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Vol.23 攻撃的な姿勢を貫き、勝ち切るチームに

  • 2021.06.24

    Vol.23 攻撃的な姿勢を貫き、勝ち切るチームに

BRAIN〜ズミの思考〜

6月19日のJFL第13節・東京武蔵野ユナイテッドFC戦を終えた時点で、FCティアモ枚方は12試合を消化し7勝2分3敗、勝ち点23。首位に立ついわきFCとは、勝ち点差5の4位につけている。
序盤戦を振り返ると、5試合目までは1-0、1-2、1-1、1-0、1-1。2勝1敗1分と悪くないように見えるが、全試合で先制点を奪えていたことを考えれば、この結果は物足りない。今年の目標として掲げている『1試合平均2得点以上、1失点以下』という数字に照らし合わせても、だ。
失点に関しては、もちろん無失点に抑えるのが理想だが、試合の中では時に不運な失点や相手のスーパーゴールが決まることもある。そのため1失点は仕方がないと伝える一方で、毎試合、2得点以上を目指そうと言い続けてきた。そういう意味では、この5試合は2得点以上取れなかった『攻撃』に課題があった。ただそれは、選手だけではなく自分自身の課題でもある。VOL.21でも書いた通り、先制点を奪ったアウェイでのヴェルスパ大分戦のように、後半残り10分を守り抜くという狙いからFWチョ・ヨンチョルを下げ、1トップにMF久保田駿斗を据えるという選択をしたのは自分であって、それによってピッチにいる選手たちの重心が後ろに傾いてしまった。結果的にその時は勝ちきれたからよかったものの、仮に同点にされてしまっていたら、一度後ろに傾いた重心をまた前に傾け、勝ち越し点を奪いに行くのは非常に難しくなっていたことだろう。

そうした5試合を経て、FC TIAMO枚方はアウェイでの6戦目、ソニー仙台戦でようやく複数得点を奪って2-1で勝利することができた。この試合は立ち上がりからピンチの連続だったが、GKキローラン菜入のスーパーセーブにも助けられて難を逃れると、27分に先制点を奪うことに成功。ハーフタイムのロッカーでは僕が口を開く前から選手間で「追加点」というワードが飛び交っていたし、その言葉のままに後半56分、キャプテンMF井上翔太のゴールで待望の追加点を奪うことができた。また残りの時間帯もリスクは犯さないようにしながらもカウンターでゴールを奪いに行く意識を継続させ、終盤に1点を返されたとはいえ逃げ切ることができた。

ところが、続く高知ユナイテッドSC戦、奈良クラブ戦には0-1、1-4と、監督になって初めての『連敗』を喫した。課題に感じたのは依然として得点力。ただ、いずれも90分の中でビッグチャンスを作り出せていたからこそ、それを決め切る力を選手に求めたし、攻撃のトレーニングも増やした。

連敗を食い止め、チームとして乗り越えなければいけない序盤戦の試練と位置づけたアウェイ、ヴィアティン三重戦。流れの悪さもあってか、開始1分に相手のシュートがティアモの選手に当たってコースが変わり、早々に先制点を許してしまった。しかし、3分後にすぐさま同点に追いつくと20分には逆転に成功。その後再び追いつかれたものの40分に3点目を奪い、3-2で折り返した。
点の取り合いになった前半の戦いを受け、ハーフタイムに選手たちに改めて求めたのは『攻撃』の意識だ。後半に入ってからも常に追加点を狙う意識を持たせ続け、51分には再び相手に同点ゴールを許したものの、終盤にはセットプレーから勝ち越しゴールを奪い、4-3と勝利することができた。3失点したことを受け、自分の頭の中では守備での改善も急務だなとという考えが浮かびながらも、選手には敢えて4得点を奪えた攻撃面を評価し、ゴールを奪い続けることを求め続けた。上位に食らいついていくためには、どの試合も引き分けではなく勝つことを目指さなければいけないし、その勝つためには点を取らなければならないからだ。3点でも足りないのなら4点、取るしかない。実際、選手たちはその力があることを証明してくれた。

その意識づけが功を奏したのか、続くホンダロック戦は2-0、アウェイのFC刈谷戦は4-1、直近の東京武蔵野は3-1といずれも複数得点で勝利をおさめることができ、なおかつ、ここ4試合で13得点とようやく攻撃陣に爆発の兆しが見えてきた。特にFC刈谷戦での4得点はチームとして準備してきた形で得点が奪え、取り組んできたことが結果に表れたことで選手たちも僕自身も手応えを感じ取れた試合になった。

ここまでの12試合の流れを踏まえ、監督として改めて気づかされたのは、試合での采配、選手への指示、試合での結果に対してのどの部分を評価し、どんなトレーニングを課していくかで、選手の意識も大きく変わっていくということだ。それを僕自身も意識しながら、今後は12試合で21得点と目標の『1試合平均2得点』に届いていない数字をどう増やしていくのかを考えていきたい。目指すのは、1-0の勝利で満足するのではなく、失点をしてしまっても2点、3点、4点とそれを上回る得点を奪って勝ち切れるチーム。観ている人、応援してくれる人たちにたくさんの『ゴール』で楽しんでもらえるよう、僕自身も努力していきたいと思う。

  • 小川 佳純Yoshizumi Ogawa
  • Yoshizumi Ogawa

    1984年8月25日生まれ。
    東京都出身。
    07年に明治大学より名古屋グランパスに加入。
    08年に新監督に就任したドラガン・ストイコビッチにより中盤の右サイドのレギュラーに抜擢され、11得点11アシストを記録。Jリーグベストイレブンと新人王を獲得した。09年には、かつてストイコビッチも背負った背番号『10』を背負い、2010年のリーグ優勝に貢献。17年にはサガン鳥栖に、同年夏にアルビレックス新潟に移籍し、J1通算300試合出場を達成した。
    20年1月に現役引退とFC TIAMO枚方の監督就任を発表し、指導者としてのキャリアをスタートさせた。

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