になるとは限りません。他の大会で結果を残せたから今回も残せるとか、前評判が高かった選手が勝てるとか、そんな保証はどこにもなく、実際、今回の五輪でも、様々な重圧の中で、想い通りのパフォーマンスができないまま試合を終えたアスリートもいたはずです。
でも、彼らが目の前の1試合に自分の全てを注いで、人生を賭けて臨んでいることに嘘はなく、だから試合後には結果に対して涙も流れるし、言葉に詰まることもあるんだと思います。と同時に、そうした戦いまでの課程がパフォーマンスを通して伝わるから、スポーツは観ている人の心を動かせるんじゃないか、とも思います。
ということを改めて五輪を戦うアスリートの皆さんの姿から感じ取って「僕も、もっと頑張らなアカン」と改めて思ったし、ピッチに立つ限りは、僕が五輪を通してアスリートの皆さんから感じ取った『覚悟』のようなものが、応援してくれる人たちにしっかり届くようなパフォーマンスを示さなければいけないと思いました。東京五輪の後に待ち受ける、パラリンピックも含め、引き続きいろんなアスリートの方に刺激を受けながら、僕も戦います!
昌子 源Gen Shoji
1992年12月11日生まれ。
兵庫県出身。
11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。