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Vol.15 蹴った地球は硬かった…。

  • 2020.11.02

    Vol.15 蹴った地球は硬かった…。

発源力

©GAMBA OSAKA

22節の横浜F・マリノス戦以来、欠場が続いています。お察しの方も多いかも知れませんが、マリノス戦の後半、60分過ぎにもともと痛めていた右足首で地面を強く蹴ってしまい…。その瞬間に「これは、やばい!」と思うくらい衝撃が走ったので尾を引きそうだなと覚悟していましたが、その直感が当たってしまったという感じです。
実は一旦、ピッチの外に出て右足首の状態を確認した際にそのまま交代することも考えたのですが、マックスの痛みで足が麻痺していたことや、自分の感覚的に「残りの30分ほどをプレーしようが、交代しようが、右足首の状態が変わることはないな」と思い、そのままプレーを続けました。チームとしてもスコアは1-1という状況ながら、流れも内容もすごく良かったし、その勢いを止めたくないという思いもありました。結果的に、試合後、右足首を診てもらった際にもドクターからは「源が感じた通り、残りの30分をプレーしても、しなくても足の状態は同じだったと思うよ」と言われたので、最後までピッチに立ったことに後悔はないですが、唯一、残念だったのは、あれだけ自分たちがボールを持ち、自分たちらしいサッカーを展開しながら勝ち切れなかったこと。マリノス戦までの試合はどちらかというと、内容としては理想的な展開に持ち込めなくても結果はついてきている、という試合が続いていただけに、自分たちらしい戦いができたマリノス戦を白星につなげられなかったのは悔しいです。ただ、一方で「ベストに近い内容で勝ち切れなかった」という事実を、今の自分たちの実力だと受け止めるべきだとも感じました。だからこそ、9戦不敗という状況にはありますが、あのマリノス戦を自分たちの現在地と受け止めて残りの試合を戦っていかなければいけないと思っています。

というわけで、蹴った地球の硬さに抗えなかった僕は現在、右足首のリハビリ中です。といっても、マリノス戦から2週間が過ぎて足の腫れは引いたし、グラウンドに出てボールも蹴り始めたので復帰までそう時間はかからないと思っています。結構な腫れだったので、多少の痛みは残るはずですが、そもそも今シーズンの8月に戦列に戻った時から右足首とはうまく付き合いながらプレーしてきたので特に不安はありません。また、チームとしても、先ほどもお話しした通り、『結果』を重ねられている事実は自信になっていますし、特に、前半戦の対戦では完敗を喫した柏レイソルから白星を奪えたのは大きかったと思っています。相手が敷いてきた4-2-3-1のシステムに対して、ガンバがシステム的にもしっかりハメられたこと。また個人のところでも、相手のサイドバックには秋くん(倉田)と康介(小野瀬)が、クリスティアーノには湧矢(福田)が、仲間隼斗には瑠がしっかりと対応し、トップ下の江坂任には陽介(井手口)と悠樹(山本)がケアしながら、1トップのオルンガをヨングォンと駿哉くん(菅沼)がしっかり見て自由にさせない、というように役割を徹底できたことが結果につながったんだと思います。
もっとも、前半戦の流れを見れば、柏に何度か作られてしまった決定機を決められていたら流れは大きく変わったかもしれない、と考えても反省すべきところはありますが、そこは今のガンバに漂う、勝っているからこその流れや勢い、選手の自信で上回れていたという見方もできると思います。
加えて、外から見ていて勉強になったのは、駿哉くんのパフォーマンス! ヨングォンは相変わらず安定感抜群でしたが、駿哉くんは今シーズン、戦列から離れていることも多かった中で、大分戦に続いての先発でしたが、あの落ち着きは経験のある選手だからこそだと感じました。もともと読みの鋭さや足元のうまさなど、センターバックとしてのトータル的な能力の高い駿哉くんですが、そうした技術はもちろん、自分の強みを出してプレーできるように相手を誘導する巧さなど、同じポジションだからこそわかる細かな技も見られて、僕としては参考になることも多かったです。と同時に、ガンバがあの守備力を示していても、それをかいくぐってチャンスを作り出した江坂や得点ランクで首位を独走しているオルンガの得点力への対応というところもセンターバックとして改めて考えるところもありました。自分が戦列に戻った時には、そうして観ることで感じていることもプレーに反映していきたいと思っています。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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