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Vol.94 いよいよ、J1リーグが開幕します!

  • 2024.02.20

    Vol.94 いよいよ、J1リーグが開幕します!

発源力

©FCMZ

1月19日に始まったキャンプは、2月10日に全日程を終えました。黒田剛監督がチームに求める土台づくりはもちろん、定期的に練習試合を挟んで戦術の浸透に取り組んできましたが、監督も「すごくいいキャンプになった」と話されていたように、僕自身も収穫の多いキャンプだったと感じています。
長い時間、寝食を共にしたことで選手同士もお互いのキャラクターやプレースタイル、特徴を理解する時間になったし、やっていることは間違いではない、いい方向に進んでいるという手応えを得ながら練習試合を重ねられたのもポジティブな材料です。もちろん、課題は色々とあって、その部分には町田での練習が再開してからも真摯に向き合っていますが、誰もが開幕までの時間の中でより良くしていこうと熱を持って進んでいます。

そのキャンプの終盤に、ゼルビアでは恒例の『キャプテン・副キャプテン投票』が行われました。投票は、現場にかかわるテクニカルスタッフ以外のスタッフ、選手、広報などのクラブスタッフをあわせて50名が、キャプテン、副キャプテンにふさわしいと思う選手とその理由を紙に書いて無記名で投票するという形式で行われ、僕がキャプテンを、マサ(奥山政幸)と北斗くん(下田)が副キャプテンをすることになりました。監督からはあらかじめ「J1を戦う上で、このチームを引っ張っていってくれると信頼できるリーダーを考えてくれ。匿名とはいえ、この選考が今年のチーム、今後の俺たちの戦いを左右すると思って真剣に選んでほしい」と言われていたことからも、それぞれの思いを込めた投票だったと受け止めています。
ちなみに、僕をキャプテンに指名してくれた人からは「経験値がある」「リーダーシップがある」「コーチングができる」といった理由の他に「声がもうキャプテン」という意見もあり…それは地声を指すのか、コーチングの声なのかどっち?! みたいな内容もありましたが(笑)、最終的にはたくさんの人が僕を指名してくれて、キャプテンを預かることになりました。

実はその開票中、ずっと思い出していたのは、かなり前に鹿島アントラーズの先輩、イバさん(新井場徹)に聞いた話でした。
鹿島といえば、長らく満男さん(小笠原)がキャプテンを預かっていましたが、どんな経緯で満男さんがキャプテンになったのか。当時は、満男さん以外にイバさん、浩二さん(中田)、ソガさん(曽ヶ端準)、モトさん(本山雅志)をはじめ、大樹さん(岩政大樹)や青木さん(剛)らリーダーシップを取れそうな人たちがウジャウジャ在籍していた中で、なぜ満男さんが選ばれたのか。イバさんに尋ねたところ、「あくまで俺の意見やけど」という前提で考えを聞かせてもらいました。
「満男をキャプテンに指名することに異議を唱える人がおらんかったからちゃうか? 源が言うように、確かに当時の鹿島にはリーダーシップを取れそうな選手はたくさんいたと思う。でも仮に俺がやるとなれば、きっと誰かは新井場じゃないだろう、と言ったはずやし、それは浩二や大樹でも同じやったと思う。でも満男がキャプテンなら? 異議を唱える奴は間違いなく一人もおらんかった。それが理由じゃないかな。もちろん、満男がキャプテンタイプだったかと聞かれたら、正直、違ったと思う。でも、満男がキャプテンになることにクラブの誰一人として異議を唱えない、全員が満男の言葉を信じてついていく、という意味で、あいつは間違いなく鹿島のキャプテンにふさわしかった」

そのイバさんの言葉に照らし合わせて考えると、正直、自分がゼルビアのキャプテンにふさわしいのかはわかりません。鹿島時代の満男さんの姿を思い出せば、自分がまだまだリーダーとして足りていないことも自覚しています。
ただ、ゼルビアからオファーをいただいた時から、クラブからも「このチームを引っ張っていってほしい」と求められていた中で、僕自身、始動1日目からそこは意識していたし、キャプテンになるかどうかに関係なく、ありのままの自分を見せてきました。その中で今回の投票があったと考えれば、少なからず今のままの姿でいいのかな、とは思っています。

そういう意味ではキャプテンになったから、ではなく、今後もこれまで通り、クラブが自分に託してくれた想い、責任をしっかり感じて、このチームを引っ張っていきたいし、数少ないJ1経験者として、キャリアで積み上げてきた経験をチームに還元していきたいと思っています。
もしかしたら「そんなんじゃあ、物足りない!」と思う人もいるかもしれませんが、僕自身は、副キャプテンのマサ、北斗くんもいるので心配していません! 彼ら以外にもJ1経験者の海(柴戸)や啓矢(仙頭)もいるし、ゼルビア歴も長い海(三鬼)もいます。悠(平河)や翔太(藤尾)らアンダー世代の日本代表にも名を連ねてきた若い選手らも元気がいいです! 名前を挙げた選手に限らず、ゼルビアにいる全選手が、自分がキャプテンだと思ってチームを強くしていこうとすることで、必ず僕たちは強くなれるとも思います。そのために、お互いが口を開き、思ったことを言い合えるチームになっていきたいし、僕自身もゼルビアのためにすべきだと思うことをしっかり体現していきます。

いよいよ、今週末にはJ1リーグが開幕します。今のところチームには、開幕が楽しみで仕方がない、という空気しか漂っていないですが、これまでの経験上、試合週になれば、チームの雰囲気はまた変わるんじゃないかと予想しています。楽しみな気持ちのまま試合に向かう選手、不安を感じてしまう選手、ピリついた空気を出す選手と、それぞれに『開幕』への向かい方にも変化が出てくるかもしれません。
そんな選手たちの様子を僕自身もしっかり感じ取りながら、J1リーグの開幕戦を何度も経験してきた一人として、みんなを引っ張っていきたいし、何より守備を預かる一人として、“何がなんでもゴールは俺らが守るぞ”という気迫をピッチの上で示したいと思っています。
町田GIONスタジアムで皆さんに会えるのを楽しみにしています!

  • 昌子 源Gen Shoji
  • Gen Shoji

    1992年12月11日生まれ。
    兵庫県出身。
    11年に米子北高校から鹿島アントラーズに加入。14年には自身初のJ1リーグフル出場を実現するなど主軸選手に成長を遂げ、16年のJ1リーグや天皇杯優勝、18年のAFCチャンピオンズリーグ制覇などに貢献した。
    18年12月にトゥールーズFCに完全移籍。すぐさまレギュラーに定着するも2シーズン目はケガに苦しみ長期の戦線離脱に。その状況を踏まえてJリーグへの復帰を決断し、20年から3シーズンはガンバ大阪で、23年は鹿島アントラーズでプレー。24年はFC町田ゼルビアに完全移籍となった。
    14年に日本代表に初選出。2018FIFAワールドカップ ロシア出場。

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