1月末から続いた11連戦も3月4日のPSG戦で終わり、ようやく週に1試合のペースに戻ります。ヨーロッパのカップ戦に出場しているチーム同士の試合は、なるべくヨーロッパのカップ戦がある週末に対戦するように組まれているため、連戦の中強豪ばかりとの試合で、大変タフな1ヶ月でした!
PSGはチャンピオンズリーグではベスト16で敗退してしまいましたが、フランスリーグでは別格のクラブ。パリが各クラブのアウェーで試合をする時には、各地でお祭りのような騒ぎになります。今回はアウェーでの対戦ということで、パリのパルク・デ・プランスというスタジアムでの試合。以前は、フランス代表が使用していたスタジアムでもあり、歴史もあるスタジアムなのですが、最近はスタジアムというよりも何か劇場のような雰囲気を醸し出しています。ウォームアップ時にグランドに出る時はどのスタジアムでも大ブーイングが起こるのが普通ですが、パリはゴール裏に構える熱狂的サポーターからのみ。その理由は、観客の変化によるものだそうで、以前に比べスター揃いのPSGを観たいという観光客や企業などがチケットを購入するため、他のクラブと比較して熱狂的サポーターが減ってしまっている、というのが理由だそうです。
試合は、前半2-2で折り返したものの、PSGが後半リズムを上げてきたことに加え、こちらはカップ戦による連戦で疲労もあり後半2失点し、2−4で敗戦。こういう試合では常に個のレベルの違いを見せつけられます。どんなレベルであれ、監督やコーチをしていると、相手に明らかにレベルの違う選手がいて、圧倒的な差を見せつけられるという経験があると思います。エンバペのスピードはまさにそれで、わかっているもあのスピードでチャンスを作られたり、メッシと今回は欠場していたヴェラッティ・ネイマールなどが絡む狭いスペースの中でワンタッチで相手を抜き去るレベルの高さは他のリーグアンのクラブとは比較になりません。
試合後に自分たちのチームの試合を再分析してみると、ヨーロッパリーグに出るような強豪・またはフランスリーグの強豪と呼ばれるクラブは、個のレベルも高くチームとして完成されていますが、常識を外れたプレーというものを見る機会はなかなかありません。ですが、PSGのようなスーパースターが集まると話が変わってきて、明らかに抑えたというスペースを使って崩してきたり、いつどこでその場所を見てたの?というようなタイミングでパスが出てきたりします。皆さんもテレビでチャンピオンズリーグを見ているとたまに感じることがあると思いますが、ベンチからそのプレーを見て、ビデオでそれを再確認するとそのレベルの高さに脱帽してしまう、ということがあります。そういう経験を経て、「本当にサッカー理解出来てないな」と顔にビンタを食らっているような感覚になります笑。
シーズンもインターナショナルウイークを終えると終盤戦に入っていきます。強豪との対戦もほぼ終わり、残すは日本人選手の所属するランス・モナコ・ストラスブール・トゥールーズとの試合や、フランスカップの準決勝リヨン戦が残っています。シーズン終盤でもこのような試合が沢山残っているケースはあまりないので、良い結果を得られるように頑張りつつ、楽しめたらなと思っています。
太田 徹Toru Ota
1981年07月11日生まれ。
東京都出身。
武南高校から獨協大学へ進学。東京リゾート&スポーツ専門学校アスレティックトレーナー学科を経て、リヨン第一大学フィジカルトレーニング学部に進む。
2011-2016オリンピックリヨン女子トップチーム フィジカルコーチ、2016-2018パリ・サンジェルマン女子トップチームアシスタントコーチ、2019-2020トゥールーズFC 昌子源通訳兼トップチームフィジカルコーチ、2021から現在は、FCナントトップチームアシスタントコーチを務めている。
2022フランスカップ優勝や、 2011,2012,2016UEFA女子チャンピオンズリーグ優勝など実績と経験を兼ね揃え、現在も活躍中である。