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Vol.68 2023シーズンスタート。情けない離脱。

  • 2023.01.17

    Vol.68 2023シーズンスタート。情けない離脱。

発源力

©KASHIMA ANTLERS

1月6日、5年ぶりに復帰した鹿島アントラーズでの2023シーズンが始まりました。普段からSNSを一切していない僕は、今年もこの発源力でその時々の考えをしっかり伝えていこうと思っています。
さて、5年ぶりの鹿島は…久しぶりのクラブハウス、練習場、アントラーズレッドの練習着、エンブレムと、いろんなことを懐かしく感じながら、でも、チームに関しては知っている選手もかなり少ないし、僕が在籍していた以前の鹿島とはやっぱり違うな、というのが第一印象です。当たり前のことですが、旧知のメンバーも以前とは意識も立場も変わっていて…優磨(鈴木)にしても、若い頃のとにかくギラギラしているだけの優磨とは違い、いろんな意味で意識もすごく高く、チームを引っ張ろうという意欲も見えていいなと思ったし、聖真(土居)にしても、僕と同じ復帰組の(植田)直通にしても、それぞれのキャリアでいろんな経験を積み上げてきたのが窺い知れて、すごく心強く感じました。気がつけばチーム最年長になっていたスンテ(クォン)も、どっしり感に磨きがかかっていました。
ただ…初めて一緒にプレーする選手、面識が全くない選手については…特に若い選手は誰も話し掛けてきてくれません(笑)。陸斗(広瀬)や雄太(樋口)とは少し話したけど、彼ら以外は未だ、声すら聞いていない選手もたくさんいます。僕自身は、壁を作っているつもりはないですが、気づかないところで若い選手を寄せつけない理由があるのか、あるいは若い選手たちが引っ込み思案なのか?!ただ、そうしたコミュニケーションのところは時間が経つにつれて、またキャンプなどを通しても自然と解決されていくはずなので、特に気にしていません。まずは僕なりに今の鹿島の空気をしっかり感じて、このチームで自分がすべき役割を体現していきたいと思っています。

という意識でシーズンをスタートしたら、始動3日目の練習中に右膝を痛めてしまいました。一言で言うと、情けない!に尽きます。
この日は公開練習だったので、練習場に足を運んでくれたファン・サポーターの皆さんはその瞬間を目撃していたはずですが、ボールを持った選手に危ないシーンを作られそうになったので、体を寄せて左足でボールを奪いにいったところ、その足がそのままボールの上に乗ってしまい、前方に予期せぬ加速がついてしまったことで軸足を内に捻るような感じになってしまいました。始動間もない状況だからということに関係なく、サッカーでは起こりうるケガなので致し方ない部分はありますが、その瞬間は、どこを痛めたか分からず、もし半月板なら最低でも3ヶ月はかかるかも、という思いもあり、ひたすら「軽症であってくれ」と祈る思いでした。
思えば鹿島でのプロ3年目に、右膝の半月板を痛めましたが、その時は受傷した瞬間に完全に半月板がロッキングされて全く動かなくなり…。診断を受けるまでもなく半月板を痛めたことが明らかでしたが、今回は、その時とは違い足は動かせていたものの、かといって内側を痛めたことはなかったので、「これはマズいんじゃないか」という不安ばかりが大きくなっていきました。
実際、受傷の翌朝に検査を受けるまでは、加入早々チームに迷惑をかけて申し訳ないという気持ちと、「何してんねん」っていう自分への情けなさに苛まれ、眠れなかったです。なので、内側側副靭帯損傷だと診断された時は…情けない、悔しい気持ちには変わりはないですけど、半月板ほどの大事にならなくてよかったというのも正直な気持ちでした。

僕はこれまで、先に書いたプロ3年目の右半月板、18年に痛めた左足首、FCトゥールーズ時代に痛めた右足首と、3度、長期離脱を強いられるケガを負っていますが、今回のケガはそれらとは全く違う感情に襲われました。というのも、そもそも過去3回はシーズン中のケガだったこと。また、3度目のケガによってガンバ大阪に加入した20年はリハビリからのスタートになったものの、まずはフランスで痛めた右足首をしっかり治すことをガンバにも了承していただいた上でシーズンをスタートした経緯がありました。
つまり、万全のコンディションでシーズンを迎えながら、開幕前に長期離脱になったのは初めての経験でした。今オフはワールドカップ・カタール大会の関係で、いつもより長かったことを受け、昨年の12月頭くらいから自主トレを始め、1ヶ月以上の時間をかけて心身ともに充実した状態で臨んだシーズンだったし、僕なりにいろんな決意を持っての鹿島復帰だっただけに、さすがに心が折れたというか。初めて『こんな情けない自分なら、サッカーをやめた方がいいんちゃうか』とすら思いました。

とはいえ、診断結果が明らかになってからは、自分なりに気持ちを切り替え、まずはしっかりケガを治すことに集中しています。全治約6週間という診断結果だったのでJ1リーグ開幕戦には間に合わない可能性もありますが、シーズン中のケガではなかった分、たくさんの試合を離脱しなくちゃいけない訳ではないこともポジティブに受け止めようと思います。もちろん、今回のケガによって出遅れてしまうのは間違いなく、巻き返すのは決して簡単じゃないと思っていますが、それも含めて自分に課せられた試練だと受け止め、絶対に乗り越えたいし、その姿を示していくことも自分がこのチームで果たすべき責任だと思っています。シーズンスタートにあたっては、チームメイトみんなの前で「仲良しこよしでやっていても勝てないということは誰もがわかっていることだと思うので、練習からみんなでしっかりやっていきましょう」と話をさせてもらいましたが、その姿をピッチで示していけるように、まずは全力でリハビリに臨みます。

受傷した日には、僕が治療から出てくるのを待ってくれていた旧知のサポーターの方に「ピッチでの存在感はもちろんそうだけど、源がこのクラブにいてくれるだけで、チームにとって絶対にプラスになると思うから焦らずゆっくり治して欲しい」と声を掛けていただきました。その言葉がすごく嬉しかったし、始動から連日、練習場に詰めかけてくれている100人を超えるファン・サポーターの皆さんの姿にもたくさんのパワーをいただいています。そうして皆さんに応援してもらう責任に応えるためにも、しっかり前を向いて新しいシーズンを進んでいこうと思います。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月に完全移籍が発表されたトゥールーズFCでもすぐさまレギュラーに定着したが、2シーズン目はケガに苦しみ、長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年2月にガンバ大阪に完全移籍。3シーズンを戦ったのち、22年12月8日に古巣・鹿島への移籍が発表された。
    日本代表にも14年に初選出。18年のワールドカップ・ロシア大会でもレギュラーとして活躍した。

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