柴田 麗Urara Shibata
管理栄養士/公認スポーツ栄養士
大学にて体育の教員免許を取得後、カラダを動かすことから食べることの世界に興味を持ち、栄養学を学んで管理栄養士を取得する。筑波大学修士過程を修了した後、05年に明治製菓株式会社(現・株式会社明治)に入社。
様々な競技のトップアスリートの栄養サポートに携わり、19年3月に退社。現在はフリーで活動している。好きなスポーツに出会うことは人生を豊かにすると信じてやまない。
前回は「カラダを大きくしたい」がテーマでした。
今回は、その逆、「太り気味が気になるときに食事の調整はどうすればいいのか」というテーマです。
プロサッカー選手は、パフォーマンス向上のために体脂肪を減らそうと、食事改善に取り組むことがあります。方法は体重や体脂肪、トレーニングで測定した数値などを総合的に判断し、どのくらい体脂肪を減らすのかを決めて、食事の改善に取り組みます。
では、ジュニアサッカー選手なら、どのような段階を踏んでいけばいいのか考えてみましょう。
太り気味が気になる理由には「すぐに疲れてしまう」「カラダが重い」「見た目の変化」などが挙げられます。でももしかしたら、それは単なる思い過ごしかもしれません。なので、第一段階として本当に太り気味なのかを明確にしましょう。
そのために、BMI(Body Mass Index)という肥満度を測る数値の計算をします。
計算式は、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」。これによって出される数値の22が「標準」、18.5以下なら「痩せ」、25以上は「肥満」とされています。他の児童と比べることは参考にならないので注意してください。
この数値をもとに、太り気味だと自覚したり、健康やサッカーのプレーに支障が出るから食生活を見直したいとなった場合の改善ポイントを紹介します。
① 菓子類、し好品、飲料
食生活の中で、間食(補食)にスナック菓子やクッキー、チョコレートなどを食べていないか。甘い炭酸飲料やフルーツ・オレなど糖分が過剰に入った飲み物を摂っていないかを確認します。
もし、それらの量・頻度が多いなら、量を調節し、回数を減らしていきましょう。例えば、毎日食べていたものを週末だけにするとか、チョコレートを果物に変えるなど、本人と保護者の方が過度なストレスにならないよう、実行できそうなことを相談して決めていきましょう。
② 油脂類
油・脂に意識を向けてみます。
(例)
*調理に使う油 → 揚げ物は避ける。蒸す、煮るなどの調理方法に変える。テフロン加工のフライパンを活用する。
*調味料やドレッシング → カロリーハーフのマヨネーズ、ノンオイルドレッシング、ポン酢など酸味のあるものを使用する。
*肉の部位や種類 → 脂の少ない部位、赤身の肉、下茹でをする。
*乳製品 → 低脂肪や無脂肪の食品を選択する。
この2つのポイントを意識しながら、朝昼晩の3食、「栄養フルコース型」の食事を食べる習慣をつけていきます。それによって太り気味だと感じていても背がグンと伸びる時期を迎えれば、解消されていくことがほとんどです。
太り気味だからと、炭水化物(糖質)を食事から抜いた入り、むやみに食事量を減らすなど、間違った食事改善をしてしまうと成長期のカラダづくりやサッカーをするための栄養素が不足する可能性が高まるので気をつけましょう。