Vol.13 最終回　シーズン終了

いきなりですが、今シーズンで2年間お世話になったFCナントを離れることになりました。正確には終盤の成績が良くなく、残り4試合でクビになる、という人生初の経験をしました笑

フランスに来て16年が過ぎ、今シーズンはヨーロッパリーグまで経験することが出来ました。それと同時に色々な国・クラブでやっている友達も増え、フランスとは異なるアプローチには以前から興味を持っていました。それと同時に今シーズンの過密日程の影響で個人的な課題も多くありました。
ということで、予定していた一時帰国まで3週間あったので、今までやりたかったことに時間を使うことにしました。そのやりたかったこととは、色々なチームの練習を見に行き、異なるバックグランドを持つ監督に話を聞きに行くツアーです笑

1つ目の訪問先は、フランスのボルドー。ワインで有名なボルドーですが、フランスではとても有名なクラブ。現在はフランス2部リーグに所属していますが、ここは国際色豊かなスタッフでフランス人の監督にポルトガル人・スペイン人のアシスタントコーチということで、フランスではかなり特殊なクラブ。
ヨーロッパでは各国でトレーニングプログラムの考え方や、1週間のサイクルが大きく異なるため、近い国同士だからという簡単な理由でスペインやポルトガルの理論をフランスに持ってくることは出来ません。なので、ここではフランスで戦術的ピリオダイゼーションを用いた際の問題点や変化・適応させたポイント、ポルトガル人・スペイン人が見たフランスサッカー、そしてトレーニングとGPSを用いたトレーニング負荷について色々な話を出来ました。

2つ目の訪問先はイタリアのボローニャ。中田選手や富安選手が以前所属していたセリエAのクラブ。現在はチアゴ・モッタが監督で、アシスタントコーチがトゥールーズ時代からの友人。ヨーロッパリーグのユベントス戦の際には、ボローニャの分析担当のチーフにユベントスの映像提供をしてもらい、それ以来連絡を取り合うようになったこともあり、「おー、クビになったのか笑。じゃあ練習見に来いよ、大歓迎だよ！」と言ってもらい、練習見学することに。まず驚いたのが、スタッフの仕事に対する姿勢。「ここは日本のオフィスか？」と思うくらい無駄な時間がなく、一日中仕事に集中という感じ。フランスではあり得ません笑。それでいて、スタッフ間の雰囲気は素晴らしく、コミュニケーションも綿密に取っているため、非常に細かいポイントまで考えて仕事をしていました。
クラブに長年勤めるフィジカルコーチと富安選手の話をした時に「彼は本当にプロフェッショナルで、僕がやめろと言っても常にトレーニングしていたよ！」と富安選手の活躍の裏にある努力していた姿の話も聞くことが出来ました！

3つ目の訪問先は、スペインのビルバオ。目的はバルサやマルセイユでスポーツダイレクターをしていたアンドニ・ズビザレッタさんに会うため。僕ら世代だと、FCバルセロナ・スペイン代表の正GKとして活躍していたのは知っているかと思いますが、ヨハン・クライフがバルサの監督をしていた時のGK。
グアルディオラ、ルイス・エンリケ・、ヴィラス・ボアスといった世界でも有数な監督と仕事をしてきた方だけあって、実際に見たことのない世界のトップで働いている監督・スタッフがどのように日々仕事をしているか？スポーツダイレクターから見た今後の監督に必要な要素、など本当に勉強になる、今後の自分の仕事の仕方のヒントをもらえた貴重な機会でした。

ということで、今回を持ちましてこの連載は終了となります。プロスポーツの世界では、元プロでないということは大きなハンディキャップですし、実際その事を常に言われるのがこの世界の宿命です。ですが、昔のように選手の経験を基に監督がグランドで指導するだけ、という時代は終わり、色々なバックグランドを持った監督・コーチがヨーロッパでは出てきています。それだけサッカーというスポーツがどんどん変化しているので、日本でも異なる長所を持った監督・コーチが出てきて欲しいな、と思います！

どこの誰だかわからない僕のような者の記事を読んでくださり、本当にありがとうございました！