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Vol.56 パリ・サンジェルマン

  • 2022.07.19

    Vol.56 パリ・サンジェルマン

発源力

©GAMBAOSAKA

来週の7月25日、ガンバはプレシーズンマッチ、パリ・サンジェルマン戦を戦います。個人的には、トゥールーズFC時代の2019年4月以来、約3年ぶりの対戦です。今回は、当時を思い出しながらPSGについての話をしてみようと思います。

3年前の対戦で真っ先に思い浮かぶのは、エムバペの太ももです(笑)。試合をする前は、さほど体がゴツいと感じることもなく、正直、標準的な体格だなと思っていましたが、試合後、彼と並走している写真を見返したら、とにかく太ももの太さが違いすぎて驚きました。僕自身、日本人では決して華奢な方ではないし、太ももも何なら太い方だと自負していますが、エムバペに比べたら約半分…。それを目の当たりにしたときに、試合で体感した彼のスピードや走り込んでくる迫力も相まって、改めて「そりゃ速いわ」と納得したのを覚えています。
実際、見た目の雰囲気とは対照的に、ピッチに立ったエムバペは、獰猛かつ、迫力のあるFWで、試合中に『足音』を聞いたのも彼が初めてでした。
というのも試合中、PSGが僕らのDFラインの裏を目がけて送り込んだボールにエムバペが後方から走り込んできたシーンがあったんです。それに対し、僕自身は「この弾道なら流石に間に合わないな」と思いながら、自陣のゴールに向かってボールを追いかけていたら、背後から、ドドドドドッ!と猛烈な勢いで何かが迫ってくる足音が聞こえてきた。しかも、速さも尋常ではなく、さっきまでハーフウェーラインにいたのに気づいたら自分の前にいた、くらいの勢いで、余裕で間に合っていました。結果的に、そのシーンではエムバペがシュートミスをしてくれたおかげで事なきを得ましたが、最終的には試合終盤にエムバペにゴールを許し、0-1で敗れました。

そのゴールシーンも鮮明に覚えています。サイドから、ペナルティアーク付近にいたエムバペにふんわりとしたクロスボールが送り込まれ…。僕らDFはボールの弾道も鋭くなかったし、トラップの後に詰めてくるだろうと予測してペナルティエリア内で待ち構えていたら、彼はほぼその場から動かず、右足でトラップした瞬間に、右足でシュートを打っていた、くらいの速さで右足を振り抜かれました。おそらく、僕らDFの立ち位置や重心のかかり方を見て、シュートを打つまでに時間をかけたら詰め寄られると予測してその判断したのだと思いますが、結果、僕らは一歩も動けないまま彼のゴールを見送ることになってしまいました。
加えて言うなら、決して強い弾道のシュートではないのに、GKの手がギリギリ届かないくらいのコースを的確に突いてゴールネットを揺らしたあたりにも、彼の技術の高さを感じました。

また、トゥールーズのホーム戦だったにも関わらず、街中がPSG一色に染まり、「俺たちの街にパリがやってくる!」的に、トゥールーズ市民がお祭り騒ぎになっていたのも印象的な出来事です。PSG戦以外ではめちゃめちゃ対抗心を燃やしてバチバチした雰囲気を作り出してくれるトゥールーズサポーターも、PSGだけは特別らしく…。スタジアムには、フランス屈指のスーパースター軍団が来るのを楽しみにしていた人たちで溢れ、そのほとんどがPSGを応援していたし、PSGの選手の1つ1つのプレーに…そこまで特別なプレーではなくても、いちいちどよめきが起きていました。
しかも、試合展開としては終盤まで0-0の展開が続き…当時、残留争いをしていたトゥールーズとしてはかなりの善戦で、何なら試合中に2度ほどあったビッグチャンスが決まっていたら、あわよくば勝てたかも、という内容だったにも関わらず、です。実際、エムバペ選手のゴールが決まった瞬間もスタジアムは俄然、盛り上がっていました(笑)。

余談ですが、こうしたビックカードを前にトゥールーズの選手が「やってやる!」「戦いたい!」というマインドにならないのも意外でした。その証拠に、PSG戦が近づくとやたらとケガ人が増えます(笑)。その理由は「PSGとの対戦は間違いなく90分間、守備に追われる。プレーしたところで自分の評価が下がるだけだから、出ないのが一番」だからとか。リーグ・アンは、世界的に『選手発掘のリーグ』的な見られ方をすることが多く、PSG以外のチームの選手はとにかくこのリーグで活躍してステップアップを図りたいと思っている選手が殆どのため『とにかくリーグアンでの自分の評価を上げることしか考えていない=パリと試合をしても自分の評価は上がらないから出ない』という構図が出来上がるそうです。

もっとも、僕自身は当時も、そして今回もPSGとの対戦がめちゃめちゃ楽しみです!おそらくパナソニックスタジアム吹田に来場されるほとんどの方がPSGの選手のプレーに熱視線を送るはずですが、その人たちの目をガンバに惹きつけられるような、自然とガンバを応援したくなるような戦いをしたいし、世界的なビッグクラブが相手でも腰のひけた戦いは絶対にしたくないと思っています。
言うまでもなく、先に書いたエムバペをはじめメッシやクリスティアーノ・ロナウドら、スター軍団と対峙するのは決して簡単ではありません。個人的にも世界最高峰のセンターバックと評されるセルヒオ・ラモス(PSG)やファン・ダイク(リヴァプールFC)ですら止められなかったスターたちを、そう簡単に止められるはずはないとも思います。ただ、リーグ・アン然り、世界では1対1での局面の戦いが当たり前になっていることを思えば、PSGも日本のような組織だった守備には慣れていないはずです。だからこそ、チーム、組織でPSGの攻撃を食い止め、かつ、相手の守備を切り崩すことを考えたいし、その上で先制点を奪いたい。それによって『本気の』PSGを引き出す流れに持ち込むことが、ガンバが本当の意味でこの試合から多くの財産を得ることに繋がるんじゃないかと思っています。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月に完全移籍が発表されたトゥールーズFCでもすぐさまレギュラーに定着したが、2シーズン目はケガに苦しみ、長きにわたり戦線離脱。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年2月にガンバ大阪への完全移籍が発表された。
    日本代表にも14年に初選出。18年のワールドカップ・ロシア大会でもレギュラーとして活躍した。

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