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Vol.5「プラスアルファのエゴ」

  • 2023.06.08

    Vol.5「プラスアルファのエゴ」

絶康調

©VEGALTA SENDAI

ただいま。怪我から復帰して5月28日の第18節千葉戦で久々の試合出場、すごく楽しかったね。やっぱり。外から見ていたらみんなが思うように「こうすればいいのになあ」とかなんとなく考えたりするものがある。ところが、ピッチに立ってみると「こうすればいいのに」が簡単にできないってことが分かった。みんな考えてやっているんだなあと感じた。

ユアスタでの試合だったから、サポーターやフロントのみんながすごく待っていた感があった。クラブの人はけがの間もずっと声を掛けてくれていた。それでも、帰ってきただけでは自分の存在価値はないと思っている。勝つ試合にしないといけないし、オレが出るからにはいい試合プラスアルファ、勝てる試合をどれだけ多くつくれるかが一番の仕事だと思っている。そういう意味では途中から入って勝利に貢献できたかな。みんなの期待には少しでも応えられたと思っている。

2-1での交代だった。勝っているものの結構攻め込まれている状況で、ベンチから見ていても外からも難しい状態だった。このままごりごり引いて守り切る意識だけでは絶対やられると思ったから、オレが入った以上3点目を取る意識をチーム全体に持たせたかったし、相手にもその恐怖感を与えないといけないと考えていた。もちろん守るよ。守るけど、隙あらば3点目を取るよっていうのを常に出すようにしていたかな。守り切ろうとして終盤に追い付かれてしまった大宮戦のことも頭にあった。後ろの選手はずっと集中力を保って守備するのはつらい。そして守勢に回る時間がどんどん積み重なると失点につながっちゃう。そういう意味ではあの試合であの勝ち方ができてよかった。最低限の仕事はできたというのはある。

復帰2戦目となった6月4日の第19節東京V戦はいい試合だった。久々にうちらも堅くできたし、相手も堅い中で先に1点を取って1-0。いい時間に2点目も取れたし、あわよくばもう1点という気持ちがチーム全体にあったかな。守り切る中で2点目を取ると後ろも試合運びももっともっと楽になる。見ていた人たちも安心感があったんじゃないかと思っている。上位の相手だったし6ポインターを勝つのは大事。今季のベガルタはシーズン最初のほうで落としている試合が多かった。だからこれから先、上位のチームとやるときは絶対負けられない戦いが続く。

途中出場で勝利には貢献した。それでももちろんスタートで出たいという気持ちはある。ただ、一番大切なのはチームが優勝すること。自分のエゴとチームの目標とバランスをとらないといけない。なので、今は途中から出て求められている以上の仕事をしようと思ってプレーしている。監督が思っている以上のことをしてこそ、その選手の価値がある。監督のやってほしいプレーをやりつつ、できるならそれ以上のことを出さないとその選手の存在意義はなくなってしまう。言われるままに動くだけだと単なる駒になってしまう。駒として働く以上のことをやってこそプロの選手じゃん。自分の存在意義をみんなに知ってもらう、「遠藤康」というサッカー選手を知ってもらえる場なんだから全てを表現したい。もしかしたら彰さん(ベガルタ仙台、伊藤彰監督)にはあの試合を1-0で締めてほしいという思惑があったのかもしれない。それでも2-0になるとチームは楽になる。自分は攻撃の選手として得点に絡むプレーを出さないといけないし、それが求められて仙台に来ているわけだから。全力で守りつつ、2点目を狙っていた。

監督に求められていることを表現して結果を出している中で、プラスアルファを出せている選手はまだ少ない。もっと点を取りたいとみんな思っているから、これからもっとエゴが出てくると思う。おのおののエゴが前面に出てきたときのバランスの取り方は難しい。そこは監督の仕事でもあるしピッチ上の選手の仕事でもある。勝つことと自分の思い描くプレーの融合こそがチームの成長につながる。

直近5試合を4勝1分け。単純なことにチームが勝つと練習の雰囲気もすごくよくなる。千葉に勝ってから東京V戦までの練習は、みんな集中してできていた感覚があった。そして、そういう積み重ねが結果につながったのはチームにとってすごくよかった。やってきたことに自信を持ってできる。チームが成長する段階に入ったと言える。同じようなミスでもポジティブにとらえられるようになったり、みんなの表情が明るくなったり。積極的でチャレンジのミスが増えた。その中でうまくいく時間帯を増やしていきたい。勝てない時期はおのおのが自分のプレーに疑心暗鬼になっちゃうことがある。そのまま試合に入ってしまうと、それが本人のプレーにもチーム全体の雰囲気にも出ちゃう。だから序盤勝ちきれないころに「みんなが同じ方向を向けていない」と言ったのはそういうことなんだよね。今はみんな彰さんの言っていることがすっと頭に入ってき始めていると思う。課題は勝っていてもあるわけだから、突き詰めないといけないし、選手おのおのが思う部分があるからそこはどんどんやっていかないといけないなと思う。内容が伴うようになって悪い時間帯が少なくなってきて、徐々に回り始めたな、ここがスタートだなという感じはする。遅かったなあ、だいぶ時間がかかったね。

勝ち続けることは大変だし大事。それによってチームはどんどん成長していく。ここで止まっちゃいけないし、最初につまずいたうちらはここから勝ち続けなきゃいけないと思う。だめだったところは反省して次の試合までに直して臨まないと。戦いながら成長していかないと勝っていけなくなる。そして最後は「個」。個人の力がすごく大事になってくるから、チームとしての成長と並行して個も突き詰めていかないといけない。満足していたら選手として終わっちゃう。次は勝ち点30で並ぶ磐田との6ポインター。あっちも最近調子が上がってきている同じような状況のチーム同士だ。彰さんは古巣との対決だから絶対燃えていると思う。全員がその気持ちに乗っかっていく形で勝利を手にしたい。

  • 遠藤 康Yasushi Endo
  • Yasushi Endo

    1988年4月7日生まれ。
    仙台市出身。
    なかのFC(仙台市)から塩釜FC(宮城県塩釜市)を経て2007年鹿島アントラーズに加入。左足のキック精度が高く、卓越したボールキープ力も光る攻撃的MFで、10年以降は主力として3度のJリーグカップ制覇や、16年のJ1リーグと天皇杯優勝などに貢献した。J1通算304試合出場46得点。
    2022年、15年プレーした鹿島を離れ、生まれ故郷のベガルタ仙台へ完全移籍した。
    U-15、U-16、U-18の各年代で代表経験があり、15〜17年は日本代表候補に選出された。

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