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Vol.24 アジア、そして世界と戦う日本サッカー

  • 2021.07.22

    Vol.24 アジア、そして世界と戦う日本サッカー

BRAIN〜ズミの思考〜

今回のコラムは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)と、来週から始まる東京オリンピック、男子サッカー日本代表(U-24日本代表)について書きたいと思う。

僕が名古屋グランパスの選手として出場したACLでは、アウェイの難しさを感じたのを覚えている。初めて行く国々での試合は、ピッチコンディションや気候など日本とは違う環境への適応が強いられたし、ロッカールームに釘が散らばっていたり、ウォーミングアップをするためにスタジアムに入ると爆竹が投げ込まれたり。試合中に耳馴染みのない笛の音が鳴り響く、異空間とも言える環境で試合をしたこともあった。
ただ僕個人としては、そうした初めて経験する環境下での試合が非常に楽しく、毎試合ワクワクしながら臨んでいた。3度ACLに出場して、結果はベスト4が1回、ラウンド16での敗退が2回。チームとしても個人としても、初出場した09年はベスト4まで勝ち上がることができ、アジアのチームを相手に個々のプレーでは「通用するな」と感じられた部分もたくさんあったが、それでも勝ち上がってきた中東や韓国のチームとの力の差はほとんどなく、簡単に勝てる相手は1つもなかった。その中で国外のチームと対戦を重ねていくにつれて選手としても、チームとしても成長を感じることができた。

今年のACLは、Jリーグから川崎フロンターレ・ガンバ大阪・名古屋グランパス・セレッソ大阪の4チームが参加。ガンバ大阪以外の3チームがグループステージを突破することができた。コロナ禍での開催となったため、従来のホーム&アウェイ形式ではなく、タイとウズベキスタンでのセントラル開催となり、試合間隔も全て中2日という過密日程だったが、惜しくも敗退してしまったガンバ大阪も含め、日本勢と他国チームにはそれなりの力の差を感じた。もっとも、ベストメンバーで大会に臨めてないクラブが多くあったのも事実だが、それを差し引いても日本のクラブは個人・チーム戦術・選手層といった面で他国に力の差を見せつけていたと思う。「勝ち残っている3クラブの中から優勝チームが出るだろう」というような、期待を抱かせるグループステージだった。

そして東京オリンピック。昨日、7月21日に女子サッカー日本代表が初戦を戦い、今日、世界を相手に金メダルを目指すU-24日本代表の戦いが始まる。
今回のオリンピックは、ACLと同様にコロナ禍でベストメンバーで臨めない国もある中で、ホスト国であり、メキシコオリンピック以来の『メダル』を目指す日本にとってはまたとないチャンス。同時に、日本のサッカー界の未来を占う上でも重要な大会になると思っている。
それはなぜか。
日本サッカー協会(JFA)が『JFA2005宣言』で掲げた『JFAの約束2050』の中には「日本代表チームは、FIFAワールドカップに出場し続け、2030年までに、ベスト4に入る」という目標が描かれている。2030年までに行われるワールドカップは来年のカタール大会を含め、あと3回。おそらく、今回のオリンピックに出場する選手たちは2022、2026ワールドカップの中心メンバーとしてプレーすることになるはずだが、そこで『ベスト4』を目指す上で、今回のオリンピックでメダルを獲得できるか否かは、その目標の実現性をより高めると思うからだ。
しかも、U-24日本代表は、先週行われたオリンピック開幕前、最後の親善試合、キリンチャレンジカップ2021・U-24スペイン代表戦で非常に期待の持てる結果と内容を示し、サッカー関係者に限らず、多くのサッカーファンにその可能性を示してくれた。その姿は、東京五輪の舞台でも必ず楽しめるはずだし、そこでの結果が日本のサッカー界をより高みに引き上げてくれると信じている。

余談だが、U-24日本代表も然り、近年は『海外組』という言葉がよく聞かれるが、僕はかねてから日本サッカー界の成長を求めるには、まずJリーグのレベルアップが不可欠だと思っている。選手がそこで試合に出場し結果を残すことや、ACLというアジアの舞台での活躍に繋げることで初めて、欧州などの主要リーグで活躍するチャンスが拓けるし、彼らが世界で得た経験を日本代表や日本のサッカー界に還元することで、さらにレベルアップができるという循環が生まれるからだ。裏を返せば、Jリーグのレベルが下がれば必然的に選手のレベルも落ち、仮にそこで活躍できたとしても海外では苦労することになるだろう。
そう考えても、今後もJリーグのレベルアップを求め続けなければいけないし、もっといえば、その下のカテゴリーを預かる僕らからの底上げも、未来の日本サッカー界を語る上では欠かせないはずだ。そんな使命を改めて自分に突きつけながら、今日から始まる東京オリンピックでのU-24日本代表の戦いを楽しみたいし、サッカーファンの皆さんにも今後のサッカー界の明暗をわけるといっても過言ではない彼らの戦いをしっかりと目に焼き付け、その未来を想像してもらいたいと思っている。

  • 小川 佳純Yoshizumi Ogawa
  • Yoshizumi Ogawa

    1984年8月25日生まれ。
    東京都出身。
    07年に明治大学より名古屋グランパスに加入。
    08年に新監督に就任したドラガン・ストイコビッチにより中盤の右サイドのレギュラーに抜擢され、11得点11アシストを記録。Jリーグベストイレブンと新人王を獲得した。09年には、かつてストイコビッチも背負った背番号『10』を背負い、2010年のリーグ優勝に貢献。17年にはサガン鳥栖に、同年夏にアルビレックス新潟に移籍し、J1通算300試合出場を達成した。
    20年1月に現役引退とFC TIAMO枚方の監督就任を発表し、指導者としてのキャリアをスタートさせた。

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