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Vol.3 監督としての始動

  • 2020.05.14

    Vol.3 監督としての始動

BRAIN〜ズミの思考〜

監督就任が決まってまず取り組んだのは、FC TIAMO枚方(以下、ティアモ)というクラブについて、関西サッカーリーグについて、ティアモの選手についてなど、様々な事を「知る」ことだった。ティアモというクラブについて、いつ・誰が・どのような経緯でこのクラブを立ち上げたのか。その背景を知ることでこのクラブで自分がどんな役割を担い、どんな思いを持って監督を務めればいいのかが明確になるからだ。

ティアモの社員・スタッフ構成は、社長、GM、広報兼マネージャー、監督、コーチ2人(1人は平日のみ)、GKコーチ2人(平日と土日を分担)、トレーナー3人(分担制)で成り立っている。
その中で、僕が担うのはまず現場、チームの強化だ。
年間のスケジュールを把握した上で、月毎のスケジュールをコーチとも相談しながら練習試合の相手をスタッフ全員で探す。試合の分析をし、週単位のトレーニング内容を自分で考え、コーチと一緒に日々のトレーニングをオーガナイズする。関西サッカーリーグが開幕すれば対戦相手の分析もする。フィジカルコーチがいないのでコンディショニングについても考え、整える。自チームの映像や海外・国内の試合映像をパソコンで編集してミーティングで選手にフィードバックする。これらが、ティアモにおける監督としての僕の仕事だ。過去、一緒に仕事をしたたくさんの監督・指導者の方々が行ったトレーニングの中で、自分がやっていて楽しかった、良かった、必要だと感じていた内容は、練習好きだった自分の脳に自然と刻まれていて、1月21日から始動したトレーニングでも、その記憶から引っ張り出して選手にプレーさせることを続けている。
ただ、選手時代は用意されたトレーニングをするだけで良かったが、監督になると、そのトレーニングのサイズ、プレー時間、セッション間のレストの時間、選手の組み合わせなど、準備しなければならない事柄が多い。それを実際に体感することで、選手としてプレーしていた頃がいかに楽だったかを身に染みて感じた。
またこれはピッチ外での役割になるが、社長やGMと同じように、スポンサーを見つけてくることも僕の仕事の一つだ。現状、まだまだそこまで手が回っていないが、このステージでクラブ全体を円滑に動かそうと思えば、ある意味、それぞれが本職以外の仕事にも力を貸していく必要もある。そのことは自分自身もしっかり受け止めて取り組んでいこうと考えている。

ティアモが所属する関西サッカーリーグとは、J1リーグから数えると5部にあたるリーグで関西地方の6府県に所在する8クラブが参加している。この関西サッカーリーグで優勝するか、全国社会人サッカー選手権大会(以下、全社)で3位以内に入れば全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(以下、地決)への出場権を得ることができ、そこで2位以内になれば日本フットボールリーグ(以下、JFL)に昇格できる。
このJFL昇格こそが、ティアモの今シーズン最大の目標だ。ただ全社と地決は、連日もしくは1日おきの連戦というプロ時代に経験したことのない超過密日程で行われるため、選手の疲労や、チームの戦い方には頭を悩ませることになるだろうと今から覚悟している。

ティアモの所属選手は全員、仕事をしながらプレーしている。午前中にトレーニングをして、午後はそれぞれの職場で仕事をする。サッカースクールや学生の指導のようにサッカーに関する仕事に就いている選手もいれば、サッカーとは関係のない一般企業で働いている選手もいる。だだ、勤務先は全てティアモのアカデミーや提携しているスクール、中学・高校のサッカー部、スポンサー企業だ。つまり、ティアモに関わるみんなでこのクラブを盛り上げ、作り上げ、支え合うのが、このクラブの、選手の在り方なのだ。
各選手の経歴に目をやると、J1クラブで豊富な経験を積み上げてきた選手もいれば、Jクラブでの経験がない選手や新卒でティアモに加入する選手もいる。経歴や年齢で見ると非常に幅広い選手が集まっているが、全員に言えるのは、思っていた以上にクオリティが高いということ。僕が課すトレーニングにも意欲的かつ、狙い通りにプレーしてくれるので非常にありがたく、これなら思い描くサッカーを表現できるなと今からワクワクしている。
 
最後になったが、監督業を始めるにあたり、たくさんの方に感謝を伝えたい。
ティアモの村島孝史代表取締役やGMの巻佑樹をはじめ、コーチングスタッフ・マネージャーには日々、僕が監督として仕事がしやすいようにサポートしてもらっているし、アルビレックス新潟時代にお世話になった監督・コーチ・フィジカルコーチ・通訳の皆さんにはトレーニング内容からパソコンの使い方まで、様々な情報をいただき、指導してもらった。また、たくさんの友人・恩師には常々、新たなチャレンジに踏み出した僕の背中を押してもらっている。そんな風に、今までの人生で僕と繋がり、関わってくれた多くの方々のおかげで僕は今、思い切って監督業を始動させることができています。本当にありがとうございます! これからはサッカー界への貢献という形で皆さんに恩返ししていけたらと思っています。

  • 小川 佳純Yoshizumi Ogawa
  • Yoshizumi Ogawa

    1984年8月25日生まれ。
    東京都出身。
    07年に明治大学より名古屋グランパスに加入。
    08年に新監督に就任したドラガン・ストイコビッチにより中盤の右サイドのレギュラーに抜擢され、11得点11アシストを記録。Jリーグベストイレブンと新人王を獲得した。09年には、かつてストイコビッチも背負った背番号『10』を背負い、2010年のリーグ優勝に貢献。17年にはサガン鳥栖に、同年夏にアルビレックス新潟に移籍し、J1通算300試合出場を達成した。
    20年1月に現役引退とFC TIAMO枚方の監督就任を発表し、指導者としてのキャリアをスタートさせた。

三浦泰年×FW藤本憲明(ヴィッセル神戸)前編