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Vol.75 ホーム戦初勝利。

  • 2023.05.02

    Vol.75 ホーム戦初勝利。

発源力

©KASHIMA ANTLERS

6試合ぶりの白星を掴んだアルビレックス新潟戦に続き、J1リーグ10節・ガンバ大阪戦も勝利し、今シーズンのJ1リーグ戦では初の連勝となりました。特に後者は、昨年8月以来となるホームスタジアムでの白星で、勝利に沸くスタンドの雰囲気を見ながら、素直に「勝つっていいな」って思わせてくれる勝利でした。
思えば、この2週間は、勝負の世界に生きる僕たちには『勝つこと』が何よりの薬だと痛感した時間でした。新潟戦の勝利で練習の空気も明るくなったし、選手それぞれがノビノビとサッカーをしているようにも見えました。それがガンバ戦の結果にもつながったと思っています。

これまでなら、点が入らない状況に焦れて、最後に失点を喫して敗れるという試合が多かったですが、ガンバ戦は前半をスコアレスで折り返しながらも、しっかり仕切り直して後半を迎えられました。また、相手にペースを持っていかれそうな時間帯に、流れの良し悪しに関係のないセットプレーからゴールを取れたのも大きかったと思います。個人的には、シーズンの序盤はなかなか試合に出られなかった隼斗(仲間)と名古(新太郎)が、先発し、前半から躍動を見せて結果につなげたのも、素直に嬉しかったです。また、そんな彼らにも引っ張られて、優磨(鈴木)が追加点で突き放したのも素晴らしかったし、何より聖真(土居)や藤井(智也)筆頭に、途中交代で入ったメンバーがチームのギアをあげ、その彼らがそれぞれの役割を全うしながら個人の結果に繋げたことも勝利を掴めた大きな要因になったと思っています。
 
サッカーでは、点を獲った選手がフォーカスされることが多く、その過程や他の選手の頑張りを見逃されがちですが、ガンバ戦は、いろんな選手が、それぞれの場所で輝きを見せていました。
ハヤ(早川友基)、ナオ(植田直通)、郁万(関川)を中心にした守備陣の安定感はもちろん、安西(幸輝)や広瀬(陸斗)の両サイドバックの運動量も素晴らしかったと思います。3点目のシーンも、ボールを奪われた瞬間、奪い返すために圧力をかけたピトゥカがいて、相手のボールをインターセプトした郁万が間髪入れずに1タッチでスルーパスを送り込んだことから生まれた得点でした。途中出場で2得点の聖真の活躍もさることながら、それをアシストしたのが同じく途中出場の藤井で、彼も入ってすぐの時からスプリントを繰り返し、チームにもう一度勢いをもたらしていました。またゴールこそなかったものの、知念(慶)もヘディングボールを平気で胸トラップしてチームを落ち着かせたり、ポストプレーで体を張ったりとチームのためのプレーが効いていました。そう考えると5人の交代枠をしっかり活かしながら、点を決めた選手に限らず、それぞれが与えられた役割、時間の中で鹿島のために戦えたからこその結果だったと思います。

一方、僕個人のことでいえば、新潟戦、ガンバ戦と試合の終盤からの出場で、大樹さん(岩政監督)からは「頼むぞ、しっかり締めてくれ」って言われたし、チームメイトからも似たような声を掛けられてピッチに立ちましたが、残念ながら本当に何もしていません(苦笑)。裏を返せば、頼まれてもやることがないくらいにピッチにいるみんながプレーはもちろんメンタル的にも気の緩みが一切感じられない、整っている状態だったとも言えます。もちろん、勝利の瞬間をピッチで迎えられたのは選手として嬉しいことですが、そういう意味では先に書いた他のチームメイトたちにただただ感謝するだけで、自分自身に対しては何も手応えを感じられていません。だからと言ってやることに変わりはなく、選手として普段の練習からしっかり準備をし、チームのために戦うだけだと思っています。

最後になりましたが、ガンバ戦は僕にとって、昨年まで在籍した古巣との対戦になりました。昨年、一緒に戦ったメンバーも多かっただけに、なんとも言えない変な感情になりました。
また、僕が在籍していた時代はコロナ禍にあり、声出し応援が100%可能になることはありませんでした。そう考えると、100%声出し応援の中でのガンバサポーターの皆さんの声援を聞いたのは久しぶりでしたが、かなり迫力を感じたし、やっぱりこの圧力はすごいな、って思いました。
試合後に挨拶へ伺った際は、ガンバを離れる際には応援してもらったことへの感謝を伝えられなかったからこそ『ありがとうございました』『お世話になりました』という気持ちを伝えたつもりです。9割方、ブーイングだったとはいえ、中には数名の方が、僕のガンバ時代のユニフォームを掲げてくれたり、拍手してくれる方もいて、それはすごく嬉しかったです。スタンドに向けた笑顔も、その方たちに届けようと思ったものでした。

また、ガンバサポーターの皆さんからのブーイングに被せるように、鹿島サポーターの皆さんがすぐに昌子コールをしてくれたのも心強く、嬉しかったです。ようやく今シーズン初の連勝と、ホーム初勝利を挙げられたとはいえ、本当の意味での正念場はここからです。以前、ヴィッセル神戸戦後に、サポーターの皆さんの前に全員で立ち、優磨がチームを代表して伝えた「ここから絶対に巻き返す」という言葉を、変わらずに自分たちの中心に据えて、いい時も、悪い時も、鹿島の一員である誇りを胸に、全員で前に進みたいと思います。

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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