柴田 麗Urara Shibata
管理栄養士/公認スポーツ栄養士
大学にて体育の教員免許を取得後、カラダを動かすことから食べることの世界に興味を持ち、栄養学を学んで管理栄養士を取得する。筑波大学修士過程を修了した後、05年に明治製菓株式会社(現・株式会社明治)に入社。
様々な競技のトップアスリートの栄養サポートに携わり、19年3月に退社。現在はフリーで活動している。好きなスポーツに出会うことは人生を豊かにすると信じてやまない。
緊急事態宣言が発令され、該当地域はもちろんですが、それ以外の場所でも自粛が延長され、サッカージュニアの皆さんも大きなストレスや不安を抱えた状況なのではないかと思います。スーパーでは、保存食などの食品の買い占めが起こるなど、食生活にも影響が及んでいるからでしょう。私のSNS等に寄せられる食に関する質問にも「加工食品を使う頻度が多くなったが良いのか」「免疫力をあげる食べ物は何か」「3食バランスの良い食事を作ることがストレスになっているけれど、どうしたら良いか」など、通常とは異なる内容が多くなりました。
WHO(世界保健機関)は、新型コロナウィルス感染症に対する栄養面からの予防戦略をまとめて発信しています。ポイントは穀物、肉・魚・卵・豆類、野菜、果物、乳製品を摂る、毎日の十分な水分補給、飽和脂肪酸(動物性食品に含まれる脂質)と塩や砂糖は控え目にすることなどがあげられています。
加工食品を使う頻度が増えることで気になるのは、脂質や塩分、リンなどの栄養素の過剰摂取です。でも手軽、美味しい、子供だけでも作れるといった理由で、今のご時世では特に活用されることも多いと思います。そんな時は、「お昼はレトルトの加工食品だったから、生野菜のサラダはつけよう」「夜はちょっと薄味のおかずにして塩分を控えめにしよう」など、少しだけ予防戦略のポイントを取り入れてみましょう。
一時的に棚から消えたカップ麺の食べ方の一例を挙げると、茹でたお湯を捨てることで脂質やリンを減らすことが可能です。そして、カットワカメ、ゆで卵、果物、ヨーグルトをプラスすることで「栄養フルコース型の食事」になり、栄養価が充実します。加えて、頑張って汁(スープ)を残すようにすると塩分も控えめになります。
このように、ポイントをおさえた工夫をしながら、加工食品を活用することがおすすめです。
免疫力については、最近、「この栄養素をとって免疫力をあげましょう」「この食品を食べるとウィルスに感染しません」などの情報をよく見かけます。ですが、そのような栄養素や特定の食品はありません。「栄養フルコース型」の食事をそろえる意識を持ち続けることが食事でできるウィルス対策の基本となります。毎食が難しい場合は1日、3日、1週間という長期的な単位で考えても良いです。未知のウィルスとの闘いの中で、食についての不確かな情報に振り回されないことも大切です。
3食考えるのがストレスだと感じてしまうと、楽しいごはんの時間が憂鬱な時間に繋がりかねません。今は、外食がしずらい状況になっているためテイクアウトメニューを充実させているお店が多くあります。ストレスだな…と感じたら、お気に入りのお店の味を家で楽しむ日にして、気楽に食事を楽しむのも良いのではないでしょうか。