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Vol.22(最終回) 『ケガを知って強くなる!⑨ 〜X式認知行動ワーク』

  • 2020.04.29

    Vol.22(最終回) 『ケガを知って強くなる!⑨ 〜X式認知行動ワーク』

連載コラム(コンディショニング) カラダを知って、強くなる!

  • サッカー専門トレーナーX
  • J1チーム専属トレーナーを経て独立し、現在Jリーガー・欧州プロサッカー選手たちを中心に様々な種目のトップアスリートのパーソナルサポートを展開。これまで国内外のプロサッカー選手、約200名のコンディショニングに関わってきた経験をもとに、コンディショニングを多元的に追求し続けています。

前回、一般的な「認知行動ワーク」の方法を紹介しました。
自分を内観することはケガの有無に関わらず大切なことだと考えていますが、ケガが長引いたり、思うように回復に向かっていない時などは、色々な情動が湧き出て気持ちの整理が難しいものです。認知行動ワークがしっくりくる人、しっくりこない人がいても当然です。そこで今回は、もう少し気軽にできる方法を紹介してみようと思います。

「X式認知行動ワーク」
① 痛みを叱る
② 痛みを無視する
③ ケガをしたことに感謝する。

まずは最初の2つをやってみましょう。具体的には、①なら、例えば痛みを感じている膝に向かって「おいっ! 膝、いい加減にしろ! オレの体をコントロールするのはオレ自身だ! お前(膝のこと)がオレの行動をコントロールすることは許さない!」と叱ります。②はそのまんまで、言い方が悪いですが痛みや痛みの部位を“シカト”します。

「え!? そんなこと?」と思うかもしれませんが、そんなことです。痛みを叱るという行為は、痛みを自分と分離させることにもつながります。もちろん痛みは自分の中で起きているのですが、痛みやケガを客観視することで「本来の自分」を取り戻すのに役立ちます。
また痛みをシカトするという行為は、痛みに意識が集中し過ぎて、返って痛みに敏感になってしまっている自分から抜け出すためです。朝起きて痛みを確認することに始まって、何かにつけて痛みを確認することを繰り返しているうちに脳は痛みとの連携性を必要以上に強めてしまっています。ですが、例えば、何かに足をぶつけて泣いている小さな子供に、その子の大好きなお菓子を見せたら、お菓子の方に意識がいって足をぶつけたのを忘れた、という経験はありませんか? それと同じように考えてもらえればと思います。

この2つのワークによって、最初は1分だけ痛みを感じずにいれた、10分痛みを感じなかった、から始まって、その時間が1時間、半日、一日と少しずつ延び、痛みとの決別に向かっていることを実感できます。これはつまり、痛みがあることではなく、痛みがない時間にフォーカスした方法です。

そして大事なのは、③です。
どんなケガでも自分に何らかの気づきを与えてくれているはずです。こんな風に、精神論っぽいことを言うと「怪しいっ!」と思われる方もいるかもしれませが、先に書いた①と②で終わらないことが、実はとても大切なのです。①と②によってケガや痛みは分離させられたとしても、自分の中に起きている事実は最終的には分離できません。だからこそ、受け入れるタイミングや時期も重要ですし、その時には「ありがとう」と感謝して自分の中に統合し、「また一緒にサッカーやって行こうぜ!」というような気持ちでケガに寄り添ってあげてください。

というわけで、約1年間、Xの連載にお付き合いいただきましたが、コラムの方は今回が最終回となります。これまで、Xの拙い文章をお読みいただいた読者の皆さまにお礼申し上げます。ありがとうございました。また何らかの形で皆様に情報を発信できればと考えていますので、その時はお付き合いのほどよろしくお願いいたします。トレーナーXでした!

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