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Vol.19「沖縄キャンプスタート」

  • 2024.01.25

    Vol.19「沖縄キャンプスタート」

絶康調

沖縄キャンプが始まった。去年と比べると全然暖かくて動きやすい。今は走って追い込んでいる。怪我しない体づくりっていうので、とにかく走ってる。それがまたえぐい。キャンプ直前から3日に1回、午前中に1キロ走を8本のメニューが続いている。ハアハアいうほどじゃないけれど、最後の方はもう「走ってるのしんどいわー」ってなる。その分、達成感はすごく大きい。午後の練習は疲れが抜けきらない状態でやるからなおさらきつくなるのよ。速い人から遅い人まで3グループに分かれて走る。オレを含め遅いグループの人はゆっくりとはいえ、十分きつい。怪我明けのオレにとってはそれぐらいがちょうどいい。練習していない期間も長かったから、今のオレの体づくりのためにもロングランはすごく大事だと思って、遅いグループで一生懸命走ってる。タイムリミットも定められているので、それなりに必死だ。

いまのところ、午前がロングランなら午後は対人を中心としたメニューとなり、それ以外の日は午前に対人中心で午後が筋力トレーニングという流れ。対人は3対3から11対11までさまざまで、基本ゲームメインの中で森山監督(ベガルタ仙台森山佳郎監督)から守備の指示を受けながらやっている。戦術というより個々で戦う部分を強化している。常日ごろ言っているように、個人の成長がチーム強化にとって一番だと思っているからしっくりくる。対人練習は守備に重点を置いている。去年はクロスからの失点とか本当にもったいない失点が多かった。徹底的に守備のところをやっている。寄せる距離だったり、クロスを上げさせなかったり、最後のところで体を張ってゴールを守ったりとか。その辺は監督も口酸っぱく言っている。ポゼッションの練習でも守備側に「もっとボールに行け」と言うしね。いろいろなやり方がある中で、迫力があって意思疎通できているときがいい守備になるわけよ。その最低限のレベルの土台のところを口酸っぱく言って植え付けようとしている感じがする。アプローチに関しても「もう1歩寄せようか」とか、「あのボールのとこ奪い切れるよ」とか。だから、「監督いいこと言ってるなー」って思って楽しく取り組んでいる。うまくなりたい、勝たせる選手になりたい、いまの監督コーチ陣の中で成長できると感じている。要求が高い。一つのロングキック、ヘディング、パスにしてもすごいちゃんと求めてくるし。いい雰囲気で練習できている。森山監督はいいプレーは絶対に褒める。誰にでも大きな声で。ギリギリのところでゴールを守るとか、点を取るとか、切り替えが一番速いとか。監督も初めてのJの監督だし、チャレンジしている部分はすごくあるだろうから、みんなで監督のために頑張っていきたいという思いはすごく大きい。熱いよ。若手はまだ監督の熱量に圧倒されている感じがする。

チーム全体が若返ったことによって、ある変化が起きた。練習前の準備に人が少ない。チーム練習が始まる前にいろいろと準備するでしょ。テープを巻いたり、もも裏を温めたり。筋肉を温める器具があって、いろいろな部位を温めているとそれだけで20分以上掛かる。今年は若い人が多くて前準備が必要な人が少ないからか、待ち時間が激減した。競合相手が少ないからいっぱいケアの時間を使えて、準備がとてもはかどっている。あまりにも効率が良くなってトレーナー陣も驚いている。歳取ってきたらケアしなきゃいけないところが増えるので、練習する前に時間を多く取らないといけない。練習後は痛めたところに電気を当てるとかのケアもすごく大事になってくる。あとは疲労回復を早める効果が期待できるアイスバス(氷風呂)が、今年はマストになった。去年は5~6人しか使っていなかった。アイスバスをちゃんとやるかどうかで2~3年後に違いが出てくる。習慣づけしてくれるスタッフに感謝しないといけないなって思っている。苦手だけど。そして、待ち時間を減らすために、夏に子どもが遊ぶような大きいプールが二つ用意されている。一気に14~15人ぐらいが入って、そこで結構コミュニケーションが取れている。まだみんなと話せていないオレにとっても、すごくいい時間になっている。アイスバスがいい社交場になっているよ。苦手だけど。

とにかく練習の負荷が高い。普通2部練習だったらどちらかはコンパクトになるのに、今は両方しっかりやっている。全然疲労回復できていない状態で午後の練習に臨み、きつい練習の中でもすごく要求されている。楽できない。若い連中の練習についていくのがいっぱいいっぱいですって感じ。本当にこんな状態でみんなすごくよく走って頑張ってるなと毎日感心しちゃう。オレもこんなに追い込んだのはプロになって初めてじゃないかなってぐらい。それでも、みんなのやろうという意識がすごく伝わってくるからとても雰囲気がいい。オレはついていくのに精いっぱいな分、一個一個のプレーで見せるというか、内容を濃くしてやらないといけない。必然的にプレーの質を上げていかないと。1回のプレーの質を常に求めながらやっていきたい。1年間しっかり戦いたいから、脱落しないよう頑張る。キャプテンになったしね。

  • 遠藤 康Yasushi Endo
  • Yasushi Endo

    1988年4月7日生まれ。
    仙台市出身。
    なかのFC(仙台市)から塩釜FC(宮城県塩釜市)を経て2007年鹿島アントラーズに加入。左足のキック精度が高く、卓越したボールキープ力も光る攻撃的MFで、10年以降は主力として3度のJリーグカップ制覇や、16年のJ1リーグと天皇杯優勝などに貢献した。J1通算304試合出場46得点。
    2022年、15年プレーした鹿島を離れ、生まれ故郷のベガルタ仙台へ完全移籍した。
    U-15、U-16、U-18の各年代で代表経験があり、15〜17年は日本代表候補に選出された。

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