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Vol.93 充実のキャンプ。

  • 2024.02.06

    Vol.93 充実のキャンプ。

発源力

©FCMZ

1月19日に沖縄県名護市で始まったキャンプも半分の日程を消化しました。今はうるま市に移動して二次キャンプと向き合っています。
名護市では基本的に体を徹底していじめるフィジカル中心のメニューが多かったですが、うるま市に入ってからは、チームとしての土台づくりプラス、それをいかに実践で表現できるかのチャレンジが主な目的で、コンスタントに練習試合を戦いながらいいトレーニングができています。ここまでの練習試合は4試合。名桜大学戦に始まって、FC琉球、北海道コンサドーレ札幌、川崎フロンターレと戦い、僕自身は琉球戦を除く3試合に出場しました。うち、札幌戦は町田がJ1リーグに昇格後初のJ1クラブとの対戦でしたが、自分たちの狙いとしている部分を数多く表現できた試合になったし、それは31日に戦った川崎F戦も同じでした。

サッカーにおいて『結果』は、チーム、個人にとって何よりも自信になると考えても、全ての試合で勝利をつかめているのはポジティブな材料です。ただ、僕は仮に結果が出なかったとしてもこのプレシーズンを通して出てくるいい部分、悪い部分は、いずれもポジティブなこととして受け止めるべきだと考えています。それらがチーム、個人として積極的にチャレンジした上でのことなら、たくさんのミスも失敗も必ず成長につながると思うからです。
その点においては、今のところチームも、選手も、それぞれに練習や練習試合を通して、自分のピッチでの役割も理解しながらたくさんのチャレンジを続けられています。もともとこのチームには、口を開いて自分の考え、判断を伝えられる選手が多いことも、その雰囲気をより良いものにしています。そうした継続は、シーズンが始まってからも必ず、苦しい時期、難しい展開の試合で自分たちを救ってくれる力になるんじゃないかと思っています。

 また僕自身も、始動日からここまで、チームメイトやスタッフへの理解を深めながら、充実した時間を過ごせています。始動日から黒田剛監督や金明輝コーチには個人的に「J1の基準、トップレベルで戦ってきた基準を示してくれ」という言葉を掛けられてきましたが、そのこともいいモチベーションになっています。その『基準』というのは日々のパフォーマンスや練習に100%で取り組む姿で示していくのが一番だと思えばこそ、日々それを自分に課して練習や練習試合に取り組んでいます。といっても、それらは鹿島アントラーズやガンバ大阪でも心がけていたことで、町田にきてから特別何かを変えてプレーしているということではありません。自分がこれまでのキャリアでやってきたこと──仲間に対しても怒るべき時には怒り、いいプレーについては褒めるということも気負わずにやっています。そう考えても、僕を以前から知る人の目には「いつも通りだな」と映っているはずです。ただ、経験豊富な選手が数多く在籍していた鹿島やガンバとは違い、町田はここからトップレベルでの経験を積み上げていく選手が多いチームです。だからこそ、これまでとは違う種類のやりがいを感じているのも事実だし、そのことは自分のプレーに対する責任をより大きくしてくれているように思います。

もっとも、その基準を示す仕事は僕だけが担っているわけではなく、北斗くん(下田)や啓矢(仙頭)、海(柴戸)を始め、ナ・サンホやオ・セフンら経験豊富な外国籍選手もそれぞれが自覚を持ってチームを牽引してくれています。何より裕希さん(中島)というチーム最年長選手が示している存在感もすごく心強いです。鹿島の大先輩でもある裕希さんと同じチームでプレーするのは初めてですが、口数は多くはないけど常にチームのお手本になるような振る舞いをするとか、どんな時も絶対に練習をサボらないとか、若い選手にも求めるべきことははっきり口にするといった鹿島出身選手に漂う特有の空気感を感じます。その姿から学ぶことも本当に多いです。そうした経験のある選手と、若手選手の間に距離がなく、お互いをリスペクトし合いながら共存できているのもこのチームの良さだと感じています。

またキャンプという寝食を共にする時間を通して改めて感じているのは、クラブスタッフもまたチームを全力で後押ししてくれているということです。敢えてそう振る舞っているのかは定かではないですが、チームに一番近いところで仕事をしているクラブスタッフの広報チームは、どんな時も常にニコニコと笑顔で僕たちをサポートしてくれています。彼らにとっても初めてのJ1リーグを戦うシーズンで、例年にない数の取材対応に追われているのが伺えますが、決して疲れた顔は見せず、ピリピリした空気も出さずに笑顔で仕事をしてくれている姿が、チームの雰囲気をより盛り上げてくれています。そういう意味では、選手、コーチングスタッフ、メディカルスタッフだけではなく、クラブスタッフを含めた全員が『FC町田ゼルビア』として、一丸となって前に進もうとしているのを改めて感じられているキャンプになっています。

そんな頼もしい仲間とのキャンプもあと半分。この後2月2日から始まる宮崎県綾町での三次キャンプを含め、仲間たちと実りある時間を過ごし、たくさんの収穫を手に町田に帰りたい思います。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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