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4月3日にガンバにとっては約1か月ぶりとなるJ1リーグを戦うことができました。まずは僕たちの再始動にあたり、活動休止中からクラブを通してたくさんの応援メッセージを送ってくださったガンバファミリーの皆さん、全国のサッカーファンの皆さんに感謝します。またグラウンドで練習を再開するにあたっては、衛生面での更なる徹底を含めて、たくさんの方が練習環境を整えるために尽力してくださったと聞いています。ありがとうございます。そうした皆さんのおかげで僕たちは再びピッチに立ち、サッカーを全力でプレーすることができます。この先は間違いなく厳しい戦いが待ち受けていますが、皆さんの気持ちに結果で応えるためにも、僕たちは1つ1つの試合ですべてを出し切って戦っていくだけだと思っています。
再開後、最初の試合となったサンフレッチェ広島戦はスコアレスドローに終わりました。勝利を目指して戦いに臨んだだけに、勝ちたかったというのが一番の思いですが、一方で、ここまでの約1ヶ月の時間を考えると、とても大きな勝ち点1だったとも感じています。その理由も含め、僕なりに広島戦で感じたことを少し書いてみようと思います。
まず広島戦に向かうにあたってチームにはとてもいい雰囲気が漂っていました。3月23日に全体練習が再開した時から感じていたことですが、昨年のJリーグ中断の時とは違って、今回は自分たちだけが活動を休止している、試合を戦っていない、ということへの危機感がそうさせていたんだと思います。その証拠に、ピリッとした空気の中でみんながすごくイキイキとボールを蹴っていたし、言葉にせずとも自然とチームに危機感が宿るような感じもありました。コンディション的にも誰もが決して落ちた感じもなく、練習が再開してすぐにボールフィーリング的なものを取り戻せたのも、選手それぞれのこの先の戦いへの意欲を示しているようにも感じました。
そうした雰囲気の良さは、広島戦の入りからしっかりと発揮できたと思います。もっとも約1ヶ月、紅白戦でも90分を一度も戦えていないことがどのくらい影響するのか、やや不安だったところもありましたが、75分くらいまではそれも気にならないくらい全員が集中して試合を進めることができました。正直、それ以降の時間帯のパワーダウンは明らかで…ワンツーがうまく決まらなかったり、トラップが流れてしまったりと、単調な攻撃に終始してしまったし、全体を通しても僕を含めて個々に試合勘のなさがゆえのミスが出てしまったりと難しさを感じた部分はあります。それでも、交代選手を含めた全員が、最後までしっかりと勝ち点を持ち帰ることへの執念を示せたのは間違いなく次につながる収穫だったと思います。
また個人的なパフォーマンスについてお話しすると、昨年の手術から公式戦としては2試合目でしたが、右足首を気にしなくて良くなった分、局面で踏ん張りが効くようにもなったし、頭で考えていることがプレーでスッと体現できることが増えました。1対1のシーンで臆せずに足を出せるようになったことや、右足でインターセプトを狙いにいけたことも…そこでボールを取れる、取れないはありましたが、『臆さずにいける』ということ自体に去年とは大きな違いを感じました。相手の攻撃に対して、ゴール前で繰り返しシュートチャンスを作られたシーンでもその時々で足を出すべきか、スライディングをすべきか、と冷静にプレーの選択を考えながら2度、3度と繰り返し反応できる自分が戻ってきたのも、相手のプレーに最後の最後、0コンマ何秒というところまで粘り強く反応できるようになってきたのも、公式戦から遠ざかっていたことを考えればこそ、ポジティブに受け止めました。
おそらくはそんな風に、それぞれが約1か月ぶりの公式戦に感じた手応えはあったはずで、それは今後の戦いに間違いなく弾みをつけてくれると思っています。もちろん、最初に書いたように勝ちたかった、という思いは残りましたが、この一戦を迎えるまでの様々な戦いを踏まえても、試合後にツネさん(宮本恒靖監督)もおっしゃっていたように「決して悪い引き分けではなかった」と僕も思います。だからこそこれを無駄しないためにも、ようやく迎えることができる次のホーム開幕戦で勝利につなげたいと思っています。
最後になりましたがこの試合で改めて感じたことがあります。それは、サポーターの皆さんが僕たちと一緒に戦ってくれる心強さです。広島戦はアウェイサポーターも観戦できたことから、ガンバサポの皆さんもスタジアムに足を運んでくれていましたが、その姿はとても大きな力になりました。試合開始前に、ピッチで整列した時からその姿を確認して、「みなさんのためにも、結果はもちろんのこと、まずはしっかりと俺らが戦っている姿を見せないといけない」という思いを強くしたし、それは全選手が感じていたと思います。プロとして、もちろん結果は大事ですが、皆さんが人生をかけて懸命に応援してくれている前で、ガンバファミリーを代表してピッチに立てたという事実にとても大きな感謝と、だからこその責任や勇気ももらえました。
と言っても、まだ僕たちの戦いは始まったばかりです。道のりは間違いなく厳しいものになるとも思います。そのことに引き続き危機感を持ちながら、覚悟を持って1つ1つの試合に臨みたいし、その覚悟を、ガンバファミリーの皆さんで共有しながら進んでいくことで『ガンバ大阪』としての強さを示していきたいと思っています。
昌子 源Gen Shoji
1992年12月11日生まれ。
兵庫県出身。
11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。