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Vol.10 センターバックとは?②

  • 2020.08.18

    Vol.10 センターバックとは?②

発源力

©GAMBA OSAKA

ルヴァンカップの大分トリニータ戦に続き、J1リーグの横浜FC戦で初めてホーム、パナソニックスタジアム吹田でフル出場することができました。大分戦のリバウンドはなかったものの、中2日の試合は「何年ぶり?!」というレベルだったので少し体が重く感じた部分もありましたが、チームの雰囲気をできるだけ高く保つための声や味方を動かす部分を意識して試合に入りました。(三浦)弦太や(キム)ヨングォンとの3バックはほぼぶっつけ本番で課題はまだまだありますが、サッカーが出来る楽しさを改めて感じた90分だったし、チームとして結果が出たのも何より良かった。連携も含め、自分にとっては大きな一歩になったのでここから更にいろんなことを高めていきたいと思います!

さて、ここからは前回の続きです。
「名前や顔、知名度で守れるセンターバックになれ」。鹿島アントラーズの歴代『3番』を背負ってこられた先輩方に学んだこの言葉は、プロとしてのキャリアを積み上げて行くにつれ、より深く理解できるようになりました。僕が思う、現時点での世界トップクラスのセンターバックは、ファン・ダイク(リヴァプールFC)やセルヒオ・ラモス(レアル・マドリード)、マルキーニョス(パリ・サンジェルマン)ですが、実際、ファン・ダイクなら「こいつは抜けないな」と思わせる空気を漂わせているし、セルヒオ・ラモスは「こいつのところに仕掛けて行くと何をしてくるかわからんな」というオーラがすごい。マルキーニョスに至っては、身長は僕と似たり寄ったりの183センチくらいしかないのに、ボールを取るわ、削るわ、のファイターぶりがえげつない! どれだけ体の大きな選手を前にしても「オッケー! オッケー!」と言って全てのボールを競りにいく姿も迫力満点です。
中でも、セルヒオ・ラモスは守備でのオーラはもちろん、セットプレー時の「点を取ってやるぞ」感がヤバかった! スペイン代表やレアルでキャプテンを務め、クラブワールドカップも三連覇し、ワールドカップの優勝も経験しているという申し分のないキャリアを積んできた彼なので当然ですが、センターバックとしてはありえない数の得点も取ってきましたしね。特に「ここぞ」という大事な場面での得点が多いのも目を惹きます。
実際、僕はレアルとは2度対戦し、いずれもセットプレー時に彼のマークにつきましたが、ずっと大きな声でボールを呼び続けていたし、しかも、ほとんどのボールが彼に集まってきていました。てか、逆に来なかった時にはキッカーのトニ・クロースにブチギレていました(笑)。その威圧感たるや、それまで経験したことのない凄さで…それに気圧されて自然と「こいつは、ヤバいな」と思っている自分がいることに気づき、改めて「名前や顔、知名度で守れるセンターバック」になる必要性を感じました。実際、あのくらいの威圧感をピッチで示せるようになれば、確実にプレーする前からアドバンテージを持って相手に向き合えるはずです。また、その威圧感を示す上では、自分の代名詞となるような武器も必要だと思っています。例えば「1対1に絶対的に強い」でもいいし「空中戦なら誰にも負けない」でもいい。「昌子といえば、これ」と瞬時にイメージされるような武器を備えたいな、と。
更に言えば、「ゲームを読む能力」に長けたセンターバックになることも目指していることの1つです。イメージとしてパッと思い浮かぶのは、鹿島アントラーズ時代に長い時間、一緒にプレーさせてもらった、満男さん(小笠原)です。満男さんがすごいのは「ゲームを読む力」をもとに、試合の流れに応じてチームを変化させ、勝利に近づくようにチームを動かせること。実際、試合で結果を出すには、ゲームの流れを読んだ上でチームを変化させられる選手が不可欠です。例えば、攻撃に特化したチームでも、試合の展開によっては守ることをチームに促し、徹底させられるというか…。Jリーグにはどちらかというと中盤にそういうタイプの選手が多く、センターバックにはあまりいない気がするだけに、尚更、そういう選手になっていきたいと思っています。
余談ですが、せっかくセンターバックの話をしたので、僕から1つ提案があります。皆さんは試合を観戦している時、どんな見方をしていますか? おそらく、ボールを追いかけて試合を観ている人が殆どだと思います。相手ゴールに迫っているときは、尚更、そこに目を奪われているはずです。そんな時に、僕たちセンターバックがどんな仕事をしているのかを見たことはありますか? 簡単に言うといつ相手に逆襲を食らってもいいように、自分のところにボールが飛んできても相手より先に触って二次攻撃に繋げられるように準備をしています。いわゆる『リスク管理』です。テレビではボールを追った映像が多いのでわかりづらいかもしれませんが、スタジアムで観戦する方はガンバが攻めている時に、たまに後ろにチラっと視線を送ってみてください。もしかしたら、いつもとは違うサッカーの面白さ、守備の面白さに気づくかもしれません。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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