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Vol.58 悔しさ募る今だから、思いを伝える

  • 2022.08.23

    Vol.58 悔しさ募る今だから、思いを伝える

発源力

©GAMBAOSAKA

J1リーグ戦では7試合、白星から遠ざかっている状況の中、とてつもない悔しさと向き合う時間が続いています。本音を言えば、この状況で自分から積極的に話をしようという気持ちにはなれないし、できれば、試合後の囲み取材などの場にも立ちたくありません。ましてや前節・サンフレッチェ広島戦のように5失点も喫した試合の後となれば、尚更です。
ですが、僕は今、その悔しさのまま、パソコンの前に座っています。口を閉じてしまうのも、自分の殻に引きこもるのも簡単ですが、こうした状況で何も考えを伝えない、言葉を発信しないとなれば、ガンバを愛し、応援してくださっている皆さんとの心の距離が開いてしまうんじゃないかと思うからです。皆さんが今、どういう思いでいるのかを想像すればこそ、今話さなければいけないとも思います。

もちろん、これにも賛否はあって、もしかしたら「書いている暇があるなら練習しろ」「言葉じゃなくていいから結果を残せ」と言う人もいるかもしれません。でも僕自身は、こうして自分の思いを伝えることもプロサッカー選手としての責任の1つだと考えています。それに、『発源力』を始めた時から、SNSをしていない僕はこの場で自分の本音を言葉に変えていくと皆さんに約束しています。この世界、勝つことも負けることもあるし、いい時ばかりではないのも承知の上で、この連載を始めています。『言葉』というのは不思議なもので、たとえば同じことを言い続けていても、勝っている時には受け入れられていた言葉が、負けている時には鼻につくとか、悪目立ちしてしまうと言うことは多々あります。チーム状況が良くない中で発する言葉がいつも以上に、注目されてしまうことも重々承知しています。ですが、それでもやっぱり僕は、今の自分の率直な思いを自分なりの言葉にしてみようと思います。

まず、先週発表された片野坂知宏前監督の契約解除について。当然ながら、毎日のように顔を合わせ、苦楽を共にし、カタさんのサッカーを共に作り上げようと戦ってきた僕たち選手が、何も思わないはずはありません。結果が出ていない事実に対していろんな意見、考え方があり、賛否があるとは思いますが、それぞれの試合ごとにどんな狙いがあったのか。どういう経緯があって先発のメンバーが選ばれたのか。何ができて、何ができなかったのか。本当のところを知っているのは、おそらく毎日、顔をつき合わせ、汗を流し、共に戦ってきた僕たち選手、スタッフだけで、だからこそ、最後まで一緒に戦えなかったこと、カタさんの思うサッカーを形にできなかったこと、結果に結びつけられなかったことを本当に悔しく感じています。

ただし、だからと言って、僕たちはそれを引きずっているわけにはいきません。この世界では、結果が出ないと監督が責任を負って退任に追い込まれるのが常ですが、僕たち選手には残りの試合を託された責任があります。それに、監督交代になったからといって時間がゆっくり進んでくれるはずはなく、むしろ、この1週間は、新監督に就任したマツさん(松田浩)のもとで、時間を惜しむように過ごしてきたせいか、ものすごいスピードで時間が駆け抜けました。最初のミーティングで、マツさんも「本来なら3〜4日かけて自分のサッカー感を伝えたかったけど、時間がないからコンパクトに約2時間にまとめた」と話されていましたが、そうやってお互いに短期間でサッカー感を擦り合わせ、頭の中を整理し、新しいサッカーでの自分の役割、チームとしての狙いの中でいかに個人が躍動できるか。それを結果に結びつけられるかに気持ちを注いで準備を続けてきました。
ですが結果的に、マツさんの初陣となった広島戦は、悪い流れを断ち切ることができず、勝利を掴むことはできませんでした。

守備を預かる一人として、今シーズン最多の5失点は非常に悔しく、ましてや攻撃陣が複数得点を挙げてくれていたことを思えば、後ろは何としても耐えて2-1のまま試合を終えなければいけなかったと思っています。4-4-2にシステム変更した中での戦いは、先制できた流れや、加点できたことも追い風にしながら機能できた部分もありました。前半も苦しい時間はあったし、これまでの『縦ずれ』が多いサッカーから『横ずれ』の多いサッカーに変わったことでの消耗は感じながらも、それぞれが自分の役割を理解しながら我慢をして戦えていたと思います。
ただ、得点した後にすぐに失点してしまうとか、立て続けに相手に得点を許してしまったことで、相手を勢いづけてしまったし、特に逆転ゴールを許してからは、チームとしての統一感のなさを露呈してしまいました。本来なら、そこからもう1つギアを上げなければいけないのにプレー強度が落ちてしまったのも今の自分たちの物足りなさを感じたところです。チームとして、残留争いをしている状況が故の自信のなさも相まってプレーが縮こまってしまい、肝心なところで躍動感を示せなくなっていく状況は、この試合に限らずここ最近の試合を通した課題の1つだと思っています。

もっとも、負けた事実を悔しく受け止めながらも、残り9試合に向き合うマインドは微塵も揺らいでいません。マツさんが就任に際して「自分たちを信じることを辞めちゃいけない」と話されていましたが、まさにその通りで、自分たちを信じて戦い続ける先にしか結果もないと思うからです。だからこそ、この先も、自分たちが全てを注いで目の前のサッカーに懸命に向き合い続けていることに自信を持って、だけど、それが『結果に結びついていない=足りていない』という事実からも目を背けず、戦い続けます。そして、残り9試合はより熾烈さ、厳しさを極めていくからこそ、僕たちと同じように、ガンバを信じ、自分を信じ、ガンバの勝利を諦めずに戦ってくれる皆さんと共に進みたいと思っています。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月に完全移籍が発表されたトゥールーズFCでもすぐさまレギュラーに定着したが、2シーズン目はケガに苦しみ、長きにわたり戦線離脱。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年2月にガンバ大阪への完全移籍が発表された。
    日本代表にも14年に初選出。18年のワールドカップ・ロシア大会でもレギュラーとして活躍した。

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